キューバ危機とケネデイー暗殺 | 雷神トールのブログ

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トリウム発電について考える

フルシチョフが何故突然キューバからミサイル撤去を決断したか? に関して未だに決定的な情報はない。憶測のひとつには、ロバート・ケネデイーとドブルイニン駐米ソ連大使とが密談をした同じ日に、間違った情報がフルシチョフのもとに飛び込み、それがフルシチョフの譲歩を生んだというもの。それは、ケネデイーが教会へ行き(日曜のことだった)、祈りを捧げた後、アメリカの全国民に向けて演説をする、というものだった。歴代のアメリカの大統領は戦争開始の直前に教会へ祈りを捧げた後、国民に向けて演説をするという前例があるので、ケネデイーはいよいよ核戦争も辞さず戦争の開始に踏み切ったとソ連側が誤解したというものだ。

真実に近いと思われる説は、米ソが
実際に戦端を開いた場合、ソ連は核装備の面でアメリカに格段に劣る(核爆弾の保有数はソ連300発、アメリカ5000発)ことを知っていたのでフルシチョフは負ける戦争で膨大な犠牲者を出すことを避け、キューバからミサイル撤去し譲歩した、というものだ。交換にアメリカは、ロバート・ケネデイーがドブルイニン駐米ソ連大使に告げたトルコからの中距離弾道弾ジュピターの撤去を実行し、キューバに武力介入をしないと約束した。

キューバ危機の緊迫した2週間は、さまざまな誤解、誤報、現実と憶測との乖離があり、一歩間違ったなら、全面核戦争、アポカリプスの危険を孕みながら、フルシチョフとケネデイーという2大国の若き指導者は、互いに敵対するイデオロギーと体制を持ちながら、最後まで冷静さを失わず、「対話」と「外交交渉」を続けた。キューバ危機の後、米ソ2国間には「ホットライン」が引かれ、緊急時に、両国首脳が直接電話で対話できる体制が設けられた。このことは、現在、日本が抱えている、外交上の問題(竹島、尖閣、北朝鮮のミサイル発射、核実験など)を考えるときに忘れてはならない。

フルシチョフはキューバに対するアメリカの干渉を阻止したことで満足し、戦争が開始されれば主戦場はヨーロッパになり第三次世界大戦が避けられないと見て、理性的な決断をした。しかし、この時のアメリカに対する譲歩が中央委員会総会で非難され、フルシチョフはキューバ危機から2年後に更迭された。


一方のJFケネデイーは、キューバ危機から半年後に、アメリカン大学において「平和への戦略構想」を発表した。

「アメリカとその同盟国、およびソ連とその同盟国は共に、真の公正な平和の確立と軍拡の停止に、相互に大きな利害を持つている。この目的に対する協定は、アメリカばかりでなくソ連の利益にもなるであろう。そしてどんな敵対的な国家でも、こうした条約義務だけは受諾し遵守することを期待してよいだろう。だから、われわれは両国の相違点に盲目であるべきではないが、同時に両国共通の利益とこれらの相違点を解消することのできる方策に注意を向けようではないか。またこれらの相違点を今すぐなくすことはできないにしても、少なくともこの世界に多様性が安全に存在することができるであろう。……」

ケネディはこの演説で「憎悪と無理解を超えて共に生き続けよう」と全世界に向けて呼びかけたのだった。

しかし、この演説こそが、ケネディ暗殺計画に最終ゴーサインを決定づけた、と言われている。この演説と同時にケネデイーは、アメリカの一方的な大気圏内核実験の停止を発表した。このことは、アメリカ内部の超保守派層、軍産複合体にとって致命的 な圧力であり、共産主義への迎合と見られた。

周知の通り、JFケネデーは、キューバ危機の翌年1963年11月2212時30分(現地時間)テキサス州ダラスで射殺された。

ケネデイー暗殺の真犯人が誰か? を巡って、事件から半世紀近くたった今日でも、諸説があり、完全に解明されてはいない。

事件直後、オズワルドが容疑者として逮捕されたが、直後にダラス警察署内でマフィアの一員ルビーの射殺され、そのルビーも事件のあと死亡している。暗殺主犯説で有力なものにマフィア説、軍産複合体の意を受けた政府首謀説がある。これは、ケネデイーがベトナム戦争からの早期撤退を計画していたために、戦争により得る筈の莫大な利益を失うアメリカの軍産複合体がマフィアなりCIAを動かし暗殺を実行したという説。実際、ケネデイー暗殺の謎にからみ、現場目撃者で証言可能な人物は13人もいたにもかかわらず、すべて変死または怪死を遂げている。そのことをみても、暗殺が単独犯ではなく、その後の事件が単なる偶然ではないことは確かだ。

感受性豊かな高校時代に、キューバ危機と、その後のケネデイー暗殺事件があり、渉は、アメリカが自由と民主主義を掲げる国でありながら、実際は暴力を内蔵する恐ろしい国なのだと理解するようになった。軍と産業の複合体は、利益のためには他国民も殺し、民衆によって選ばれた自国の大統領をも利益にそぐわないとみれば暗殺も辞さない野蛮な国なのだと思った。

  (つづく)

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