13 - 2 埠頭の偵察 | 雷神トールのブログ
こうした理由があって、大勢で動くことは敵と警察の眼を引き、邪魔が入る確率を高めるので当面避けようとみんなで決め、ダンテク一味の動向とコルビエールの証拠固めにはムホクとケバウと和秋の三人だけで当たり、騎士たちは後方で援護し、いざという場合にすぐにでも行動に移れるよう力を蓄えスタンバイすることになった。ケバウは騎士の全員に携帯電話を配りムホクのところへいつでも情報が集まるよう手を打った。
七月十九日。ムホクと和秋とケバウは昼間のうちにイカルス石油のタンカーが到着する埠頭の周辺を偵察しておく必要があると話し合い、魚釣りをしながら桟橋や発電所の石炭積み上げ埠頭、その向こうの石油ターミナルの位置関係、アクセスなどを調べに行った。
発電所の脇から長く伸びる石炭陸揚げ埠頭には、大規模なコンベアベルトと石炭を掴み取るバケツクレーンが轟々と音を立て、潮風に黒い粉塵を撒き散らしながら稼動していた。
その先にコンテナを牽引するトラック駆動部の駐車場があり、その隅に和秋はR5を停めた。駐車場の向うは海で、船舶修理用ドックの残骸らしい船腹の曲面の形をした巨大なコンクリートの壁が半ば海に突出する形でそそり立っていた。満ち潮らしく黄緑色の海水が力強い勢いで護岸用のスチールの杭や閘門を支える柱にぶつかっていた。
(つづく)
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