『条文の読み方』法政執務・法令用語研究会 | すっぴんマスター

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(※注:ゲーム攻略サイトではありません)書店員。読んだ小説などについて書いています。基本ネタバレしてますので注意。気になる点ありましたらコメントなどで指摘していただけるとうれしいです。

▪️『条文の読み方(第2版)』法政執務・法令用語研究会 有斐閣






好評書の待望の新版。「基礎知識編」では,法制執務の全体像を体系的に提示するために,Q&A方式から,平易さを維持しつつ章立てによる解説方式に変更。「法令用語編」において解説する法令用語も見直し,解説のアップデートや用語の差替えでリニューアル

Amazon商品説明より



もともと法律の本を読むのは好きだったが、それは新書などに限ったことで、それも憲法学、もっといえば長谷部恭男のものばかりだった。あんまり覚えていないが、現政権に至るまでの問題で、憲法改正、また改正案が話題になって、そのときはけっこう苦手意識のあった憲法、また法律の本を読んでいこうとなったんじゃないかなとおもう。

長谷部恭男はおもしろかった。いまでも好きだが、おもしろい以外出てこなった。おそらく初学者にもわかりやすくということなのだろうが、関連する文学作品なども散りばめられているのもよかった。それにゲーム理論…。最初は新書かなんかを読んだとおもうが、やがで高めの論文集などにすすんでもおもしろさは失われなかった。内容にしても、よく知る哲学書とそう異なるものでもなかった。書店員としてもいいタイミングで会社がかわり、専門書エリアに入ることができたのもよかった。有斐閣、日本評論社、ぎょうせい、日本法令、弘文堂…。郊外店にいるだけではせいぜい客注で見る程度のものだった数々の出版社を、そこで知ることができた。当然、それを並べようとしたら、知らなくてはならない。こうして、素人なりの法学書あさりが始まったのだった。




本書は法律に出現する独特の用語、また言い回しを解説したものだ。執筆は衆議院法制局の方々で、薄手ながら非常にしっかりした内容である。専門書売りをしていた当時から本の存在はもちろん知っていて、ポケット六法の並びに『判例の読み方』と並べて置いていたものだ。しかし読んでいなかったのは、ひとつには、結局のところこの法学書愛好が趣味にすぎなかったからである。実をいうとぼくはまだ六法のたぐいも持っていない(今月発売の令和六年版ポケット六法は買うつもりです)。なんというか、必要なかったのだ。おもしろくて読んでるだけだったので。間違って読んでても問題はなかったし、そもそもそう読み間違いが起こるものでもないだろうと。しかし、まず『九条の大罪』連載開始があった。この記事を単独で読まれてるかたにはどうでもいいことだろうが、ぼくはこの弁護士漫画の感想を毎週書いているのである。たまたま趣味で法学は好きだけど、少しまじめにやったほうがいいかな…などと考えるようになったのだ。次に仕事でけっこう特殊な部門への異動があった。自治体の条例や規則が関わってくる感じのやつだ。これらは当時から問題なく読めたが、こういうわけで、趣味レベルをちょっと超えていこうかなとなっていったのである。


はしがきに触れられているが、いま法学部や会社で法務に携わっているひとなんかが法律を勉強しようとしたら、たぶんほとんどの場合、いきなり解説書にいくはずである。それはそれでいいとして、しかし、「『法律を』勉強する際の基本は、『法律で』勉強すること、すなわち『法律の条文それ自体を読むこと』(I頁)」のはずなのだ。例外的状況では法解釈、そもそも論や立法者の意図を汲む作業が必要になるが、そこに至るまでは、「法律に書いてある」以上の根拠はない。その、解釈に入る寸前までにおいて身につけるべき知識が、本書には収められているのである。


半分以上を占めるのが後半の法令用語編であり、おそろしい読み応えだ。それはたとえば、「場合」と「とき」と「時」の使い分けとか、「公布」と「施行」と「適用」のちがいとか、そういうことだ。例として示される法律そのものも訓練にうってつけである。民法に規定のある初日不算入の原則など、ずっとあいまいなまま生きてきてはじめて鮮明に理解したものも少なくない。だがポケット六法すら(まだ)手にしていないぼくでは、法令に入る前に、前半基礎知識編がたいへんうれしかった。法令どうしの上下関係とか(6頁〜)基本of基本だとおもうけど、「お盆」とか「土用の丑の日」とかの定義くらいあいまいに生きてきたので…。法律の構成とか附則とはなんぞとか、ぼくでは全ページ新情報である。あと息抜き的に入るコラムの豆知識みたいのもおもしろい。一生モノの一冊だ。






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