このところ(現在進行中…)比較的重量級の読書が続いているので、なにかマンガかライトノベルでも読もうかと本屋に行ったら偶然目にとまったので買ってしまいました。桐山光侍作、なつかしの『忍空』!知らなかったけど、ウルトラジャンプで現在も連載中なんですね。
プロフィールによると、1993年、作者25歳のときに連載が開始されたようです。いま読むと…正直拙い部分がいっぱいあります。別に『バキ』とか『タフ』みたいな「リアルファイト」を描いたものではないので問題ないようでもありますが、最近だとヤンマガで連載中の『喧嘩商売』やなんかにも見られる、「最強幻想」みたいなものがどことなく感じられます。くりかえすけど、「銃に素手が勝つわけない」みたいな身も蓋も無いことを言ってるんじゃないですよ。『喧嘩商売』も、僕は「おはなし」というものが好きなのでむろん楽しく読んでいますが、なにか全体の輪郭、アウトラインもつかめないままに細部の「すごさ」だけを取りあげて極端なかたちで描き出しちゃってる感じがして、しかもそれを「リアルファイト」のマンガとして表現していることにときどき違和感を覚えるんですよね。それはオマエが好きだからだろ、みたいに思われると困るし反論できないんですが、その点板垣恵介は自覚的だと思います。「範馬勇次郎」という絶対の存在は、さまざまな感情が
入り混じるものではあるにせよ、むろん主人公・バキの成長指標です。バキファンなら誰でも、キャラどうしを比較して、あいつとこいつではこっちが強い、みたいな「強さランキング」を考えるはずです。僕もやります(笑)というのは、物語全体がそれを規定しないものだから。闘争とは流動的なものだと、最強なんか決まらないものだと、作者が知っているから。この混在する「最強候補」のうえに、ナンバー2――これは、バキを除いたら郭海皇かオリバということになるのだろうけど。いや、ピクルか?(笑)――とさえ比較にならないような絶対的な存在=勇次郎をフィクションのなかに設けることで、物語に秩序を与えている。登場人物たち、特にバキは、どこか弁証法的に、踏んだり踏まれたりしながら永遠に届かない高みを目指し、成長していく。僕には、だから勇次郎は、作者じしんが、作品内で目指している最強指標のように思えます。それというのはまさに板垣さんが「最強幻想」を疑っているからなのではないですか。独歩と郭を除くとほとんどまともに勇次郎のフ
ァイトが描かれていないのは、そのまま作者がまだ勇次郎の強さを把握できていないからでしょう。板垣恵介は、文字通り、マンガを武器に闘ってるんですね。
ずいぶんはなしそれちゃったな…。完全に架空の格闘技である「忍空」を題材にしているわけだから、ただ感じただけでこんなこと書くのは卑怯な気もしてきた。それに…過去のじぶんのフォロー的なみにくいはなしじゃないけど(笑)、設定というか、ディテイルはやっぱり魅力的。拙いけど…。
むかし「ファミコンジャンプⅡ」というゲームが大好きで、ファミコンがぶっこわれてからずっとやりたかったのだけど、最近やったという友人に聞くと「あんまり」だそうです。「子供のころにおもしろかったものだから…」みたいな。忍空もそういう感じなのかなー。