第22話/都心での生き方
今週、っていうか先週の刃牙らへんです。
更新がぐだぐだになっていてすみません。
最近モンハンライズ/サンブレイクを買ってしまい、そのせいではないのですが、そのせいで書きものに割く時間が…いやモンハンのせいじゃないんだった。
すでに九条掲載のスピリッツが出ているうえに、刃牙らへん掲載チャンピオンが明日発売…ということで、今日も駆け足で。
勇次郎とジャックの戯れが済んだあと、久々にピクルの日常が描かれる。ふつうに、人々の歩く道をボーっと進んでいる。
パンツを履くようになっただけでなく、かなり汚れてはいるが、上着まで着るようになっている。パンツはヒョウ柄で、上着も、汚れているぶん、なにか迷彩色っぽくみえる。人類として衣服を着用するようになったというより、そのほうが楽、安全みたいな動機による着衣かもしれない。
2メートル以上はあるピクル。猫背でも一般人よりはるかに高い位置にあたまがある。服からのぞく筋肉の隆起も到底ホームレス的ではない。つまり、なんなのかさっぱりわからないのだった。
ゴミ捨て場にやってきたピクルは、多くのひとが見守るなかで、たむろしていたカラス3羽を、手と口を使いいちどにつかまえ、そしていちどに羽も残さず食べ始める。
続けてゴミをじっと見てにおいを嗅いだあと、ゴミから流れ出る液体をすすりはじめる。描写的に、ピクルにはいいにおいに感じられたらしい。これは、飲んだら死ぬやつだ。通行人にもそう言っているものがいる。だがピクルはおいしそうにそれをすすりきるのだった。
また歩き始めたピクルの前に、光成とジャック。ピクルは、保存食にしたジャックのことを覚えているだろうか。実力差は歴然としていたが、倒してもまたよみがえるゾンビ的な相手として、ジャックはピクルを恐怖させた男だ。そのへんのことはピクルも覚えているかもしれない。だとしたら、保存食がまたこうして立っていたとしても、ピクル的には整合性があるわけである。
バカでかいピクルを、ジャックはすでに身長で上回っている。ピクルは純粋だから、サイズのちがいに混乱しているのかもしれない。
光成はピクルのにおいのことばかり言ってうるさいが、歩み寄ったジャックは迷いなくピクルを抱きしめる。ずっとずっと君を想い続けていたと。
つづく
ジャックの抱きしめかたはこころからの愛情や敬意が感じられる種類のものだ。
バキ世界では、「想い続ける」ことは珍しくない。たたかいたいという衝動においてである。じっさい、ジャックとピクルもそうなっていくのだろう。しかしここには別のものも感じられる。それが、愛であり、敬意であり、シンパシーなのだ。なにについてのシンパシーか。むろん、「エエカッコしい」ではない、つまり非「刃牙らへん」としての共鳴である。今回、いやというほど克明に、ピクルの日常が描かれたのは、彼が人の目なんかまったく気にしない、非「刃牙らへん」であることを示すためだ。カラスを捕まえて食べる描写に、ある種のカッコよさは見られない。野性という野性も、ピクルほどセンセーショナルな存在なら、もっといい描写はあった。しかし今回はそうならなかった。今回の描写の眼目は、彼にとっての必要のために発生する行動に、他者の目なんか入る余地はないということなのだ。
ピクルは原始のひとで、他者的なものに対する感覚も我々とは異なっているから、ある程度までこれは自然なことといえる。ジャックも、かなりのぶぶん自然に、求道者として噛道を選んできた。だが彼は現代人である。ときには、エエカッコをしたいという欲望が生じることもあるだろう。そういうとき、ジャックのあたまにピクルの姿がよぎるのである。だから、ジャックは、ずっとピクルのことを、敬意をこめて想い続けてきたのだ。
↓刃牙らへん 2巻 8月7日発売予定
管理人ほしいものリスト↓
https://www.amazon.jp/hz/wishlist/ls/1TR1AJMVHZPJY?ref_=wl_share
note(有料記事)↓
お仕事の連絡はこちらまで↓