今週の刃牙らへん/第52話 | すっぴんマスター

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(※注:ゲーム攻略サイトではありません)書店員。読んだ小説などについて書いています。基本ネタバレしてますので注意。気になる点ありましたらコメントなどで指摘していただけるとうれしいです。

第52話/児戯




じぶんが更新遅れているぶん、一週勘違いしていた。すみません。まあ、もともと最近はこんな感じのペースだが…。というわけで駆け足でいきます。



刃牙の強さを武術家として正しく疑い、尾行する加藤。尾行はいいとして、いつどこでしかけるか加藤は迷っている。と、前方をいく刃牙が急に曲がり、危うく見失いかける。もちろんそうはならない。とっくに尾行に気づいていた刃牙が相手を気遣っていい感じの駐車場に入ってくれたのだ。


刃牙は相手が加藤だとまではわからなかったようだ。気配がありすぎて、誰かがきているのだけわかった感じである。それでおあつらえ向きの駐車場に入っているのだから、主導権はもう刃牙のものだ。尾行する意味なかったな。


バレバレだったのがじゃっかん気まずいが、気を取り直し、加藤は疑っていることを述べる。こわいもんなしみたいな顔してるけど、そんなに強いんだっけ?と、これから負けるひとみたいなからみかただ。まあ負けるんだけど。

ただ、じっさい刃牙の態度は「なぜか親戚の評価はやたら高い悪役令嬢」みたいで、鼻にはつく。明らかに加藤をなめており、これはちょっとムカつくかもしれない。

刃牙は、加藤さんなんだから不意打ちしたらいいのにと、加藤でなくてもどういう意味だと言いたくなる言い草だ。とはいえ奇襲不意打ちは事実実戦派の加藤には自然な行動でもある。無意識に実力差は理解しており、奇襲をかけることで現れるかもしれない刃牙の「本身」を回避しているのかもしれない。


不意打ちをしなかったのはその必要がないから…などとしゃべりながら加藤がしかける。なにかはわからないが左手だ。しかし刃牙の右縦拳がこれにあわせて加藤の眼前にそっと置かれる。「グー」と。これを弾く加藤の動作にあわせて「チョキ」が目の下に添えられる。最後に放たれた左上段には金的への「パー」である。じゃんけん、児戯というわけである。


金的を叩かれて苦しむ加藤の手を刃牙が握って起こす。チャンスとみた加藤だがあっさり合気でからだが回転。ちょうど握手の態勢である。ここで終わりにしませんか?という刃牙の言葉を受け、加藤は「お見それしました」と負けを認めるのだった。



つづく



だめか。まあ、そりゃあそうだよな。あまりにもかけはなれた実力。加藤、心折れないかな…。


刃牙にとっては児戯に等しいファイトだったわけだが、ここには刃牙独特のサディズムというか、彼の嫌なぶぶんがよく出ている。たんにじゃんけんという児戯に等しいたたかいであると表象するだけでもなかなかだが、その全パターンを刃牙はやったわけである。つまり、加藤はなにを出してもこのじゃんけんには負けるのである。刃牙は手を抜かれた相手の気持ちをピクル戦を通じて知っているはずだ。つまり、わかってやっているのである。

ただ、刃牙はピクルに手を抜かれたとき奮起してもいるので、そのように決めつける前に一考する余地はあるかもしれない。このように格下扱いされることでむしろひとは強くなると、刃牙はじぶんを標準としたときに考えている可能性があるのだ。加藤とは長い付き合いである。そうであってほしい。


加藤の疑いは粉々に砕けて消滅したことだろう。彼自身いうように、疑いをなくしたら武術家はおしまいだ。なぜなら、武術家とは、究極「じぶんがいちばん」だからである。しかし、とはいえ、刃牙との実力差を、加藤もほんとうはわかっていたはずだ。たしかに最近は刃牙世界のトップファイターでもその強さが「リアル」になってきているぶぶんがあり、これは親子喧嘩終了と無関係ではない。親子喧嘩を経て宮本武蔵に至り、そして大相撲編で実践されることで、刃牙らが住む裏世界とボクシングのチャンピオンや力士が生きる、監視カメラを通じて独歩の危険な技や勇次郎の不死身っぷりを見る表世界は繋がった。この結果として、本部のような意外なキャラが活躍するようにもなったのである。


詳細は以下に。記事4本、めちゃくちゃ長いけど、刃牙道まとめに書いた考察記事です。おもしろいよ!





こういうわけで、板垣作品である餓狼伝を読んだ後だと「強さ」のものさしが狂い、ぼくもこの感覚になるが、なんか刃牙の強さが計測できるような感じがしてしまうのだ。

加藤はそんなメタ事情は知らないわけだが、一種の波が来ているのだろうとは思われる。表裏合体それじたいは、作品世界のなかでじっさいに起きているからだ。となれば、「じぶんがいちばん」である武術家がじしんの度量衡を疑うのも自然なことである。価値観が変わりつつあるなかに彼は生きているわけなのだから。


しかしそれでもやっぱり刃牙は圧倒的に強かった。こうみると、案外加藤のメンタルも心配はいらないかもしれない。価値観が微妙に変化した世界で、加藤は「あの体格でそこまで強いなんてありうるか?」という、極めて常識的な疑問を抱えたのである。事実としてはありうるわけだが、加藤にはそれでも、新しい世界の座標軸の内側にじぶんの位置を見定める必要があったのだろう。


また、自明視されてきた「範馬の血」について加藤が少しでも触れてくれたことも今回は大きかった。広い意味での「刃牙らへん」は、そんなことをわけ知り顔に語る者たちではほんらいないはずである。独歩も、渋川も、ジャックも、じぶんがいちばん強くありたいはずだ。それを彼らが、また作品が思い出すきっかけになればとおもうが、難しいのかな。











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