ロシアのプーチン大統領が、山口県の長門市に大統領専用機で降りたち(3時間遅刻して)、阿部首相の故郷のことゆえ地元で一番大きく有名な旅館で首脳会談を行い、和食でもてなされ、プチャーチン来日絵巻の複製をお土産に贈られ、温泉に浸かって疲れをとったか、疲れるほどの会談内容じゃなかったか、翌日、東京へ移動し首相官邸で会談を続けた後、日ロが北方4島を中心に経済共同開発を進めることで合意した旨、共同文書を発表した。
4島の帰属については触れず、将来日ロ間で平和条約を締結することだけが触れられた。
経済共同開発はロシア側はロシアの法律の下に行われるべきと主張したが、これでは4島がロシア領土に帰属することを公式に認めることになるので、日ロ間で今後協議を進め、特別な機構を作ることになるだろうとした。
日ロ首脳会談が進行中、シリアでは反政府勢力の最後の拠点アレッポがバシャール・アサド政府軍によって制圧され、アサド大統領は勝利宣言を発表し、ほぼ同時に、アメリカのケリー国務長官は、事実上の虐殺だと怒りを込めてアサド政権とこれを支持するロシアを非難した。
国連の安保理では、シリア政府軍の攻撃とロシアの空爆により女子供老人を含む市民に多大の犠牲者が出ているので即時停戦を求めたがロシアが拒否権を発動し満場一致の合意に至らなかった。
ロシアはシリアで内戦が起こる前からアサド政権を支持していた。プーチンという人物は、いちど支持を決めたら周囲がすべて反対の状態になっても最後まで支持を続けるという。よく言えば友情と信義に篤く、悪くいえば絶対に主張を曲げない絶対主義の時代の専制君主のようなところがあるらしい。KGBの長官に就いた時も、こうして支持が少なかった政治家に忠誠を尽くし、それが幸運をもたらしたという。シリア領内の地中海岸にある軍港はロシアの唯一の 地中海岸の港であるので、これを失うことは何があっても避けたい意向があるだろう。
プーチン大統領の長期戦略は、ロシアがかつてソ連時代に持っていた世界政治への影響力を取り戻すことだという。
アメリカの大統領選挙にロシアがサイバー攻撃とかハッキングとか選挙人ファイルを盗み出し、選挙の最終段階で投票結果をトランプ候補が勝利するよう工作し、プーチン大統領自らがその指示を行ったとCIAが発表した。選挙戦のはじめからロシアはトランプ候補が勝利すれば良い、クリントンが大統領になれば第3次世界大戦が起こってしまうと、キャンペーンを続けていたし、アメリカのコンピューターを使った投票に介入もあり得ないことではないと人々に思わせることになった。
だから、トランプ氏が不正選挙により勝ったのならインピーチメントを行い、大統領罷免を行うべきという意見が出でるのだが、罷免を行うに至るだけの証拠がない。来年1月の大統領就任までにオバマ大統領がCIAに発破を掛け調査させても証拠を挙げることはできないだろう。
緑の党の要求で集計のやり直しを行ったウイスコンシン州では138票だったかトランプ候補の票が増える結果になってしまった。
プーチン大統領とトランプ氏とは表現の仕方が、ロシア風、アメリカ風と際立って違って見えるが、共通点がある。時に恫喝したり、ジェントルマンなら恥ずかしくて言えないようなことを臆面もなく口にしてしまう超リアリズム、ド根性を持っている。
プーチン大統領がトランプ氏を支持する裏には中国をこれ以上アメリカと親密にさせたくない思惑がある。トランプ氏は臆せず中国批判を続けている。中国はアメリカの最大の債権国でほっておいても仲良くなってしまう。
フランスとの関係にちょっとだけ触れる。次期フランス大統領の最有力候補、保守党のフランソワ・フィヨン氏は、プーチン大統領とは互いに首相だった時代に年2回定期的に会っていてかなり気心も知れた中。中東問題でも、ロシアの支持を受けたアサド政権を存続させ、イスラム国を鎮圧すべきだと主張している。
現オランド大統領は、ウクライナ問題、クリミア併合に際してロシアに制裁を科すべしとの国際的合意に沿い、フランスがロシアから受注してほとんど完成していた軍艦2隻の引き渡しを凍結した。プーチン大統領は、フランスに戦艦を発注することで雇用を作ってやったが、引き渡しをしないなら、いっこうに困らない、軍艦2隻程度でロシアの軍事力に影響なんかない。補償を求めたりしないが、先払いした金だけ返して 欲しいとコメントした。
その前のサルコジ大統領が就任したばかりの2007年に首脳会談を行い、張り切り過ぎたサルコジ氏がプーチンに向かって、反対勢力を 弾圧したり、ジャーナリストを暗殺したり、ホモ同士の結婚を認めないとか、ロシアは人権を認めていないじゃないですか、と批判すると、 黙って聴いていたプーチンは、一旦間を置くと、両手の平を合わせるくらいに近寄せ、フランスはこんなに小さい国だな。それに反して、 と今度は手のひらを両腕いっぱい広げて離し、こんなに大きい国なんだ。お前さんが、そういう調子でオレを非難し続けるなら、「叩き潰し(エクラゼ)てやるぜ」と恫喝した、という。
KGB出身の大統領は、世界の要人ひとりひとりのデータ・ファイルを持っていて、サルコジはお調子モンで目立ちたがりやだから、「顔を潰す」「恥をかかせる」「威厳を傷つける」のがいちばん効き目がある、と調べをつけてあったという。
フランスの極右政党のFN(国民戦線)はプーチン支持で、マリンヌ党首はEU会議で大半の代議員を前に、あんたがたはアサド大統領を失墜させようとし、シリアにイスラム国が勢力を拡大するのを許し、混乱を拡大させたではないか、と非難した。
年齢的にも若く、スポーツマンで国民の人気も高い。2018年に大統領選挙で再任は確実。その後もまた首相になり、ロシアは当分の間プーチンの治世は続くとフランスの世論は観ている。
