4歳と5歳の2年間を兵庫県但馬の養父郡八鹿村の田舎で祖母と二人きりで暮らした後、いよいよ東京へ帰るという日に、祖母が村の人に頼んで分けてもらった「ぐみ」の苗木を「これを記念に持っておゆき」と渡してくれました。
ぐみの苗木は新宿の家の裏庭に植えられ、それから15年間成長を続け、父がその家を売って引っ越すまで毎年親指の先ほどもある大粒の実を稔らせたのでした。
身近にある木のなかでいちばん思い出が深い木が、「グミ」の木だったのです。
引っ越し先の家にも、そのグミの木を持って行ったのですが、土が合わないのか日差しが変わったためか何かの理由で数年後に枯れてしまいました。
フランスの今の家の庭に前の家主さんが植えた数株の木があります。ものすごい繁殖力で毎年春から夏にかけて細いまっすぐな小枝を2・3mも伸ばし、刈り取るのに一苦労しています。道路わきの生垣などにも植えられフランスでは、ごくありふれた灌木です。
その木の枝と葉を見ているうちに、ひょっとしてこれはグミの一種ではないか? と思うようになりました。はじめは気がつかなかったのですが、春先に香りの好い地味な白い花をつけ、楕円形の実になります。今その実が赤く色づいてます。
大きさこそ違え、これは懐かしいグミの実そっくりですね。
この木の全体の姿はこんな風です↓
先月の帰郷で最後の日、旧知の千葉さんに水戸偕楽園に連れて行ってもらいました。茨城県立美術館で大観や春草の日本画を観た後、美術館の前庭を偕楽園に向かおうと歩いているうち、ふと脇の灌木に眼が止まりました。葉の形状、色、細かなつぶつぶがあるところ、枝ぶりなど、フランスの庭の木とそっくりではありませんか。
名札を見ると「ナワシログミ(グミ科)」とありました。
今のフランスの庭の赤い実をつける灌木は、やっぱり「グミ」の一種だったんです。





