第139話/Like an Ogre
リアル・シャドーをするため、イメージのちからによるピクルの具現をはかる主人公・範馬刃牙。しかしうまくいかないのだ。姿はよく観察した。マンガ版のオリジナル・キャラとして『餓狼伝』に登場し、若き巽真と死闘を演じた盲目のファイター、泣き虫サクラは、シューズが地面とこすれる音や呼吸の感じられる口の高さ、体臭などから、相手の身長や体重のみならずファイト・スタイルまで帰納的に見抜いてしまう。これは想像力…というよりは空想力?ももちろんだが、なにしろそれぞれの条件があたまのなかに示すものを経験的に知っていなくては不可能だ(知っててもふつうは不可能だけど)。バキは人間ばかりか「100kgのカマキリ」まで目の前に成立させる想像力と経験値の持ち主である。学者だって肌の色すら、そもそも毛があったかどうかすらわかっていない恐竜すら顕現させる男である。いかに非現実的でも、まずそのことはなにしろ認めてしまうべきである。
しかしそんな彼が、げんに姿を目撃し(ということはそれがそこの地点にいたるまでの過程も見抜き)、そればかりかたたかう姿まで目にしていながら、ピクルのイメージは、何年も会っていない古い友人の顔の細部のようにまったく安定しないのである。つまりバキはピクルの全貌を未だ把握しきれていないのだ。あとで烈がくちにすることだが、ピクルが全力を見せていないということは、そんなに重要じゃないだろう。そんなこといったら勇次郎とか恐竜とかのイメージが意味わかんなくなっちゃうし。それはバキがピクルの姿の向こうに広がる茫々とした成り立ちを推測できないということなのだ。なぜなら、経験したことがなく、他の種類の経験から帰納的に推測することもできない種類の、未知の相手だから。(…と書くと、やはりT-REXの具現がどんなものだったかひっかかってくる。たたかいの描写はなかったが…)
バキは地下室にいたのだった。バキの背後、静かな物音とともにはしごの先のふたが開く。暗闇に四角く切りとられた明るいむこう側から、ゆっくりとみつあみの髪の毛がたれてきて…。
(キィヤアァァァーーーッッ)←悲鳴
呪怨かっ!
いや、呪怨見たことないけど。
顔をさかさまにのぞかせるのは烈海王である。ふつうに足から下りてこいとつっこもうとおもったのだけど、考えたらかたっぽ足ないんだった…。生活の知恵ってやつか。
「怪物製造工場(モンスターファクトリー)……
想像していた通りシンプルなものだ」
特に用事があってきたわけじゃないみたい。用事もないのに会いにくるってのは友情のしるしだよね。
おもえばバキのリアル・シャドーというトレーニングが明らかになったのは烈の対戦だった。シンプルなのは当然だ。つまるところそれはイメトレなんだから。
烈は、克巳含め、闘ったじぶんたちでも、ピクルが何者かはわからないという。残念だがピクルの本気を引き出せなかったと。
汗だくのバキは、呼吸をあらげ、うしろから見ると誰かと抱き合ってキスしてるように見えるセルフ・ハグをしながら、込み上げてくる性衝動にも似たおもいを、感極まったようにことばにする。
「たまんねェな烈ちゃん…
こんなことって…
想像もつかねェ強ェ奴と
心ゆくまでヤレるんだぜッッ
どんだけ強ェかワカらねェッッ
何をしてくるかさえワカらねェッッ
そんな奴とヤレるんだぜッッッ」
こいつ、ほんまもんのバトル・マニアや…。
目がイッてる。
ていうか烈ちゃんて。
想像もつかないという状態は誰にもあるが、バキにとってその意味はとても重い。明日にでも光成に連絡をとろうという烈に対してバキは、連絡じゃない、明日、じぶんから直でいくと宣言した。そして烈はそんなバキに、範馬勇次郎の姿を見るのだった。
そのころ、ハルクの如く東京ドームのドアというドアをぶっ壊し、ピクルの住まう地下闘技場に踏み込んだものがいた。
「探したぜ…
直立原人…」
ジャック・ハンマーである。
うひゃ~
つづく。
最大トーナメントじゃなかった…
前回あつく語ってたおれっていったい…
なかったことでお願いします。
…まあ、可能性なくなったわけじゃないけど。
せっかく範馬の血をを発現させ、ほんとのほんきになった主人公だが、あっさりジャック兄さんに抜かれてしまった。直でいくのが範馬の血なら、ジャックもまた血の衝動に従ったわけである。今日きたジャックと明日行くバキ…。おいしいところをもってくのはどっちの範馬か?それともオヤジがまるごともっていくのか?!
予想ははずれたけど、ジャック登場はうれしい。つうかジャックかっこええ~
それにしても、ジャックはずいぶん汗をかいている。それから「探したぜ…」ってのもよくわからない。ピクルの居場所なんて、みんな知ってんじゃなかったの?としたら烈や克巳のたたかいも知らないんだろうかこのひとは。ジャックがいまどんな生活してんのかはよくわからないが、猪狩とのからみをよく見かける。プロレスラーとして猪狩が面倒みてるのかもしれない。護衛もかねて。でもそしたら光成から猪狩経由で知ってそうなものだ。としたら、光成は猪狩には詳細を知らせてないのかもしれない。油断ならないからなあの男は。
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