こんばんはニコニコ

こちらではお久しぶりです・・・!

Twitterにはここ最近ちょいちょい出没しておりました、白瀬です音譜

 

さてさて、表題の件ですが、まずは前回のアンケート、

非常にたくさんの方にご投票いただきまして、誠にありがとうございましたビックリマーク

アンケート結果により、同人誌用に書き下ろすペアは以下です!!

 

1.風丘/仁絵

2.風丘/夜須斗

3.森都/葉月

 

こちらの3編の予定です!!

当初の予定と編数が変わってきてますが、お気になさらず(笑)

細かいシチュエーションは本編を見てのお楽しみ、という感じですニコニコ

1編目はあとはスパシーンだけ、というところまで来ました・・・!!

3編目が苦戦するの目に見えてるので頑張りますwww

 

 

そしてもう1つ!

これはこれまでいろいろアンケートを採らせていただいて作成している同人誌と

直接的には関係ないものですが。

ここでまたアンケート、というかリクエストみたいなものを、

フォームを使って募ろうと思います。

 

内容は「スパ二次創作で読みたい作品・組み合わせ」ですビックリマーク

最近白瀬が二次創作に対しての意欲が盛り上がってきていること、

メガネ教師執筆の合間にたまに気分転換に二次創作をやってみようと思った故です。

 

質問は記述式一問だけというシンプルな物です。

コメント機能&メール募集でもよいかな、と思ったのですが、

それだとアメブロアカウントない方は回答しづらいかな、と思い

こちらもフォームにしました。URLは以下です音譜

https://docs.google.com/forms/d/11iGjYEl38CQ0TS6sjm-cxkq-OGjUaINWKbtqKVsjAYc/edit

 

回答していただくにあたりまして何点かお願いがございます。

 

1.作品は基本的に問いません。

  →書けそうな作品、分からない作品、事細かに1つ1つ挙げているとキリがないので・・・ 

   既に二次創作を書いている作品やTwitterでちょいちょい話題に出している作品は

   もちろん、そのほかにも割と白瀬はいろいろ視聴しているので
   とりあえず書いていただけたら嬉しいですニコニコ

   (最新クールのものは追いつけてないことが多いですが、いずれ観るので・・・!)

   ただ、目安としては白瀬がアニメをいろいろ見出したのは

   「テニスの王子様」以降くらい(2000年代)なので、それ以前のアニメ作品は

   分からないことが多いです。(例えば「幽遊白書」「るろうに剣心」「スラムダンク」等)

   また、ミーハー気質なので基本すべてアニメから入ります。

   そのため、アニメ化されていない漫画作品は分からないことが多いです。

   (また、M、F、m、f いずれがカーでもキーでも問いません)

 

2.1回答につき1ペアの回答をお願いします。

  →これは集計・記録の都合です。ご協力お願いいたします。

 

3.細かく具体的にシチュエーションを書いていただいてもご要望に添いかねる場合が

  多いです。

  →言い訳でもあるのですが、白瀬は二次創作はオリジナルよりもかなり自由度が

   低い、と捉えております。そのため、スパ理由やストーリー展開等を

   緻密に考えていただいても、ご希望に添えない可能性が高いです。

   ので、シチュエーション指定していただく場合は簡単なものですと助かります。

   ただ、スパの道具や体勢等については指定していただいても構いません。

 

4.白瀬は公表する二次創作については基本原作設定に準拠して描きます。

  →「年齢操作(同級生キャラのキー側だけを幼児化して親子にする等)」

   「性別変換(女体化・男体化)」「オリキャラをカー若しくはキーにする」

   「パロディ(本来学園物の作品で舞台をマフィアにする、吸血鬼にする、等等)」

   「BL物以外の作品のキャラを恋人同士として描く」等のことは致しませんので

   恐れ入りますがご了承ください。また、ラブスパもご遠慮ください(^o^;)

 

5.リクエストではなくアンケートであることをご理解くださるとありがたいです。

  →ご回答いただいたものの内書けそうなものを全て書く、ということには

   なりませんのでご了承ください。

 

いろいろ細かく指定が多くてすみませんあせる

二次創作は、様々なご要望を頂くので、ある程度こちらで指針を示させていただきました。

 

さて、アンケートの結果を受けてのことですが、

目にとまったものに挑戦してみようと思います。

出来如何によりますが、サイトに挙げたり、

もしくは同人誌のおまけにコピー本みたいな形でつけたりということもするかもしれないです。

ただ少なくとも、二次創作は避ける方もいらっしゃるので、

同人誌にオリジナルとまとめて掲載、ということはいたしません。

 

またこちらのアンケートは特に締め切りを設けません。

気が向いたときに、思いついたときに軽い気持ちで書き込んでいただければと思います。

 

長くなってしまいましたが、よろしければご協力いただけたら大変嬉しいです!

それでは白瀬は続き執筆に参りますDASH!

 

 

 

こんばんはー、白瀬ですニコニコ

 

この前の更新で、ちらっと言いましたが、

久々にツイキャスを開催しようと思います!

 

「ながらキャス」
放送日時:9月23日 金曜日 
       22:00頃~(終わりは特に決めません 笑)
URL : http://twitcasting.tv/tsubameshirase
閲覧パスワード:spa

 

※今回同時にチャットも白瀬は閲覧します。(白瀬は基本キャスで話しますが、

プライベートメッセージ(=PM)機能を使えば、白瀬だけに質問等を

振っていただくことができます。基本的に質問等キャスで答えますが、

ご要望ございましたらチャットでもお答えします。)

チャットURL http://tsubameshirase.chatx.whocares.jp/

閲覧パスワード:spa

 

また今回は、ツイキャスだけをするのではなくて、

白瀬はながら作業させていただきますアセアセ

それは・・・部屋の片づけ(笑) もとい、散乱するグッズの整理←

パソコンの前でひたすら分類とかしてるだけなので、

皆様のコメントは拾えると思いますニコ

まあ内容的には全編雑談です。。

最近上げた31話の話、同人誌の進捗(あんまりないですが 汗)、

片付けの内容はオタク関係なので、そんな話題も…

 

久々にやりたいなー、と思いつつも喋れてなくなってるかも、と思い

初めは何か作業をしながらつなごう…

絵師さんのように絵を描きながらのキャスのように

小説書きながらキャスは…できないのでアセアセ

で結局、4月に引っ越してから全く進んでいない片付けをしながらにすることにしました←

キャスが盛り上がってきたら片付け止めますし、

話題に困ったり、人がいらっしゃらなかったり等ありましたら、

白瀬がひたすら片付けするキャスになるかもしれないです笑(←え)

 

久々なので、何してもたどたどしくなると思うので←

ついでにいろいろ試みてみようと思います笑

 

それでは、お時間ある方は少しでも覗いてくださるとうれしいですルンルン

ご無沙汰してます、白瀬です

やっと・・・やっと・・・メガネ教師31話完結しましたよーーーーっ

今回は、久々本当に大変でした・・・
本気で終わらないかと思った・・・終わって良かったです←
でも正直、歩夢が虐められてるシーンとか、お仕置き後のシーンとか、
もっといろいろあったんですが、ちょっともう収集つかなくなっちゃったので強引にまとめました

最たるものはラストの怒濤の説明文です(汗)
あれ、本当は全部シーンとして存在していたんですが、
お仕置き後の後日談だし、これ以上ダラダラ続けるのも・・・と思い、
ああいった形にまとめなおしました。

さてさて、今回のポイントとしては、個人的には

1.歩夢お当番回
2.あまーいスパシーン
3.抱っこ体勢のスパ

の3点かな、と思います。

本当は委員長登場回としてはもうちょいあっさり終わるつもりだったんですが、
あれよあれよという間に大ボリュームになりました。
歩夢君。名はなくともちょいちょい登場していた
(・・・はずです、白瀬の脳内では確実にですが、恐らく作品内にも出てるはずです 笑)
のですが、とうとうメインを張りました。
頭の固い典型的な優等生タイプではないけど、リーダーシップに長けた、委員長が似合う子。
私が好きなタイプの子です(笑)
ちなみに、今回歩夢がスパで仁絵ばりの大泣きを見せましたが、
あれは状況が状況だったからで、仁絵と違って歩夢はあれが通常運転ではありません、あしからず(笑)
まぁ、歩夢は別にここからキー常連になるわけではないので・・・!

それから今回、スパシーンはなかなかに甘め。
一番回数が多いのは歩夢と仁絵ですが、それでも普段と比べると・・・はい。
でもまぁ、今回の罪状は、そう悪いものではないので。
厳しいスパお好みの方には物足りなかったかもしれませんが、
たまにはこういうホワホワした雰囲気のもいいかな、と。
お気づきかと思いますが、風丘、皆の頭撫でまくってます(笑)
だって事あるごとに撫でてるので・・・私の脳内で風丘が←

そして、歩夢のスパで恐らく初(←記憶が曖昧 汗)の体勢を出してみました。
抱っこスパ。
これって実際どうなんだろう、叩きにくいだろうな、と思いつつ、
画的にかなり萌えな体勢なので←
いつか出せるタイミングないかな、と思ってたら風丘がここでやってくれました。
いやー、すてき、かわいい、萌えますね(笑)

そんなこんなで今回あまりスパ小説っぽくはなりませんでしたが、
何とか完結することができました
長らくお付き合いいただきありがとうございました・・・!

メガネ教師次エピソードはちょっとお時間頂くと思います。
(31話が難産過ぎていつもと違ってろくに同時並行できなかったので
他のが全く進んでないんです・・・
その間にアンケートの集計や同人誌用の原稿作成をしつつ、
今週末くらいに特にプログラムも決めずにだらりとやるツイキャスでもしようかな・・・なんて考えてます。

ちなみに、次エピソード、何になるかは決まってます
ちょっと季節はずれますが、まぁ、秋でもやってるところはあるので(笑)
テーマは「お祭り」です

それでは、これからも白瀬をよろしくお願いしますm(_ _ )m
コンコンッ

雲居からの電話があってから5分以上経過してようやく聞こえたノックの音に、風丘は苦笑する。
待ちかまえるお仕置きにノロノロとした足取りでやって来たことが容易に想像できる。

「はーい」

ノックに返事をし、風丘はドアを開けてその前に立っている二人に少ししかめ面して見せた。

「もう、二人とも遅いなぁ。牛歩戦術したってお仕置きは軽くならないよー?」

「あの・・・」

歩夢が何か言おうと口を開くが、風丘は歩夢に続きを言わせず、口を開いた。

「よし、じゃあ柳宮寺は部屋入って。
宮倉は悪いけどもうちょっと部屋の外で待機ね。
10分か15分くらいしたら柳宮寺終わるから。」

「あ・・・はい・・・」

歩夢は風丘にそう言われ、言おうとした言葉を飲み込むようにして返事をする。
風丘はその様子に気づいているのかいないのか、仁絵に視線を移して言った。

「よし。はい、柳宮寺はとっとと入る!」

「ってぇ! 無理矢理引っ張んなよ!」

そして風丘は仁絵の腕を引いて部屋の中に入れると、歩夢を残してドアを閉めてしまった。
一人残された歩夢は、
不安と、初めてで誰かと一緒にされなくて良かったという安堵が入り交じる複雑な気持ちを抱えながら、
ドアの前に立ち尽くすのだった。





かたや部屋の中では、腕を引かれソファーの前まで連れてこられた仁絵が、

不機嫌そうな顔でソファーに座った風丘の前に立っている。

「なーに、なんか不満げな顔して。」

風丘に苦笑気味にそう言われ、仁絵は眉間に皺を寄せて答えた。

「別に不満なんてねーよ、だけど」

風丘をまっすぐ見据え言い切る。

「今回は俺反省しねぇし謝んねぇから。」

「ふーん・・・」

仁絵の言葉に、風丘は興味深そうに目を光らせて、しばしの沈黙の後に問いかける。

「お仕置きされる理由は分かってる?」

風丘の問いかけに、仁絵は、あー、と頭を掻き、少しうんざりしたようにして答える。

「暴力振るったってことだろ? 昨日夜須斗と尋問した奴らに。」

「・・・高藤君には?」

「何、疑うのかよ。」

仁絵に詰るように言われ、風丘は呆れたように答える。

「確認だよ。
・・・高藤君が皆に暴力振るわれたって俺に訴えて来たときにあからさまにあんな殺気放ってたから。
振るったにしろ振るってないにしろ、何か言いたいことあるかと思って。」

あの瞬間、仁絵からぶわっと殺気が立ち上るのを風丘はしっかり感じていた。
風丘がいなければ今にも殴りかかりそうな程の。

「・・・ハッ、委員長と同じ目に遭わせてやろうとしたよ。
なんでか知らねぇけど委員長に止められて殴れなかったけどな。」

開き直るように告白した仁絵に、風丘は困ったように曖昧な笑みを浮かべて言う。

「本当に、清々しいくらい反省する気ゼロだね。」

「当たり前だろ。
昨日の奴らに尋問した結果証拠とれたし、想定外だったけど須王が動いて学年全体で動けるようになった。
あんだけ委員長痛めつけてたんだから高藤は同じ目に遭わされるくらい当然の報いだろ。
だか・・・らっ うぁっ!」

仁絵が言い終わる前に、風丘は再び仁絵の腕を掴んで素早く膝の上に乗せた。

「反省すべき点は0だって? それは大分感情的で自分側本位過ぎる意見だね。」

「っおい!」

仁絵の抵抗を物ともせず、風丘はあっさり仁絵の制服のズボンと下着を下ろしてしまう。
そして、強めの一発が仁絵のお尻に弾けた。

バチィィンッ

「っあ! おいっ!!」

刹那、息が詰まる。
仁絵が振り返って睨みつければ、目のあった風丘はため息をついた。

「はぁ。柳宮寺は高藤君のことを完全悪として見過ぎ。
確かに彼は最低のことをしたけど、でも彼だって一生徒だよ。」

「だから…なんだってんだよっ」

バチィィンッ

「っく!! あいつが先にしたことだ、あいつがされたってっ」

噛みつく仁絵の言葉を最後まで待たずに、風丘が諭すように説明を続ける。

「高藤くんは宮倉を虐めていた。
確かにそれが彼にとって、宮倉の仲間である惣一くんや柳宮寺に殴られる原因にはなる。だけどね」

バッチィィィンッ

「ってぇぇぇっ! っぅ…」

「それが彼を『殴って良い』と…彼への暴力を正当化することにはならないでしょう。」

「…」

何とはなしに分かっていた痛いところを突かれ、仁絵が黙り込む。が、風丘は容赦しない。

「でしょう?」

バチィィンッ

「ぅぁっ! そ…かもしれねぇけどっ…」

「柳宮寺だってそれぐらいわかってたでしょう。
高藤君を殴れば、たとえ高藤君が虐めをしていたという事実があったとしても、
殴ったことは、それはそれで暴力沙汰として…」

「…それぐらいで済むなら」

仁絵は、低い、少し震える声で話した。

「それぐらいで済むなら、構わねぇよ…
あのヤローが…まぁ、昨日の雑魚共もそうだ。
あいつらが平気な顔して委員長にあんなこと出来んのは、
あんなことされたら・・・
普段ケンカなんてしねぇ奴が、あんな痣が残るくらい殴りつけられたらどれ程痛いか…辛いか…分からねぇからだ…」

震える声。その震えは…怒りからくるもの。

「分からねぇなら、俺が教えてやろうと思ったんだよ、
そうすりゃもう同じこと人に出来なくなるだろうって!」

「うん。そうかもしれないね。だけど…
だけど、宮倉はそれを望まなかったんでしょう?」

止められたんだもんね、と、風丘は片手で仁絵の頭を撫でて問いかける。

「何でか分かる?」

「さっき…分かんねぇつったろ…」

勢いをいなされた仁絵が、俯いてボソッと答えると、風丘は優しい声で続けた。

「たぶんね、さっき俺が言ったことを宮倉も分かってたからだよ。」

「…」

「そのまま惣一くんや柳宮寺の好き勝手にさせておけば、自分に対する虐めは止むかもしれない。
だとしても、皆が暴力沙汰の当事者になるのは嫌だって宮倉は思ったんだと思うよ。」

「っ…」

「…と、いうわけで。」

バチィィンッ

「ぎゃぁっ」

仁絵が黙り込んでしまうと、先ほどまでの諭すような優しい口調から少しトーンを変えて、
風丘はほんのり色づいている仁絵のお尻を再び叩いた。

「暴力事件になってもいい、なんて、
虐めの当事者だった宮倉が止めにはいるような危険な選択肢を
さも当然のように選ぼうとしたことは大いに反省してもらいたいんだけど?」

「う…」

言葉に詰まる仁絵に、風丘は容赦なく続ける。

「大体、前夜の不良君たちへの尋問はもはやアウトだからね。
勝輝の管轄で、
しかも向こうの不良君たちがビビリにビビッて『事を大きくしないでくれ』とか
言い出してくれたから良かったようなものの…
それを何、『肩外したくらいで』だっけ?」

「うぅ…」

返す言葉のない仁絵だが、風丘はまだ止まらない。

「それから、昨日の夜から知ってたんならいくらでも俺に話すタイミングあったでしょ? 
一緒に暮らしてるんだから。
それをずーっと黙って、こんな派手に行動起こしてくれたのも気に入らない。」

「いや、それは…」

思わず「委員長も言うなって言ったし」と、歩夢の名前を出してしまいそうになって口をつぐむ。
言い訳に、自分から歩夢を使いたくなかった。

「…まぁ、それは宮倉が黙っててくれとかなんとか言ったのかもしれないけど。」

しかし、風丘には全てお見通しのようだが。

「とにかく! 反省しなきゃいけないことはしっかりばっちりあることわかったかな?」

「っ…」

「とりあえず、あと5発!」

「ぅ…」

バッチィィィィンッ

「いっ…たぁぁっ!」

宣言後の1発は今日一番の強さ。息が詰まり、数秒遅れて悲鳴が上がる。
が、息つく間もなく2発目、3発目。

バチィィンッ   バチィィンッ

「ひっ…ふぁっ…」

お尻の右側と、左側に交互に痛みが走る。
そして4発目。

バチィィンッ

「っくぅ!」

1発目に打たれてまだジンジンするお尻の真ん中、同じ場所。
そして

「さーいごっ」

バチィィィィンッ

「うぁぁぁっ!…っぅ…くっ…」

最後は、お尻の下の方に強烈な1発。少し指の跡が浮き上がっている。

「はい、おしまい…にしたいんだけど?」

上からのぞき込まれるように見つめられ、仁絵はフイと視線をそらし、またボソッと言った。

「すぐ殴ろうとするのは…悪かったから・・・気をつける…」

「うーん、まぁ、いっか。はい、おしまーいっ」

風丘はそう言うと、仁絵の下着とズボンを直し、抱き起こしてソファに座った自分の両足の間に立たせると、
仁絵の頭を引き寄せて撫でる。

「お、おいっ…」

「今日は次があるからあんまり甘やかしタイムとれないけどっ」

「い、いらねぇよっ 今日俺泣いてねぇしっ」

本当は最後の5発の1発目から相当やばくて涙が滲むところまではきていたのだが。
零れていないからセーフだと思っている。
振り払おうとする仁絵だが、そのせいでより強い力で風丘に引き寄せられてしまった。

「おいっ」

「フフッ 良い子良い子。」

「や、やめろよ恥ずかしい!」

いつものプライドやら理性やらがいろいろ吹っ飛んだグズグズの状態ならいざ知らず、
今そんな子供扱いされるのは恥ずかしすぎる、と暴れる仁絵だが、風丘はまだ解放してくれない。

「良い子だよ。仁絵君は良い子。
人の痛みを分かってあげられる。傷ついてる人に気付いて助けようとして行動してあげられる。
それってすごいことだよ。」

そう言いながら、頭を撫でられ続け、
ようやく風丘の拘束が少し緩むと、仁絵は頭の上の手を避けて脱出した。

「お、俺はそんなんじゃねぇよ!」

顔を赤らめて吠える仁絵に、風丘はあーあ、と残念そうに言った。

「うーん、これでお仕置きでグズグズに泣いちゃった時以外ももうちょっと素直だったらねぇ」

「余計なお世話だ!!」

仁絵は声を荒立てて、荒々しく出入り口のドアの方に歩いていく。

「…入れ替わればいい?」

「…うん。」

「りょーかい。」

仁絵はそう言うと、ドアを開けて部屋を出た。





「あ…」

「…おー、待たせたな。入れ替わりで入れって。」

部屋を出てきた仁絵に気付いた歩夢に、仁絵が声を掛ける。
さすがにドアの真ん前で待っていることは気が引けたのか、
歩夢は少し離れた廊下の壁にもたれかかっていた。

「あ、あの…痛かった?」

「俺のことはどーでもいいだろ。あんまり待たせると余計厳しくなるぜ?」

不安そうに聞いてくる歩夢に、仁絵は自分の背後のドアを指差して入るように促した。

「んじゃ、俺帰るわ。後はごゆっくり。」

「えっ…あっ…」

「また明日な、委員長。」

歩夢の返事も待たず、仁絵は部屋から離れていく。
歩夢は慌てて、その後ろ姿に声を掛けた。

「あ、ありがとうっ 仁絵。皆にも、またちゃんと言うから…」

歩夢の言葉に仁絵は振り返ることなく、手を振って廊下の角を曲がっていった。





「ふーっ…」


残された歩夢は、深呼吸をして、ドアノブに手を掛けた。
心臓がバクバクと鳴る音が聞こえる。
だが、仁絵の言ったとおりここであまりグズグズしても得策でないことは歩夢にも分かった。

コンコンッ

意を決してドアをノックすると、十数分前と同じく、はーい、という返事が聞こえ、ドアが開いた。

「だいぶ待たせちゃったねー、はい、どーぞ。」

「し、失礼します…」

恐る恐る足を踏み入れる。
別にこの部屋はお仕置き部屋限定、という訳ではない。
風丘の個人部屋で、委員長の歩夢は何度も訪れたことがあるはずなのに、
今まで訪れたどの時より緊張するし、むしろこんな部屋初めて来るような感覚だった。

「クスクスッ そんなに緊張しなくても。よし、じゃあとりあえずここにおいで。」

風丘に指摘され、ハッとなった歩夢。
風丘はソファに腰掛けると、自分の両足の間に歩夢を導き、歩夢の手を握った。

「先生…?」

ぎゅっと握られた手に歩夢が小首をかしげると、風丘はふぅっと息をついて口を開いた。
その内容は、歩夢には予想外のものだった。

「まずね。俺から謝らせて。
ごめん…ごめんねぇ…宮倉…いや、今は…歩夢君でいいか。」

「えっ…」

風丘が謝っている。そう歩夢が認識したときには、抱き寄せられ、頭を撫でられていた。

「証拠はなくても、何となく感じるところはあったんだ。
新入生歓迎会が終わったくらいの時から、歩夢君の様子がおかしいのは。
でもその原因が虐めだとは…分かることが出来なくて。
無理矢理聞き出すことも、多少強引な手を使って探ることも考えなかったわけじゃない。
だけど、それで…それで、歩夢君の心を傷つけるのが怖かった。
もしそうなっちゃったら、どうしよう、って…」

「先生…」

「だから…俺はずるい手を使った。あんな唐突に、あからさまな約束をして。
気付いてるよってサイン、歩夢君に伝えて。
後は歩夢君から言ってもらえるように仕向けた。」

「はい…」

「でも、そこから俺はろくに何もしてなくて。
結局、惣一君たちが強引に事を起こすまで、動かなかった。
こんなに…こんなに歩夢君が追い詰められるまで一人で戦わせちゃった…」

風丘は話す間、歩夢の頭をずっと撫で続けている。
その手つきは、壊れ物に触るかのように優しく、優しすぎるもので。

「ごめんね…歩夢君…」

「先生、そんな…ずるいです…」

歩夢は風丘の腕に手を置いて、風丘を自身から離し、風丘の目を見つめる。

「先生が何度も差し伸べてくれた手を払い除けたのは俺です。
先生、俺…ちゃんと気付いてました。
言葉であからさまにサインをくれたのは確かにあの放課後の時だけだったけど、
普段より俺に話しかけてくる回数増えたし、授業中もしょっちゅう目が合うようになったし…
気付いてて、無視しました。
俺の意志で、先生を拒絶して、先生との約束も破って…
悪いのは、俺で、先生は悪くないのに、なのに、先生に謝られたらっ…」

どうすればいいか、分からなくなります…と、俯く歩夢。
そんな歩夢の頭をまた優しい手つきで触れる、まだどことなく浮かない顔の風丘に、
歩夢は顔を上げて微笑んで言う。

「…先生らしくないですよ。俺のこと、叱らなくていいんですか。
嘘ついたらお仕置き…なんでしょう?」

「歩夢くん…ふぅ、君って子は。」

微笑む歩夢を見て、風丘は一瞬目を丸くすると、息をついて、少し表情を和らげる。
そして、歩夢に語りかけた。

「…これからお仕置きする内容は、担任である俺が気付くことが出来なかった、助けることができなかった、
そういうことを全部棚上げすることだから…
だから、ああは言ったものの、本当にするべきか…」

まだ迷っている様子の風丘に、歩夢は迫るようにして言い募る。

「だから、それは、先生悪くないですし、今、先生謝ってくれましたし。
棚上げじゃないです。だから…」

「…いいんだね?」

「…はい。」

「分かったよ、宮倉。」

「あ…わぁっ」

呼び名が戻った…と歩夢が思った刹那、体が浮いた。
腰の辺りを持ち上げられ、ソファに深く腰掛けた風丘の両足の間に膝立ちの状態にさせられる。

「でも、宮倉、こんな時まで委員長っぽく振る舞わなくていいんだよ。
怖いときは怖い、嫌なときは嫌って言っていいんだから。」

「っ・・・」

「クスッ まぁ、そんなこと言われても一度始めたらやめないけど。」

「え・・・うわぁっ」

何か怖いことを言われた気がした瞬間、今度は背中に手を回され、引き寄せられる。

「な、何・・・」

「普通は大体皆お膝の上とかだけど、宮倉今お腹とか胸とか怪我してるしね。
こっちの方が辛くないかと思って。」

「え、ちょっ・・・」

その体勢は、向かい合って抱きしめられているような形。
そんな体勢に気恥ずかしさを感じる間もなく、今度は器用に履いている物を下ろされる。

「せ、せんせいっ・・・」

「んー? ダメ、下ろすよ。この体勢ならお膝の上より痛くないしね。」

風丘に抱きすくめられる形で、お尻を出されて。
冷静に自分の立たされている状況が分かってきてしまった瞬間、歩夢は恥ずかしさに耐えきれず訴える。

「せ、せんせいこれっ・・・子供みたいで・・・恥ずかしい・・・」

「大丈夫。すぐにそんなこと言ってられなくなるから。」

「え・・・」

何が大丈夫なのか、それを聞けることはなかった。

バシィンッ

「いっ・・・!」

バチィィィンッ

「いっ・・・いたいっ・・・」

唐突に始まったお仕置きに、驚きと痛みで思わず歩夢の身体が跳ねる。
そんな歩夢にクスッと笑って、事も無げに風丘は言う。

「お仕置きだからね。痛いのは当たり前だよ。我慢ね。」

バチィィィンッ

「うっあ!」

バシィィンッ

「ひっ・・・!」

予想外に痛い。
風丘から与えられる痛みに、歩夢は必死だった。
実際には惣一や仁絵に与えられた平手からしたら、体勢の悪さも相まってそこまでの威力ではないのだが、
叩かれ慣れていない・・・というかおそらく初であろう歩夢にとっては十分だった。

バチィィィィンッ

「いったぁぃっ!」

クリーンヒットした平手に思わず暴れそうになる。
でもそれはダメだと無意識で思ったのか、歩夢は代わりに風丘の首に腕を回して自分から抱きついた。
その頃合いで、風丘が口を開く。

「宮倉、どうしてお仕置きされてるか分かる?」

バシィィンッ

「あぁぁっ 先生との約束・・・破ったからっ・・・」

バチィィンッ

「いたぁぁぃっ・・・っ・・・」

「そう。俺に全部黙ってて。」

バチィィンッ

「うぅっ」

「すっごく心配した。」

バチィィィンッ

「ひぃっ・・・し、んぱい・・・?」

「そう、心配。聞いて、宮倉。」       

抱きついているおかげで、歩夢の耳元のすぐそばに口を寄せて、風丘は優しく語りかける。

「宮倉は、確かにずーっと俺のクラスの委員長をやってくれてるし、
それが板についてるから皆も宮倉のこと委員長って呼ぶね。まぁ、ニックネームはもっと前からみたいだけど。」

「は、はい・・・」

「でも、それは所詮肩書きの一つだよ。宮倉の全てじゃない。」

「っ・・・」

「必要以上に、委員長なんだからしっかりしなくちゃ、とかクラスを守らなきゃ、とか気負い過ぎなくていいんだよ。
弱音を吐いたっていいし、息抜きだって当然したっていい。それはクラスの子全員に言えることだよ。だからもちろん宮倉も。
宮倉は委員長である前に、俺の受け持つ生徒でしょ?」

「せん・・・せい・・・」

「それを受け止めるのが俺の役目。担任の存在意義。
それをさせてくれないんだったら、俺がいなくても宮倉がいればいいことになっちゃうじゃない。」

「そ、そんなことっ」

「フフッ それは冗談。でも、だからね、宮倉。」

「せ、せんせい・・・」

「辛いとか怖いとかもう嫌だ、とかそう言って助けを求めることは、全然迷惑なんかじゃないんだよ。」

「!! い、嫌です、先生・・・」

まるで自分の心を見透かされたような風丘の言葉に、歩夢が目を見開く。
風丘の言葉が、自分の中に入り込んでくるような感覚がする。

「むしろそれをしてくれなくて、何も言ってくれなくて、心配させられる方がよっぽど心臓に悪い。」

パチィンッ

「んんっ・・・せん・・・せ・・・」

軽い平手がお尻に弾けて、痛みに眉を顰める歩夢を、風丘は優しく抱きしめて語りかける。

「いつも宮倉がクラスのお世話して、クラスを守って、
皆の力になってクラスを前進させてくれてるのはよーく知ってるよ。・・・ありがとう。」

「あっ・・・あ・・・」

「だから・・・ね、宮倉。たまには俺に・・・
お世話させて、守らせて・・・宮倉の力にならせて欲しいな。」

優しい、包み込むような風丘の言葉。
その言葉を掛けられた瞬間、もう、無理だった。

「!!! ふっ・・・ぇ・・・せんせい・・・嫌です・・・こんな・・・こんな時にそんな優しくされたら・・・」

今まで感情を押しとどめ続けていた堰は、限界だった。

「せっかく・・・せっかく今までっ・・・人前で泣かないできたのにっ・・・」

「うん・・・」

「だって、だって、っく・・・
泣いたら、相手を困らせるし、俺はっ・・・ぇっ・・・泣くような、キャラじゃ、ないしっ・・・」

「キャラとか何とかそんなの関係ないでしょう。宮倉は宮倉。
クラスをまとめてくれてるしっかり者なのも宮倉。
今こうやって、俺に抱っこされながら子供みたいにお仕置きされてるのも宮倉。
そうでしょう?」

「っ・・・ふぇっ・・・」

「自分の中で自分像を造りすぎないんだよ、宮倉。
委員長なんだからいつもしっかりしてなきゃいけない、
そんなこと誰も・・・俺も、クラスメイトも絶対思ってない。」

「せんせいぃっ・・・」

風丘の言葉が優しく、でも有無を言わさず、歩夢の心を揺さぶる。

「一人で頑張りすぎないんだよ。俺や皆がいるんだから。」

もう、ダメだった。

「ふぇ・・・ぇっ・・・ふぇぇぇぇぇっ」

涙腺が決壊する。
涙が止めどなくあふれ出す。
押さえに押さえ込んでいた感情は、流れ出したら止まらない。

「俺、本当はあの時言いたくてっ・・・放課後っ・・・先生が助けてくれるって・・・でも言えなくてっ・・・
先生に素直に言うことも出来なくなってるって思ったら自分で自分に絶望してっ・・・」

「うん・・・うん・・・」

泣きながら感情を吐露する歩夢に、風丘は静かに相づちを打つ。

「辛かったっ・・・殴られるのもそうだけどっ・・・
持ち物盗られたり壊されたりするのもそうだけどっ・・・
レポート切り刻まれてひどい言葉書かれたり、
それに・・・クラス皆で作った装飾まで壊されたって分かって・・・
もう心がぐちゃぐちゃでぇっ・・・」

「うん・・・うん・・・」

「耐えられなくて、殴り返してやろうかと思った時もあったけど、
そんな感情を持つ自分がまた嫌になって、もうよく分かんなくてっ・・・
惣一や仁絵が助けようとしてくれたのに、ムキになっちゃうし、自分で自分がもう、分かんなくてっ・・・」

「惣一君たちは今でも歩夢君のこと思ってるよ。大丈夫。」

優しい風丘の声かけに、歩夢はますます子どものように泣きじゃくる。

「ふっ・・・うぇぇっ・・・助けてって・・・言いたかった、惣一に、仁絵に、皆に、先生にっ・・・助けてって・・・言いたかったよぉっ・・・」

「うん・・・ごめんね、もっと早く言わせてあげられるように俺が・・・」

「違う! 違うよ、俺が、言えなかったっ・・・
先生ごめんなさい、約束守れなくてっ・・・助けてって言えなくてっ・・・ごめんなさいっ・・・」

風丘の言葉を遮って、必死で謝ってくる歩夢に、風丘は何とも言えなくなって更に強く抱きしめる。

「うん、ちゃんとごめんなさい言えたね、偉いね、宮倉は。」

「ふぇっ・・・せんせっ・・・」

「もう宮倉いい子になれたから・・・最後に一発。これでお仕置きおしまいね。」

「はいっ・・・」

「いくよ。」

バチィィィンッ

「んんんんっ~~~」

「はい、おしまいっ 頑張りましたっ」

「ふぇっ・・・わぁぁぁんっ!」





「・・・あの・・・すみませんでした、あんな、泣きじゃくって抱きついて・・・」

「クスクスッ ほら、また。そんなに気にしないの。別に悪いことじゃないでしょう。」

あの後、しばらく泣きに泣いた歩夢は、
ある瞬間ふと我に返ったのか、慌てて服を戻し、気まずそうに風丘に頭を下げた。
そんな相変わらずの歩夢に風丘は苦笑して、顔を上げさせて頭を撫でる。

「先生、また・・・今日はずっと子供扱いですね。」

「フフッ 歩夢君も、惣一君たちと変わらない子どもだよ。」

「ええ・・・惣一と変わらないなんてショックです。」

微妙な顔をする歩夢に、風丘は吹き出した。

「クスッ・・・今日はお疲れ様。お家に帰ってゆっくり休んでね。」

「はい。・・・ありがとうございました!」

泣き腫らした目はさすがに元に戻らなかったが、歩夢は晴れやかな笑顔で風丘の部屋を後にした。






翌日、学校では高藤は病気休養ということになっており、
結局戻らぬまま、1週間後、「療養施設の近いところに引っ越す」という名目で転校していった。
いじめのことを公表しないで欲しいというPTA役員だった高藤の母の必死の願いを、歩夢が聞き入れて実現した形だった。
結局、歩夢が頑なにどこにも漏らさなかったおかげで、感づいた惣一たち5人と教師陣以外は真相を知ることがなくなった。
この幕引きに、惣一やつばめは最初納得していなかったが、
風丘が「そういう前歴がある子だって転校先の教師陣には伝えるよ」と、どうにか窘められていた。
また、職員室では、調書を取るための「病気休養」1週間で、高藤がどんどん意気消沈していき、
ほぼ毎日とある教師に死ぬほど後悔の念を述べ、もう許してください、と懇願していたらしい、という噂が立ったが、
そもそもこの虐めの一連の事件が内密事項であったためそれ以上深掘りされることはなかったという。

一方歩夢は、相も変わらず委員長業を全うしているが、
たまに学級会が上手くいかなかったと風丘に愚痴を言ったり、風丘を茶化すような発言をしたり、と、今までにはなかった一面を見せるようになったそうである。



「委員長・・・なんか変わったな。」


「えー、そう? そんなことないよ。・・・俺は俺だよっ」

「なんで!? なんでなんでなんで!?」

「はいはい、とりあえずお部屋行こうねー」

仁絵と歩夢を保健室に残して部屋に向かう間、つばめはずっと駄々をこねていた。
自分たちは何も悪いことをしていないのに。納得できない、と風丘に噛みついている。
惣一もそんなつばめの横であからさまに不機嫌そうな顔だ。
しかし風丘はそんなつばめの口撃を受け流し、
惣一の態度を気にも留めず、部屋へと歩を進めた。



「はい、入ってー」

部屋に到着すると、風丘は4人とも中に入るように促し、
最後に自分が入るとドアを閉めて鍵をかけた。

「よし、じゃあ、こっちに来てー、気をつけっ。」

部屋の中央辺りまで来ると、風丘は自分の前の床を指して、4人をそこに並んで立たせる。
洲矢以外の3人は渋々といった態度だったが、一応指示には従った。
4人が並ぶと、風丘は穏やかな口調で話し始めた。

「まず最初に。今回俺は、『クラスの仲間を守ろうとした』っていう行為そのものについては
何にも責める気はないし、むしろ誇りに思うよ。皆よくやったね。」

風丘はそう言うと、4人の頭を順に優しく撫でた。

「んっ・・・」
「な、なんだよっ」
「気味悪い・・・」
「先生・・・」

予想外の展開に、四者四様の反応を見せる4人。
そんな様子にフフッと微笑みつつ、しかし少し空気を変えて風丘は「でも」と続けた。

「その結果は置いといて。ちょっとよろしくないことが4人ともあったんじゃないかな?」

風丘の問いかけに、惣一とつばめが即座に反応する。

「だからねえよ!」
「ないない!」

「…じゃあ佐土原からおいで。」

「え…あ、はい。」

しかし騒ぐ惣一とつばめをまたしてもスルーし、風丘は洲矢を呼んだ。
洲矢が進み出て風丘の元に行く。

「佐土原は何か心当たりある?」

風丘に問いかけられ、洲矢は風丘を見上げて答えた。

「えっと…はい。」

「はぁっ!?」
「なんでっ!?」

「はい、2人は静かにー」

洲矢の返事に何で、と疑問の声を上げる惣一とつばめを窘め、風丘は続けて尋ねる。

「何かな?」

風丘に尋ねられ、洲矢はゆっくり口を開いた。

「…先生に、黙ってました。今日の放課後のこと。昼休みにはもう計画してたのに…」

洲矢の答えに、風丘はゆっくりと頷く。

「うん。今回はたまたま俺もほぼ同じタイミングで知ったからよかったけど、
もし勝輝からの報告がなくて、
唯一…まあ、手段は何にせよ、ね。唯一の証拠も掴んで、問題に気付けた皆に、
俺の知らないところで黙って行動を起こされたら、俺はすごく辛いし悲しい。
…まあ、俺が感づかないのが悪いって言われたらそれまでだし、
担任である俺の力不足は完全に棚上げした理論だけど。」

風丘の言葉に、洲矢は首を振る。

「ううん、そんなことないです。…黙ってることが悪いことだって自覚はありました。
昼休みには計画立ててたし。
先生に言わなかったのは…言ったら止められちゃうって思ったから。
だから、わざと黙ってました。
…僕も高藤君、ちょっと痛いことされてもしょうがないって思ったし。」

おとなしく乱暴事を好まない洲矢がこうまで考えていたことに少し驚きを感じつつ、
風丘は「そっか」と相槌を打った。
そして、洲矢の腕を取って自分の元へ引き寄せると、小脇に抱える。

「ちょっとお仕置き、ね?」

「はいっ…」

いよいよ、と洲矢が体を固くすると、数秒後服の上から衝撃を感じた。

パシィィンッ

「んうっ…!」

服の上からなので鋭い痛みではないが、
それでも打たれて少しするとお尻がピリピリしてむず痒い感覚が広がった。
衝撃に少しうめき声をあげ、この感覚に眉根を寄せた洲矢は次なる衝撃に備える。
・・・が、それはやってくることはなく、
頭を優しくポンポンと叩かれて我に返ると、
体を起こされ、お仕置きの態勢から解放されていた。

「…え?」
「「「…えぇ?」」」

洲矢自身も、待機させらている他の3人も呆気にとられていた。
明らかに今までで一番甘いお仕置きだ。

「え、せん…せい?」

「クスクスッ そんなポカンとした顔して。」

「だ、だって…」

1回だけ?、と素直に聞いた洲矢に、風丘はまたクスクス笑って、うん、と答えた。

「まあ、そんなにものすごく悪いことじゃないし、さっきも言ったけど仲間を守るための行動だしね。
でも、友達のためだからってこれから何回も俺に黙って暴走されたら困っちゃうから。
だから、次は同じようにはしないでね、ってことでちょっとだけお仕置き。分かったかな?」

「…はい、ごめんなさい、先生。」

風丘の問いかけに洲矢がぺこりと頭を下げて素直に謝ると、
風丘は「はーい、いい子」と言って洲矢を抱き寄せてもう一度頭を撫でた。

「フフッ…先生、くすぐったい・・・」

クスクスと笑う洲矢に、風丘も微笑むと、
洲矢を解放して未だポカンとしている3人に顔を向けて言った。

「次は…太刀川かな。洲矢くんと同じだし。」

指名されたつばめは、先ほどの勢いはどこへやら、戸惑いからか、え…、と狼狽える。

「ぼ、僕、洲矢と一緒?」

「うん。」

「服の上から、1回だけ?」

「うん、そうだよ。」

「う…それはそれで恥ずかしくて行きづらい…っ」

大体抵抗して無理矢理履いている物を下ろされ、容赦なく引っぱたかれることの多いつばめは、
いつもと違いすぎるシチュエーションに戸惑いを隠せない。
後ずさりするつばめに、風丘は苦笑する。
厳しくすると言っても逃げ、1回だけと言っても逃げ、ではどうしようもない。

「こーら。素直に来ないなら1回追加っ」

「わぁっ! ちょっ、まっ…」

風丘は言うが早いかつばめの手首を掴んで引っ張ると、
素早く小脇に抱え込み、先ほどの洲矢と同じ体勢にしてしまう。

パシィィンッ パシィィィンッ

「ひゃぁぁっ いったぁぃっ」

「はい、おしまい♪」

手早く左右に1発ずつ打ち込むと、風丘はつばめを小脇に抱える姿勢から解放した。
痛みというより呆然としてへたり込むつばめに、
風丘はしゃがんで目線を合わせながら頭を撫でる。

「正義感が強いのはいいことだけどね。次からはちょっとやり方を考えようか。出来る?」

「う゛ぅ゛・・・わかったぁっ」

風丘に窘めるように言われ、つばめは少し悔しそうにしながらも首を縦に振った。
すると、風丘はニコッと笑って、先ほどの洲矢と同じようにつばめを抱き寄せる。

「よし、いい子だねっ」

「わぁっ ちょっ 放してぇっ」

それからわしゃわしゃっと頭を撫でると、恥ずかしがって暴れるつばめを解放した。

そして、次に風丘が名前を呼んだのは・・・

「次は・・・吉野。」

「・・・」

名前を呼ばれ、夜須斗は無言で風丘に近づいた。

「・・・吉野は3発かな。」

「・・・内訳は?」

「黙っていた時間が洲矢君やつばめ君より長い。昨日の段階で分かってたんでしょ。
その時の証拠の取り方も、手放しに評価できるものじゃないし。
それから昼休みの計画、先導したのは吉野でしょう?」

風丘に問いかけられ、夜須斗は悪びれずに肯定した。

「・・・悪い? 今日は頭の使い方間違えてないでしょ。」

「クスクス、さすが。ちゃんと覚えてるね。
・・・だけど、っていうことは皆に、俺に諸々黙ってるように指示もしたんじゃない?」

「う・・・」

「だから3発。はい、おいでー」

「うぁっ」

夜須斗も風丘と少し距離をとっていたため、つばめと同じように腕を勢いよく引かれ、
バランスを崩して体に力が入らない内に風丘の小脇に抱えられてしまった。

パシィンッ パシィンッ ・・・パシィィィンッ

「うっ・・・くっ・・・・・・ったぁぁっ」

今度は左右少し弱めの連打の後に、強めの1発がお尻の真ん中に落とされた。
最後の1発は効いたのか夜須斗は思わず声を上げた。

「はーい、おわりっ」

「・・・」

「あ、ちょっと待ってー」

「うわっ」

解放されて、無言で離れようとする夜須斗を風丘は引き留め、また腕を引いて引き寄せる。
そして、先ほどの洲矢やつばめと同じく夜須斗の頭を撫でる。

「お、俺はいいからっ」

頭の上に置かれた風丘の手を、夜須斗は恥ずかしそうにして慌てて払いのける。
その顔は心なしか赤い。
そんな夜須斗の様子には構わず、風丘は穏やかに言った。

「やり方は置いておいて、記録として残る証拠をとってくれた夜須斗君の功績は大きいよ。
ありがとう。」

「っ!・・・お、俺は仁絵手伝っただけだし・・・」

「クスッ はいはい。」

明らかに照れている夜須斗の態度に吹き出しつつ、
風丘はポンポンと夜須斗の頭を優しく叩くと、背中を軽く押して戻らせた。

「よし、最後。新堂。」

「うぇぇ・・・」

嫌なことには嫌だが、皆がやられている中今更自分だけ逃げるわけにはいかない。
惣一は顔を顰めながら、風丘の元にのろのろ歩み寄った。

「新堂は5発。」

「はぁっ!? なんで俺だけっ・・・うぉっ」

パシィィィンッ

「ぎゃぁっ!」

「何回言わせるのかなー? ケンカ・暴力ダメだって。」

あっという間の早業で小脇に抱えられ、強めの1発目がお見舞いされる。
惣一は手足をばたつかせるが、風丘は物ともしない。

「みっ・・・未遂だ、殴ってねぇ!」

パシィィィンッ

「うぁぁっ」

「・・・ふーん、そっか。
・・・まぁ、そうだろうね。あの状況下で殴ったとしたら、新堂は手加減なんてしないだろうし。
高藤君の様子から、それはないって分かった。
だとしても、そういう問題じゃないんだよ。」

パシィィィンッ

「いってぇっ!」

「自分でも『未遂』って言い方するんだから、殴ろうとしたってことは事実なんだね?」

「ゲッ・・・」

風丘は惣一が高藤を殴ろうとした時には現場にいなかった。
つまり惣一が「未遂」と口走るまで、確証はなかったわけで・・・。
墓穴を掘った、と惣一が顔を歪めるのを見て、風丘は苦笑する。

「まぁ、新堂自身が口滑らさなくても、皆に聞いたけどねー。とにかく。」

パシィィィンッ

「うぐぅっ」

「何でもかんでもすぐに人に手を出すのはいけません。
たとえ高藤君に虐めの加害者だって事実があったとしても、
もし新堂が高藤君を殴ってたら、
それとは別問題で暴力事件として俺は新堂を指導しなきゃいけなくなるんだよ。
分かったー?」

「・・・ちぇっ・・・分かったよ・・・」

パシィィィィンッ

「いぃぃぃってぇぇっ! 強ぇょっ!!」

本日最強の平手をもらって、惣一が体を跳ねさせて反射的に叫ぶ。

「最後に『ちぇっ』なんて言うからでしょー? 
追加しないだけ感謝することっ はいおしまいっ」

「う・・・」

せっかく今日は優しめなのに、追加されてはたまらないと、惣一は黙り込んだ。
しかしまだ不満そうな表情をしているのか、
風丘はやれやれと、ちょっと困ったように笑って惣一の頭を撫でた。

「つばめ君にも言ったけどね。
正義感が強いのも、友達思いなのも、とってもいいことだよ。
だからあとちょっと、やり方を工夫できるように、次からは考えようね。
惣一君なら出来ると思うよ。」

「っ・・・なんだよ、今日マジで気色わりー・・・」

風丘の優しい手に戸惑いながら悪態をつく惣一に、
風丘はフフッと微笑んで、惣一の頭から手を離すと、
惣一以外の3人も含めて言った。

「よし、じゃあこれで4人ともおしまいっ。お疲れ様ー」

「・・・帰ろう。」
「え、う、うん・・・。待って夜須斗っ 先生さようならっ」

「うん、さようなら。」

風丘の終了宣言を聞くが早いかスタスタと歩き出し、部屋のドアから出てしまった夜須斗を、洲矢が追う。
そんな二人に慌ててつばめが声を掛ける。

「ちょっとちょっと! 仁絵と委員長はっ!?」

「ここで待つわけにいかないじゃん。教室で・・・」

つばめに夜須斗がそう答えようとすると、あー・・・と風丘が口を挟んだ。

「柳宮寺はまだしも、宮倉はいろいろ話もあるし、いつ終わるか分かんないから・・・
今日のところは先に帰っててもらえるかな?」

「・・・分かった。行くよ、つばめも惣一も。」

「・・・はーい。」
「・・・あぁ。」

夜須斗は頷くと、まだ部屋から出ていないつばめと惣一を急かすように呼んだ。
それに従って二人は部屋を出ようとするが、その時、振り返って風丘に言った。

「分かってると思うけど委員長は被害者だからねっ」
「仁絵はまだしも、委員長は怪我してるし部屋初めてだろうし・・・手加減しろよっ」

「クスッ はいはい、分かってるよ。」

二人に念を押すようにそう言われ、風丘は苦笑しながら返事をした。
その返事を聞いて、ようやく二人は部屋から離れていった。



ピリリリ ピリリリ

4人が部屋からいなくなって数分後、部屋に備え付けの内線電話が鳴った。

「はーい、風丘です。」

“おー、はーくん、今大丈夫か?”

電話の主は連絡を頼んでいた雲居からだった。

「うん、今4人とも帰ったよー」

“お、ちょうど終わったところかいな。お疲れ。”

「うん、ありがとー それで、どうだった? 歩夢君の怪我の具合・・・」

“あぁ、問題はなかったで。やっても平気や。ただ、胸や腹のあたりは・・・”

言葉尻を濁す雲居の暗に言いたいことを察し、風丘は静かに相づちを打つ。

「あぁ、やっぱりそうだよね。
じゃあ・・・膝の上ではやらない方がいいかな。お腹圧迫されるし・・・」

“あぁ、そうや。せやな、そうしてやり。”

「うん。・・・よし、ありがとう。光矢。」

“おぅ、んじゃ、二人送り出すでー” 

「うん、お願い。」

“ん、そいじゃ。”

ガチャッ

雲居との電話を終え、風丘は立ち上がって背伸びをした。

「・・・よし、もうひとがんばり。」

背筋を伸ばし、これからやってくる二人を迎え入れる準備を始めるのだった。