■『ウェブ人間論』梅田望夫、平野啓一郎共著 新潮新書
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「日本におけるインターネット元年から十年。今、ウェブ2.0という新たな局面を迎え、本当の大変化が始まろうとしている。『ウェブ進化』によって、世の中はどう変わりつつあるのか、そして人間そのものはどう変容していくのか―。ビジネスとテクノロジーの世界に住む梅田望夫と、文学の世界に生きる平野啓一郎が、その変化の本質と未来を徹底的に話し合った、熱く刺激的なウェブ論」表紙折り返しより
株式会社はてな取締役にして『ウェブ進化論』の著者、梅田望夫と、いわば「人間」の専門家、生について考え抜くことが仕事の、小説家である平野啓一郎の対談。つまらないわけがないじゃないですか。『ウェブ進化論』同様、ブロガーやブログ利用者は必読。
■『ウェブ進化論』梅田望夫
http://ameblo.jp/tsucchini/entry-10115723043.html
- ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)/梅田 望夫
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15歳も離れた両者だが、対談はじつに熱いことになっている。端的に言って、梅田望夫はマクロ視点、平野啓一郎はミクロ視点。特にインターネットそのもののありかた、リアル世界との関わりと、我々がそれをどのように捉えるべきなのかというぶぶんでは、かなり白熱した知的なやりとりが見られた。平野啓一郎は通してくそ真面目、小説家らしいというか、毎日とにかく「考えている」ということがよく伝わってきて、その投げかけに対し、梅田望夫がオプティミズムの立場から「まあ大丈夫だとおもいますよ」ぐらいに返していく…。とにかく両者の思想がきわめて明確だから、なんにも知らない僕みたいなにんげんにはじつに刺激的だったし、おもしろかった。
わからないことがあったときとりあえず「検索」してみようというのは、僕らではもはや当たり前の行為になってきている。それは言葉でもそうだし、よくわかんない小説にぶつかったときや、好きなミュージシャンのデビュー年を知りたいとき、ある映画俳優の出演作を調べたいとき…僕らはネットをつかってかんたんに情報を得ることができるようになった。それはすなわち、一般的な意味での「教養」の価値が変わってきているということでもある。「仲が悪いとうわさの村上春樹と村上龍だが、ふたりはじつは『ウォーク・ドント・ラン』という本で対談をしたことがある」ということを知っているからといって、知識じたいとしてはもはやなんの価値ももたなくなってきている。
平野「作家でもアカデミックな世界の研究者でも、知ってる、ということだけでは、もう威張れない」P25
情報はてもとにストックしておくべきなのか、YouTubeのように「いつでも見れる」くらいに扱えばいいのか。個人的には、「知っていること」じたいにはむかしからたいした意味があったわけではないとおもうが。むしろ知っていることの体系化・組織化、知識どうしの関係性が重要なんじゃないかな。ネットだろうがなんだろうが、情報の入手先はなんだっていい…気がするのだが。
平野啓一郎の、本はなくなってしまうんじゃないか、という心配もよくわかる。アマゾンの「なか見!検索」という試みについての危惧だ。これは世界中に存在するすべての本をスキャンして公開するというものだが、ふつうに考えたらありえない。だが、特にロングテール(ほんの少ししか売れず、存在すらあまり知られていない商品。売り上げをグラフ化した際にあらわれる恐竜のような図の、尻尾にあたる)に関していえばそのほうがいいし、結局は売れるのだという。
また梅田望夫は「紙」という材質の付加価値…持ち運び、保存、読みやすさ、また構造化された情報じたいの一覧性、さらには「そもそも動機がない」ということなどから、オプティミスティックに「(本は)相当長く生き残るメディアだ」と言っています。よかった…
それから「総表現社会」を象徴するブログですね。おふたりともブログをやっているし、もちろん読んでる僕じしんもやってるので、これはおもしろかったな~。歪みも含めた言葉による自己規定とか、成長とか、何度頷いたかわからない。
そしてやはりGoogleですね。なんと熱い企業なんだろう…。梅田望夫の熱い語り口もあるのかもしれないが…。
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