1) WF 法は、MTM 法に比べて作業速度が25% 速い。 WF 法は請負速度(125%)、 MTM 法は常雇い速度(100%)といわれている。
日本の工場は常雇いが皆請負速度で仕事をしてきたということになる。
請負速度とは工事などを請負契約で受注した場合、材料費もコストも人件費も全部一括込みの金額なので、仕事を早くすればするほど利益が出る。従って全員が出せる限りのスピードで働くということ。一方の常雇い速度は給料は一定なのでマイペースで仕事するというほどの意味です。
2) 分析単位の大きさの違い。MTM 法は大体サーブリック単位なのに対し、WF法は、もっと細かい分析単位(100分の1秒単位)。
ヨーロッパの工場を訪れると、ゆったりしたリズムで仕事をしている印象を受けます。前に書いたようにヨーロッパではMTMを標準に取り入れてます。仕事の速度を決める基準が違うのでゆっくりは当然なのです。
別の規格としては同じヨーロッパでも英国と大陸では距離、重量に関し、メートル法とヤード・ポンド法と違った規格が現在も使われています。
3年ほど前、別のブログで、距離の単位について投稿しましたが(2008/5/01投稿:メートル法 、同/5/12: 時間についてをご参照ください)、それは「仕事の速度」にも規格があり、日本とフランスでは適用されている規格が違うことを言うための伏線でした。
WF 法もMTM 法も標準時間設定法の二大代表で、既設時間標準法= PTS法 ( Predetermined Time Standard System )といわれる標準です。
PTSは、Predetermined という言葉が示すとおり、「前もって定められた時間 」を、すべての人が行う作業、または作業方法を、それに要すべき基本動作に分析し、各基本動作の性質と条件に応じて、「当て嵌める」方法です。
それは、次のような前提に基づいて築かれています。
「人間の動作は、それが機械その他により、速度が制約されない限り、その作業に習熟した者が、一定の努力で行ったならば、だれが行っても、だいたい、一定の時間で行われる」
この前提は、なにも恣意的に決められた観念的なものでなく、前出のクイックや メイナードなどの実験と統計に基づいた根拠のあるものです。
皆さんは、「だれが行っても、だいたい、一定の時間で行われる」というところに同意できるでしょうか?
男も女も、若き青年も年寄りも、欧米人も東洋人も、同じ動作なら同じ時間で行われる、というが本当だろうか ?
パリの中華食品店で買い物をすると、フランス人のキャッシャーのスピード、というより、のろさに慣れたわれわれは、その迅速さに驚かされます。東洋人は数倍は早い。この違いはどこからくるのか ?
同じ作業に、こうもあからさまな違いを示されると、上のPTSの大前提が、もしや、ユークリッド幾何学における「公理」みたいな、イデアの世界にのみ存在する、ある程度現実とは距離がある仮定ではないかと疑ってみたくなります。
ですが、上の定義には、ちゃんと、「一定の努力で行ったならば」という条件がついてます。ということは、速度が数倍も早く感じられる、中華食品店のキャッシャーは人並み以上の努力をし、フランスの店のキャッシャーは努力を怠っているということになりますね(
)。注記 : ここまでの項を書くに当たり次の本に援助を仰ぎました。
日刊工業新聞社 「作業研究」 通商産業省産業構造審議会、管理部会編
PTS法は、建設工事の見積りなどにも使われています。自動車の修理や定期点検の料金表を作る時にも、この手法があるから前もって実際と大差のない金額が算定できます。今日の我々は知らず知らず、この手法のお世話になってるのです。
たとえば車の5万キロ点検には、オイル交換、ブレーキ点検、フィルター交換など、行うべき作業項目が決められているし、それぞれの作業に、メカニシャンが要する時間が標準時間として決められているから、メカニシャンの人件費+オイル代+諸経費で料金が出せます。
公共事業、ビルの建設工事の入札にも、工事を行う前から、金額が見積もれるのは、建設会社が各種工事の標準を持っているからです。それぞれの作業に要するマンアワーが幾らと、データの蓄積があるから積算ができます。
個人の家の工事でも、業者からまず見積りを取り銀行から資金を借りる場合、見積書の金額に基づいてローンが組まれ、工事が終わった後の支払いも原則、見積書の金額通り、セントの単位まで正確に支払われるから業者にとって見積りは収益上とても重要ですね。
自動車工場の組立ラインでは、モデルチェンジや増産、減産など生産台数の調整 が必要になり、ラインの編成変えをやる時も、現場がもっている標準作業書や標準時間をベースに行われます。
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