12 - 3 種明かし | 雷神トールのブログ

雷神トールのブログ

トリウム発電について考える

 倉庫を出るとき、ケバウはムホクにエイズに感染した血液をどうやって手に入れたんだと訊いた。ムホクは笑い、あいつらを脅すのにああ言っただけで、むろん出鱈目さ。ブーダンを作るのに市場で売ってるブタの血に、ちょっぴり水虫の皮を入れといた。

フランスの田舎暮らし-boudin254


 スキンヘッドだってエイズが怖い。あいつが駄目でもセバスチャンは報告してくる。宦官は恐ろしいからね。男根を失い、顔も醜くなればオカマにもなれやしない。あれも脅しだけど、まったく、根拠がないわけじゃない。なあ。李先生、とムホクは李を見てウインクした。李は眼鏡の下の茶色の眼をクリクリ回して意味ありげな笑いを浮かべた。


 今の段階で警察へ訴え出るには証拠不十分で不起訴になる怖れがある。特にスキンヘッドとダンテクの関係をもっと徹底的に証拠固めをやる必要がある。

 和秋たちは、ごろつきどもが眠っている間に倉庫を調べた。ポルノ・ヴィデオの撮影に使うダブルベッドと照明器具。ここで危うくジャンヌは赤ら顔の餌食になるところだったのだ。

 ダンボール箱がたくさん積んであった。開けてみるとサジーの実の絵が入ったエナジー・ドリンクの缶がぎっしり詰まっていた。ああ、これ。いつかシャルルが話したシベリヤで採れる生命力の強い植物の実ってのは。ケバウは一個を取り出して缶を開け試し飲みをすると、けっこういけるぜこれとおどけ声で言った。

 その脇に空箱に見せかけて五六個積んである木箱があった。ひとつを開けると武器が入っていた。ムホクはカバンから小型カメラを出し写真を撮った。これだけでも警察に届け出る価値はあるが、密輸の現場を押さえたかった。それにダンテクより上にいるコルビエール、そのさらに上にいる連中も挙げたかった。

 (つづく)

ポチッと応援ありがとうございます↓
連載の励みになります。

にほんブログ村 小説ブログ 長編小説へ
にほんブログ村