間189km。ゴールのアヴォリアズは標高1796m。
ラマズ峠 Col de Ramaz は第1カテゴリーの峠で標高645mの地点から標高1619mの頂上までを14kmの行程で走る。今季初の難関。傾斜は9.5%ときつい。
スタート直後にいきなり転倒があり、大勢の選手が巻き込まれた。アームストロングと、昨日までの赤の水玉ジャージーのジェローム・ピノー、総合14位のカデル・エヴァンスもこのため数分遅れをとった。
ゴールまで130kmの地点からはずっと昨日イエロー・ジャージーを奪ったシルヴァン・シャバネルが所属するクイック・ステップ・チームがプロトン(peloton 後続集団)を引っ張る。先行は7人の走者。
コースはジュラ県から上サヴォワ県に入った。山に入る前に最初の中間スプリントがある。通過点の順位によりポイントがつく。峠と峠の間の平地には数か所のスプリントがある。この総合によりグリーン・ジャージーが贈られる。ずっとノルウェーのユショヴが着ている。
ゴールへあと50kmの地点で、アームストロングが2度目の転倒。ロータリーを回る時、タイヤが歩道の縁石に触れ自転車が壊れた。チームメートが集まり応急手当てをし自転車を新品と交換。ユニフォームの背中が数か所破れ擦り傷が痛々しい。
峠にかかり選手が次々と脱落して行く。今日のレース出場者は186人。すでに11人が姿を消している。暑い。山の紫外線が直接身体を焼く。ペットボトルの水を首、背中、頭に振りかけて走る。
峠の途中で勝敗が見えはじめた。昨日の優勝者シャバネルが遅れ、イエロー・ジャージーは他の誰かに渡さねばならない事が確実になった。みな身体を左右に揺すり数センチずつ登ってゆく。アームストロングが徐々に遅れてゆく。
この時、満を持していたコンタドールがリーダーのアスタナ・チームが先頭に立つ。ターキッシュ・ブルーとイエローの爽やかなユニフォーム。カザクスタンのチームだ。コンタドールを入れ四人がプロトンを引っ張る。
ラマズ峠の頂上で1着の選手には15点。今日の区間優勝者には30点が与えられる。
頂上からゴールまで30km。下り坂を全速力で飛ばす。時速80kmは出る。
シャバネルはここが起死回生のチャンス。だが、挽回はならなかった。
残り25kmでアームストロングが3度目の転倒。というか転倒した選手に阻まれ立ち往生。祟られた一日だった。これで10位入賞は諦めねばならないだろう。
最後の上り坂は傾斜7~8%。残り13.5km。先行は3人に減り、コンタドールとチームメイト3人がピッチをあげる。久しぶりにアヒルのダンスが見られた。
先頭を切るのは、スペイン・チャンピオンのヨアヒム・ロドリゲス。それを追ってアスタナの3人が引っ張る後続集団は14人に減っている。コンタドールをルクセンブルグのアンデイ・シュレックがぴったりマークしている。

アンデイーはいつも若者最優秀選手に贈られる白ジャージーを着るが、今年はレース開始直後のベルギーで兄が転倒で大怪我をし、その夜ルクセンブルグの病院で手術するなど心理的に優れなかった。
残り2kmで、コンタドールがスパートしかけたが、疲れが見え、他を引き離せない。明日は休息日なんだから、全力を出し切れるはずと解説者が期待を裏切られ失望の声を連発。しかし、昨年の王者は順位を3つも詰めた。
最後は若いアンデイー・シュレックとオリンピック・メダリスト、スペインのサミュエル・サンチェスが競り合い、ルクセンブルグのシェレックが区間優勝を果たした。
個人総合の順位が大幅に入れ替わった。やはり山は怖い。
1位カデル・エヴァンス(オーストラリア)
2位アンデイー・シェレック(ルクセンブルグ)
3位アルベルト・コンタドール(スペイン)
アームストロングは2度の転落が祟って39位。日本の新城は122位となった。
グリーン・ジャージーはノルウエーのユショヴが、赤水玉はピノーが保持した。
12日(月曜日)は休息日で14日(火曜)はシャンベリーChambery~ ギャップGap のやはり山岳コース。