新しい長編のための素描 その⑧ | 雷神トールのブログ

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トリウム発電について考える

ブランキングで四角く切られたスチールのシートがプレスに入り、型に載せられ、上型が4千トンの力で押すときの瞬間的な動きは想像力で想いうかべるしかない。


型



シートは周囲を型の縁で押さえられ凹凸の立体形に成形される。シートの縁が完全に押さえられて固定してしまえば凹凸に成形されるときに材料が伸びきって割けてしまうので、材料が凹凸の深さに応じて、適度に滑り込むように型の縁の押さえの部分の厚味を調整しなければならない。この押さえの強弱の判断は長年の経験とカンに頼るしかない。

型の内部での瞬間的なシートの運動様態を超高速カメラで写すことが出来れば一番いいのだが、未だ撮影に成功したという話を聞いたことがない。

想像力が要求されるのはこの時だ。修理を任された保全マンは想像力を十全に働かせて、ここにひび割れが出来るのは、こっち方向へ材料の送りが足りないため、こちら側の縁の抑えが強すぎるためだから、ここを削ってやらねばならない、と仮説を立て、削った後、トライ・プレスで実際に打ってみて確認した後に、初めて本番のラインに戻す。

しかし、実際は、縁の抑えの強弱だけでなく、材料のスチールの品質、シートの表面のオイルの量、プレスのスピードなど他のパラメーターも関係してるので、その辺を見極める経験とカンが必要なのだ。

4人のフランス人メンバーには暫く、廃材に溶接棒を使って肉盛りの訓練をさせておいて、おれはトライ・プレスの調整に入った。このプレスだけが型保全の管理下にあり自由に使える。型は一個だけしか入れることが出来ず、ほとんど手動のように使うことが出来る。

4千トンのトランスファー・プレスと2千トンの小型トランスファー・プレスは調整に手間取っており、まだ当分は生産に入れない状況で、部長は頭を抱えている。


 (つづく)

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