特養に入所した父が、予想に反してめちゃめちゃ馴染んでいました。
面会はビニールカーテン越しだったのですが、最初顔を合わせた時、父はわたしのことを認識していませんでした。マスクをしていたせいもあると思います。
よくわからないまま連れてこられて「どうも」みたいなことをごにょごにょ言いながらわたしに向かっておじぎをして、用意されていた椅子に腰掛けた父。

こんなこともあろうかと、
『お父さん (娘)が会いに来たよ』
と書いたスケッチブックを用意してきました。
スケッチブックを父に見えるように掲げると、それをじっと見つめる父。しばしの間をおいて、
「(娘)ちゃんかあ!」
とようやく気づきました。
文字を読んでわたしを娘と認識してもらえたのでよかったです。
「久しぶりだなあ。5年ぶりか?」
一ヶ月ぶりです。
「よくここがわかったなあ!」
よくわかったも何も、入所する時一緒にいましたけど。
「お父さん、『よくわかったなあ』ってことは内緒でここに来たの?」
とわたしが問うと、
「どうやってここに来たかって?それは家に帰って日記を読めばわかるけれど、今はちょっと思い出せないな」
と答える父。
わたしは知ってますけどね。


