すっぴんマスター2024-読書・漫画 | すっぴんマスター

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(※注:ゲーム攻略サイトではありません)書店員。読んだ小説などについて書いています。基本ネタバレしてますので注意。気になる点ありましたらコメントなどで指摘していただけるとうれしいです。

年末投稿、もともと漫画と、小説など文筆作品はわけて見てきたが、去年より同じ記事にまとめることにしました。


【漫画】

今年は『税金で買った本』9巻から『蟻の王』19巻まで、ぜんぶで55冊の漫画を読んだ。まあこんなものなのかな。体感的にはちょうどいいけど、月5冊くらいが望ましい?減らそうとはしてきているわけなんだけど、読みたくないわけではないし、あんまり読まないでいるとものすごい速さで感性が鈍るので…。とはいえすでに、本に関わってはいるけど書店の現場からは離れているという状況で、信じられないことを忘れたりしてる。出版社とかどんどん忘れてんだよな…。現場のひとたちは、戻ったらすぐ思い出すよとなぐさめてくれるが…。コミックは関係ないが、特に2年か3年いた専門書エリアでの得難い知識が失われるのは痛い。


現状、継続して読んでるものの新刊を買うばかりで、もはや感覚が鈍るもなにもないわけだが、今年はなにかおもしろいことあったかな…。テラフォーマーズ再開くらい? 前の巻を覚えていない、そして見つからないという状況だったがおもしろかった。テラフォーマーズを読むとむかしの勤務店、閉店させてしまった店を思い出して少し切なくなる…。


それから、もともとバキキャラが好きな相方が、スピンオフの『ガイアとシコルスキー』にハマり出して、読み直したり、バキアニメをくりかえし見たりもしたな。実際『ガイアとシコルスキー』はかなりおもしろい。最近『花のチハル』も読んだけど、バキのスピンオフはみんな絵がうまいし愛にあふれていて最高だ。どのくらい板垣先生が関与してるのか不明だが、二次創作的には終わらせないという気概も感じさせる。ゲストキャラも楽しいし、本編では板垣先生が直感で突破したとおもわれる箇所を納得いくかたちで補ってくれたり、とにかく楽しいのひとことである。あとそうだ、最近まで知らなくて、それを知ったから読んだのだが、『花のチハル』には龍書文と郭春成が出てくるぞ。








【小説・評論など】

漫画以外では12冊だった。書店所属でこんなブログをやっているということを考えたら呆れてしまう数字だが、去年が9冊だったので、少し戻ってよかった…。何回も書くけど、このブログは書評ブログである。訓練のため、おもしろくてもおもしろくなくても、読んだものについてはすべて書くということだけ決めて始めたものだった。いまみなさんが読んでいる、この、これは、そうしたことの実りである。その評価は読む方がすることだが、そういう方法が一定以上の成果をもたらしたことは実感として理解している。問題は、そうすることによって読む量が桁違いに少なくなってしまったということだった。一冊一冊、なにかそれなりのことを書こうとして読んでいたら、当然精読することになるし、書く時間もしっかりとらねばならず、読書量激減はものの道理だった。というわけで、ぼちぼちぼくなりのスタイルもできてきたし(15年とかそれをやってたわけだから当然なのだが)、いったんこの「必ず書く」をやめようということになったのである。でどうなったかというと、書評を書かなくなり、それでいて少子化のように読書量減は止まらないのだった。とりあえず今年はわずかに持ち直したけどさ…。

骨の髄までしみついた精読癖がもう抜けないんだろうなとはおもう。まあそれはそれでいいことなんだろうけど、もっと斜め読みとかできないかなこのひと。作家が手すさびで書いた軽い随筆を、なんでそんなガンギマリの顔で読むかな。読書とは闘争なのか?力の解放なのか?解放のカタルシスを得るために力んで読んでるのか?ある種そうなのかも…

去年同様、通勤時に仕事に関係する論文を読みまくっているというのはあった。必要な読書ではないが、せっかくなのでちゃんとやろう、という感じで、なになにの本を集めて紹介する、など、ことあるごとに正確な知識や認識を得るために関係するものを複数読むようにしているのである。公共系のお仕事なので、なるべくバイアスをかけたくないのだ。

電子も読んでるが、今年はわりと読み切れた電子が多くて(5冊)、それはまあよかったかも。


たった12冊なので書き出しちゃうと、トマス・ハーディ『ハーディ短編集』、ダニエル・ソロー『証明の読み方・考え方 原著第6版』、芹沢正三『素数入門』、東浩紀『訂正する力』、土屋恵一郎『怪物ベンサム』、五十嵐太郎『誰のための排除アート?』、ツルゲーネフ『ルーヂン』、保坂和志『生きる歓び』、瀬山士郎『集合と位相』、野村修也『説得力を高めたい人のための法的思考入門』、北村英治『なつかしのジャズ名曲CDブック』、三宅香帆『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』、以上。トマス・ハーディ読んだの今年だったか。おもしろかったよなあ。


数学の本を3冊読めたのはよかった。と言ってもうち2冊はブルーバックスで、通勤中の電子だから、計算や証明も目で追うだけだったけど。

ただ、去年も紹介した、共立出版から復刊された『証明の読み方・考え方』はかなり良かった。時間かけてじっくり読んだし、いまでも拾い読みしてる。ぜんぶ初歩といえばそうなんだけど、すべての技術を手癖で終わらせずにゆっくり解説していく本なので、なにより知的興奮がすごかった。数学やらないひとにもおすすめ。きっと日常生活や仕事にも生きる。


そういう意味では『説得力を高めたい人のための法的思考入門』も実践的かな。あんなに広い領域をよくこんなにコンパクトにまとめたなあとおもう。不足を感じたら、巻末にぎっしり参考文献があるからそれを追えばよい。





12冊でベスト本もないが、その証明の本と、小説なら『ルーヂン』かなあ…。1年くらい前にロシア文学の「余計者」について研究していて、その流れで買ってあったのを一気読みした。ドブロリューボフとか読んでた頃。たんに「余計者」の概念だけをみると気付けない悲劇性みたいのを、ツルゲーネフもこんな時代からちゃんと書いていた。しょうもないんだけど、あわれみと、ある種の共感こみで描かれてる。





読み終えてはいないんだけど、今年はやたらと岩波文庫でロシア文学の本買ってたかも。ブルガーコフとかプラトーノフ。来年はまずそのへんから読んでいこうかな。


仕事と趣味をかねた法律系の本は、まずは著作権とプライバシー権を極めなければというのがあるのに、今年もぜんぜんやらなかった。九条の大罪の感想書いてるせいか、そういうのより刑法の論文とかが多めになっちゃう。刑法学の泰斗・団藤重光『法学の基礎』もついに買った。まだぜんぜん読んでないけど。

そんなところです。

あと、超話題作の『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』、新書とはおもえない読み応えの労作なので、おすすめです。久しぶりに批評を読む興奮を味わいました。









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