先日の記事で書いた通り、すっかり特養に馴染んでいる父。

 

 

 

 

 

 

父は会って早々に、

「今日、ここに泊まって行ったら?」

と言いました。

 

わたしは完全に「帰りたい」と言われる心の準備しかしていないので、びっくりしてしまいました。

 

 

「今日泊まれるか、おれが事務員に聞いてこようか」

と席を立とうとする父。

 

びっくりした気持ちを何とか抑え、

「後でいいから」

と答えて父を席に留めました。

 

「おれの部屋に案内しようか?そんなに片付いているわけじゃないけど」

と言うので、自分の部屋がここにあるのだということも認識している様子でした。

 

 

その後も父は何度か、

「今日ここに泊まって行くといいよ」

と言いました。

 

「泊まれたらいいんだけどね。今日は用事があるから」

とお断りしました。

 

わたしが結婚してから夫と共に実家に帰ると、父はいつも「今日は泊まって行ったら?」といつも言っていたので、少し懐かしい気持ちになりました。

 

父にとって「泊まっていったら?」という言葉はきっと「もっと一緒にいたい」とか「会えて嬉しい」という意味だと思います。歓迎してくれているんですね。

 

 

 

父の言動から推測するに、父にとって特養はすっかり自宅になったようです。

 

え、一ヶ月で?

早くない?

 

ショートステイの時は、慣れるまで4ヶ月くらいかかったように見えたので特養もそれくらいかかるかと考えていました。

 

ショートステイで施設での生活に慣れたのもあるだろうし、ショートステイと違って家に帰ることもないから逆に落ち着けるのかも。

 

もちろん、今の施設の方たちがよくしてくれることが一番大きいと思います。

コロナ禍で施設選びのための見学はできなかったけれど、いい施設に巡り会えました。

 

 

施設の職員さんが「そろそろお時間です」と父を迎えに来ました。

「お父さん、今日は忙しいところありがとう。会えて嬉しかったよ」

わたしが言うと、父は

「こちらこそありがとう」

と答えて、職員さんに連れられて立ち止まりもせず、振り返りもせずに去って行きました。

 

ちょっと寂しいけど、父がおだやかに過ごせているなら素晴らしいことです。