シドニーワラビー通り42P. シャーマン | すっぴんマスター

すっぴんマスター

(※注:ゲーム攻略サイトではありません)書店員。読んだ小説などについて書いています。基本ネタバレしてますので注意。気になる点ありましたらコメントなどで指摘していただけるとうれしいです。

明日は研修二日目だ。


僕は、ホテルで電話応対の仕事をやっていたのだけど、じつはこれが死ぬ程苦手である。当時は、まあ紹介で入ったのだけど、なんでおれこんな仕事やってんだろうと毎日胃の痛いおもいをしていた。

そもそも、僕はひととはなすという行為じたいがあまり得意ではない。ひとり家でピアノの練習をしたりねっころがって本を読んだりタバコ吸いながらモノを考えたりするほうが、新宿などにまで遠征して遊ぶよりどちらかといえば好きなのだ。一人っ子の宿命だろうか。また、しゃべるということそのものが、身体機能的に苦手ということもある。文章にするとこんなにべらべら出てくるものが、音にしようとすると溶けかけの氷が口の端からぽろぽろこぼれるようにぽつぽつとしか話せないのだ。しかしこれも、じつは後天的に獲得したある種の技術だとおもう。僕は吃りの激しい少年であった。親は、あたまでおもったことにくちがおいつかないだけだと慰めてくれたが、じつはたんにくちが上手くまわらないだけだった。ほんというとこれがどれほど関係あるのかはわからないが、思春期をむかえたころには僕は完全に“無口な子”になっていた。いつのまにか吃りはほとんどなくなっていたが、発音が明瞭とは言い難い。そのうえ僕はDABOばりに声が低いのだ。ツッキーニに不適性
な仕事として自他ともに認める、それが電話応対なのである。まだゼロから勉強してヒエログリフの解読でもやったほうがマシな気がする。


昨日研修に入ってはじめて知ったのだが、本屋というのはびっくりするくらい電話が活躍するところなのだ。かかってくるし、こちらからもかけるのだ(だからタバコ吸えない)。はっきりいって、あと数回入ったのちにおれもあれをやるのかと想像すると恐怖である。果たしてあんなふうにべらべら口動くんだろうか…。マニュアル言語とはいえ、きちんとした言葉遣いできるだろうか…。そう、これも不安の種だ。お恥ずかしいはなしながら、ぬるいコンビニ応対ヒトコト言語に慣れてしまったためか、慣習的でないちゃんとした敬語を、適宜柔軟につかえる自信がないのである。なぜなら、使えたためしがないからである。


というわけで、明日はオバハンたちの驚くほど明瞭な発声発音と言葉遣いをパクりまくろうとおもう…