その隙にスキンヘッドは舞台を飛び降り出口へ向かって逃げて行った。
髭の男は二回横転すると、跳ねるように起き上がり、態勢を立て直すと腰を落としナイフを手に身構えた。ケバウは脇にあった金属の椅子を両手に構え、男に向った。おおぜいに囲まれて、形勢不利と見た男は、豹のようなしなやかさで舞台を飛び降り、固唾をのんで見守っている聴衆をナイフで脅しながら出口へ逃げた。
そのときホールの入口でざわめきが聞こえた。フーリガンを連れたスキンヘッドの仲間が会場に押し掛けてきた。ジーンズにTシャツ姿の頭髪をそり落としたスキンヘッドとフーリガン十人ばかりがドアを押し開けエンントランスに進入してきた。ケバウ、和秋、それにMALのメンバーは階段を駆け上った。円卓の騎士の全員が襲撃を迎え撃つためにそれぞれ剣を手に、舞台を駆け下りた。
素手で襲ってきた相手にはこちらも素手で迎え打たねばならない。剣を置くと和秋はいつか道ですれ違ったフーリガンに向っていった。男のいちばん隙のありそうな鳩尾に一撃をくらわせようと和秋は拳を斜め下に構え突進したが、男は和秋が拳を突き出す前にソフトボールくらい大きな拳固を隙だらけの和秋の左頬に叩き込んだ。
バシッと猛烈な一撃を受けた和秋は天井がひっくり返るのが見え、目眩と衝撃で床にもんどりうって倒れた。和秋は一瞬意識を失った。ようやく意識が回復し朦朧とした和秋の眼に、斜め前でケバウがスキンヘッドの青年と奮闘している姿が映った。
ケバウも敵と対等に闘うために剣を捨て素手で向かっていた。結成したばかりの円卓の騎士団はさっそくのレイシストたちとの実戦に欣喜して立ち向かっていた。しかし体力的には圧倒的にレイシストがまさっていた。腹や顔に攻撃をくらいながら円卓の騎士団はけなげに奮戦していた。
(つづく)
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