14 - 3 友情のため | 雷神トールのブログ

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トリウム発電について考える

 「正しいこと。良い事に使うんなら許されると思った。盗むってことにちょっぴり良心が傷んだけど。環境保護に役立つし、ムホクのコンサートは資金的に苦しいから一万フラン援助した。むろん、空を飛ぶ夢を実現するのが第一だったけど」

 「大儀のために小さな悪は許されるってのは昔から悪人の口実だ。社会正義、歴史的必然、真理なんて名のもとに、人間は悪を犯してきたじゃないか。正義とか歴史的必然とか真理とかいう言葉にいとも簡単に人間は騙されてしまう。怖いのは自分で自分にだまされることだ。正しいことのためって考えにだまされる。

 ほんとの英雄は坂本龍馬みたいに国脱けや密輸もするが日本の人民の将来のために危険を省みず一身を投げうって闘った人間のことだ。金もうけもちゃんと出来るがそれ以上のことをやる。現代のように世間が複雑になれば龍馬のような生き方は単なるずぼらやホラ吹きに終わりかねないがね。お前はムホクとケバウへの友情のために盗んだんだな」

 武彦は息子を鋭い眼で睨んだ。和秋はひとつ頷くとうつむいたまま黙った。沈黙がふたりを支配した。その重みに耐えかねたように武彦が口を開いた。

 「友情のためにってとこは金のために盗む小悪党よりちょっとはマシだが、盗むとき父親を裏切るってお前は感じたのか?裏切ったってのが僕にはシャクだ。息子と妻に裏切られた父親は昔の約束をホゴにする権利があるわけだな」

 (つづく)

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