妄想スパStory

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白瀬の駄文スパ小説(お仕置き小説)を載せています。
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ではでは、今日も皆さんで
妄想のスパ世界に浸りましょう(^_^)v

                                                 

                                    管理人:白瀬つばめ






年明け早々の教室。
 

あっという間に終わってしまった冬休みに、5人組を始めクラスの雰囲気は沈み気味。
今日から新学期が始まり、始業式を終えた2時間目はホームルームの時間だった。

「はーい、皆始業式お疲れさまー。そしてあけましておめでとう。」

教室に入ってきた風丘がテンション低めな生徒たちに苦笑しながら新年の挨拶を口にすると、

バラバラと皆が『おめでとうございます』と返す。
やはり元気はなく、風丘はま、しょうがないか、と続ける。

「今週くらいはお正月ぼけしててもしょうがないけど、皆高等部進学の内部考査はあるんだからねー」

「ゲッ、そんなんあるの!?」
「せっかくエスカレート式なのに!?」

風丘の言葉に目を丸くする惣一とつばめに、夜須斗が呆れ顔で突っ込む。

「エスカレーター式、だろ。」

「まぁでも、考査って10分くらいの簡単な口頭試問と面談くらいらしいから…」

洲矢がそう言うと、普通の考査ならな、と仁絵が口を挟む。

「俺らの中でその普通の考査で済むの、洲矢くらいじゃねーの。」

「「「え?」」」

仁絵の言葉にピンとこない3人は首をかしげるが、心当たりがあるのか夜須斗は「あー、だるい」としかめっ面。

「察しがいいのは結構だけど、そうなる前に4月から対策してほしかったなー」

風丘ははぁ、とため息をついて一応、とクラス全員に言う。

「普通の考査の内容と日程はこれから配るプリントにあるから各自目を通して準備しておくように。
で、この考査以外に追加の内容がある人は後で俺が個別に説明するから、

声かけられたらお部屋に来てねー」

「「「「……」」」」
「なんだろね…?」

なんだかわからないが嫌な予感しかしない惣一とつばめは顔を引きつらせ、
なんとなく察しがついている夜須斗と仁絵は面倒くさそうに無言で目を伏せる。
残された洲矢は一人うーん、と思案顔。

クラス全員に向けて、という体でされた説明だったが、
後半はほとんど5人組たちの方に向けて話されていたように感じたのは、しかし気のせいではなかったのだった。
 

 

 

 

 

「で。」

その日の放課後。
 

思った以上に早くその時間は訪れた。
帰りの会後、5人まとめて呼び出されたのは風丘の部屋。
ちなみに、実際呼ばれたのは洲矢を除く4人だったが、
「洲矢君は対象外なんだけど、一緒に聞く?」という風丘の提案に洲矢がこくこくと頷き、

ついてきて結局5人揃って話を聞くことになった。
 

「なんで5人まとめてなんだよ。」

「えー、だって今更5人の間で成績のこととかプライバシーでもなんでもないでしょー。
どうせお話の内容だって共有するだろうし、というかもはや共有して何とか乗り越えてほしいし。」

こともなげに言い切る風丘。
確かに実際、成績やらテストの点数やら隠したい仲でもない。
自分から問うた夜須斗だが、あっさりはいはい、と引き下がった。
その後に、風丘が「まぁ、今日皆たまたま揃えるからってのもあるけど…」と付け加えた言葉が気になりはしたが。

部屋につくと、風丘は5人にソファにかけるように促し、

自分はそこに正対するようにピアノの椅子を引き寄せて座った。
そして座るやいなや放たれた、

「今のままじゃ危ないよ、って1学期の面談で言ったはずだけどねぇ」と苦笑交じりの風丘の言葉に、
今日のホームルームまでそんなこと本気で忘れていた惣一とつばめは口をパクパクさせ、

夜須斗と仁絵は自覚有りで無視した気まずさに俯く。

「とりあえず、単刀直入に言うと4人は昼間も言ったとおり成績等々で足りないところがあって、

普通の考査だけじゃ内部進学出来ない。
だから、追加の課題のクリアが必要。」

「うげぇ…」
「う゛う゛…」
「はぁ…」
「…」
「えっ…」

はっきり告げられた事実に、初めてそれを認識した洲矢だけが目を丸くして驚く。

「ど、どんな課題なんですか…?」

何故か一番狼狽えている洲矢が問うと、風丘は1人ずつね、とまず惣一の方を向く。

「惣一君は、英語の定期テストで赤点の数が基準超え。
ってことで、英語のテキスト1冊提出と、過去の定期テスト問題+αのペーパーテストで70点以上取ることが必要。」

「はぁ!? 70点とか無理に決まってるだろ!! んな点数取ったことねーもん!」

風丘の突きつけた課題に対して、無理、とはっきり言い切る惣一に仁絵がはぁ?と呆れ声。

「ほぼほぼ定期テストの過去問なんだろ? だったら…」

「仁絵。惣一の英語のダメさ加減はマジで尋常じゃないから。」

夜須斗の深刻な声に、怒るどころかそう!俺はマジで英語がダメだ!と乗っかる惣一に、風丘は吹き出した。

「笑い事じゃないけど、そこまで言い切られるとすがすがしいね。
だろうと思って、特別講師だよ。入ってー。」

「はーい。」

「え。」

そうして部屋の外から入ってきたのは、予想外の人物だった。

「あんた風丘の…妹?」
「「「ええっ!?」」」

「はい。風丘花月です。お久しぶりね、惣一君。あと、つばめ君も。」

「う、うん…」

風丘の妹の花月。惣一とつばめは以前風丘の部屋に立てこもり騒動を起こした時にたまたま会ったことがあったが、それ以来だ。

「でもなんで…?」

「花月は大学の教育学部で中高英語の教員免許を取る課程を取ってるんだ。
ほんとはかわいい妹にこんな困った子の相手はさせたくないんだけど、背に腹はかえられないからねぇ…」

「普段は大学の近くで一人暮らししてるんだけど、実家から通えない距離じゃないの。
だから、しばらく実家に戻って、授業がない日とかに惣一君のお勉強のお手伝いさせてね。」

「え、えと…」

「なーにニヤけてんのよ、クソガキ。」

ニコッと笑いかけられてドギマギする惣一に、横やりが入った。

「…なんでオカマババアが来んだよ。」

 

そこに立っていたのはこの場に似つかわしくない、事務員の氷村だ。

「まさか、花月ちゃんと二人っきりで勉強出来るなんてふざけたこと思ってんじゃないでしょうね。
あたしがお目付役よ。あんたは『あたしと』花月ちゃんと3人で勉強!」

「はぁ!?」

「花月ちゃんは優しすぎるからね。飴と鞭の飴の方で、鞭は魅雪にお願いしたんだー。」

「サボったらちゃんと本気で鞭がとぶからそのつもりで覚悟してやりなさい。」

「うげぇぇ…」

あからさまに肩を落とす惣一に風丘は吹き出しそうになりながら、次は、とつばめを呼んだ。

「つばめ君は俺と。課題は国語の、名文暗唱と漢字書き取り。」

「うぇっ…」

課題を聞いた瞬間、つばめがまずい、と顔をしかめた。

「つばめ君、3年になってから金崎先生の名文暗唱テストと漢字テスト、1度も通ってないでしょう。」

「漢字苦手なんだもん…

っでもでも、暗唱テストは、あんなの意味も分かんない奴が念仏みたいに唱えてたって意味ねぇ、って仁絵が言ってたよ!」

「おい、俺を巻き込むな…」

突然つばめに引っ張り出された仁絵が顔をしかめる。
正論だが元も子もないその意見に、風丘は仁絵君…と苦笑する。

「でもねぇ、つばめ君、国語はそれを除いてもいろいろ足りないんだよ。

じゃあ、他に出てた案で、課題図書読んでの読書感想文にする?」

「う゛っ…う゛ー…暗唱にする…」

好きでもない本を読んで文章を書かされる苦行をさせられるなら単純作業の書き取りと暗唱の方がまだマシだ。
つばめは苦渋の決断とでも言わんばかりに唸り声をあげながら先の選択肢をとった。

「はい。で、あと二人だけど…夜須斗君は、委員会活動サボりすぎ。」

「…やっぱそれかよ…」

星ヶ原中学では、全員何かしらの学級の係か委員会に属することになっている。
当然、その活動は内申点にばっちり加味されている。

「お前、委員会なんだっけ。」

仁絵が尋ねると、夜須斗は嫌そうに口にした。

「保健委員会…」

「はぁ!?」

予想外の委員会に、初耳だ、と仁絵が驚きの声を上げると、それに呼応してまた別の人物がやってきた。

「せやで。俺がせっかく推薦してやったっちゅうに全然活動来ぇへんかったんや。」

 

入り口にゆったりと立つ雲居を、夜須斗が睨む。

「あんたが俺を脅して無理矢理保健委員会にさせるからでしょ。俺はやりたいなんて一言も言ってない。」

「人聞き悪いなぁ。俺は雨澤先生不在の保健室を我が物顔で使ってる夜須斗に

『そんなに保健室好きなら保健委員やったらどうや』って薦めただけやで?」

「よくもそんな口からデマカセをペラペラと…」

「その台詞はお前に言われとうないなぁ。」

しれっと言う雲居を夜須斗が更に強く睨みつけるも雲居は何処吹く風。
惣一が、ほんとはなんて言われたんだよ、と問うと、

夜須斗は思い出したくもなさそうに苦虫を噛み潰したような顔で吐き捨てた。

「今この場でサボったこと雲居にケツ叩かれた上に風丘に報告されるか、

後期の保健委員会引き受けるかどっちか選べ。」

「うわぁ、100パー脅しじゃん。」

「っていうか、俺あんたから押しつけられた雑用はやってやったじゃん。」

「アホ。雑用やのーて手伝いや、手伝い。大体それだけやってたら普段の活動せんでいいってわけあるかい。」

「ふーんそう。でもさ、今あんたがこの場にいるってことは…」

夜須斗がちらりと風丘を見ると、風丘は少し困ったように笑って言う。

「うん、光矢のお手伝いで土曜日登校して一緒に保健室の大掃除。」

「…サイアク。最後までこいつの雑用係じゃん。

普段の活動サボってたから引っかかったんじゃなかったわけ?」

「夜須斗。お前今ここでケツ叩かれるか?」

「うん、保健室大掃除自体は保健委員会がいつも各学期末にやってる『普段の活動』なんだよ。
今回夜須斗君に付き添いの先生がついてやらせるってことになったんだけど、

雨澤先生よりは光矢のがいいだろうって職員会議で満場一致でね…」

「っ…」

それについては否定できず、夜須斗は黙り込んだ。

「で、最後に仁絵君だけど…」

「何やらされるかはわかんねーけどとりあえず今俺の視界に入った奴が関係してるならマジで内容変えてくれねぇかな…」

仁絵がげんなりした声でそう弱音を吐いた原因の人物が、おやおや、と穏やかに微笑みながら近づいてきた。

「ひどい言いようですねぇ。私は貴方のためなら喜んで、とこの役目をお引き受けしたのに。」

「いっそのこと断ってくれた方がよかったよ。」

霧山はにこりと微笑むが、仁絵はぼそりと呟いてそっぽを向く。

「仁絵君。あなたは「行動の記録」の評価が悪すぎるそうですよ。」

「「行動の記録」?」

首をかしげるつばめに、洲矢が説明する。

「ほら、通知表の右側に○がつくかつかないかで載ってるやつだよ。

「生き物大事にしました」、とか「規則正しく生活してます」、みたいな。」

各教科の授業で評価される学業成績と違い、

学校生活のありとあらゆる場面の行動から評価されるそれは、
滅多なことがなければ評価が足りなくなる、なんてことはない。
だが…

「うちの学校、「行動の記録」は学年会議で話し合って決定するんだ。
ある程度は担任の俺の意向でつけられるけど、一存では難しくてね。」

全身校則違反、学校行事に積極的とは言いがたい、無気力、怠惰、サボり癖、教師への態度…
指摘されてしまえば、ある程度はそれを踏まえた評価をしなければならなくなる。
あくまで「学校生活全般」の行動に対する評価であり、「風丘の前での」行動のみを評価するものではないのだ。

「分かってるよ。前の学校じゃそこに一カ所でも○ついたこと一度もねーし。」

「マジかよ、仁絵すげーな…」

流石に俺でもねーよ、と惣一が目を丸くし、それを聞いた教師陣は苦笑する。

「それで。仁絵君の課題ですが。」

霧山がそう切り出した。

「評価項目として『自主・自律』『責任感』『創意工夫』『思いやり・協力』『勤労・奉仕』を網羅する素晴らしい課題です。」

「…だからその課題はなんだよ。」

もったいつけた物言いに仁絵がいらつくと、霧山は誇らしげに言った。

「私は毎週末近隣の保育園や児童養護施設、老人ホームなどで読み聞かせボランティアをやっています。
…というわけで仁絵君。それに帯同して、一緒に読み聞かせ、やってもらいますよ。」

「はぁぁぁ!?」
 

 

 

 

 

というわけで、4人に与えられた課題はどれも一筋縄ではいかないものばかり。
…こうして4人の試練の日々が幕を開けたのだった。
 

皆様お久しぶりです、白瀬ですニコニコ

 

ようやく、書きます書きます書いてます、と言い続けて

何の進捗も見せていなかった←

『名探偵コナン』の赤井/降谷を、少しではありますがアップできました!

いや、スパの片鱗ない上にスパネタもかなり定番だし、

しかもまだ赤井、メッセージ文でしか登場してませんが…あせる

これから大活躍してくれる予定なので! 見捨てないでください!

ちなみに自分で読み返して「あれ? 私風見/降谷書くんだっけ?」と錯覚するくらい

風見が保護者感満載になってしまいましたが

それは単に白瀬の好みが色濃く出ただけです、許してください…汗

いや、階級とか社会的立場的には下だけど、精神的に大人なキャラ、いいですよね…

お目付役とか、好きなんです…恋の矢

 

このあと、後編(もしかしたら無駄な字数のせいで中編・後編になるかも)を

なるべく早めに書いていく所存なので、今は全然スパっぽくないからなぁという方は

そのあとまとめて読んでくださったら嬉しいです…!

 

さて、ちなみにメガネ教師はおそらく5人組中学編最後になるであろうお話を書いてます。

一応区切りということで、オールスター総出演っぽい感じに仕上げたい意気込みで書いてますが、

さてさて、どうなることやら…という感じです。

こっちも長くなりそうなので、少しずつ上げていけたらいいなぁ。。って感じです。

いやー、それにしてもようやく中学最後。。感慨深いですネ。

まぁ、その辺りの話は書き終わってからにしろよ、ってことですが(苦笑)。

いつ終わるのか…←

 

あと、プライベートでは先日誕生日を迎え、20代が折り返しに入りました!笑い泣き

記念(?)に久々にツイキャスでもやろうかなぁと思いますが

買い替えたパソコンでちゃんと配信できるか不明なので、

試してみてできそうだったら詳細詰めていきますね音譜

 

ではでは、そんな白瀬の近況でした!!

ビックリマークビックリマークビックリマーク注意(設定)ビックリマークビックリマークビックリマーク

ナチュラルに組織壊滅後&赤井と降谷が恋仲。

スパ以外はR要素はほぼないですが

設定から二次創作(むしろ妄想)なので

腐要素等々地雷の方は要回避。

 

ちなみに前編はスパ要素も皆無ですあせる

 

 

 

 

 

ある月末の金曜日。
過去に「プレミアムフライデー」などと大層に名付けられたこの日も、

警察庁公安部は特に何かが変わるはずもなく通常営業。
午後からの有給も、時間休暇すら申請する者は誰もおらず、

デスクで弁当、建物内の食堂、外出して定食屋…と、各々昼食をとっていた昼休み。
 

デスクで自作のサンドイッチを片手にメールチェックする降谷のパソコン脇に置かれた携帯に、

1通のメッセージが入ったことを知らせるポップアップが表示された。

何気なく目をやった降谷は、予想外の人物からのメッセージに目を見開いた。

《来週の金曜の夕方から1週間ほど、日本に戻れることになった。》

降谷は嬉しさに、思わずメールチェックの手を止めて携帯に手をのばし、即座にメッセージを返す。

《そうですか! こっちも今のところは比較的落ち着いている方なので、

久々に二人でゆっくりできそうですね。》

すると、向こうからもすかさず返信がきた。
あまりの速度にお互い何をしているんだと呆れて笑ってしまいそうにもなるが、それだけ心躍っているのだ。

《そうか。帰ったら久々に零君の手料理が食べたい。》

《任せてください。腕によりをかけて作ります。

帰国の日には必ず定時であがりますから。空港に迎えに行きます。》

《嬉しいな。ただ、くれぐれも無理はしないでくれ。》

《僕を誰だと思ってるんですか。まだ1週間もあるんです。それくらいの調整余裕ですよ。》

《頼もしいな。では、1週間後を楽しみにしているよ。my honey.》

《ええ。僕もです。》



「…何が『my honey』だよ…。」

携帯を置き、そう呟く降谷の顔は、しかしとても穏やかで幸せそうな表情だった。

組織壊滅からまもなく2年。
一時犬猿の仲(主には一方的な降谷からの敵意が原因だが)であった降谷と赤井は和解し、
共同で後処理をしていく中で和解にとどまらず二人は恋仲となった。
その道のりは紆余曲折ありすぎて、

和解からカップルになるまでの間がたった1年あまりと言われるとあまりの短さに信じられない気持ちにもなるが、
とにかく今二人は世間一般に言う『恋人同士』の仲であった。

後処理も大方済み、最近は赤井はアメリカと日本を中心に各国を飛び回る生活スタイルに戻ってきていた。
今は少し大きめの事件の関係だと1ヶ月ほど前からアメリカに戻っており、

先日そろそろ一段落しそうだ、と連絡をもらっていたところだった。
 

降谷の生活も、ここ最近はすっかり様変わりした。
多忙なのに変わりはないが、トリプルフェイス…少なくともバーボンの顔は必要がなくなったし、
元々多くの部下をもつ降谷が直々に現場で任務にあたることはそうはないのだ。
大きな案件に関すること以外はデスクワーク中心になり、仕事の進捗や先々の予定も読みやすくなっていた。
今はすぐに動きがありそうな大規模な案件もなく、

順調にデスクワークをこなせば赤井が帰国する1週間後は確実に定時に上がれるはずだ。

「早速頑張るか。」

残りの昼食のサンドイッチを頬張り、降谷は片手でメールの画面をスクロールしながら、

デスクに積まれた書類の山に手を伸ばした。
 

 

 

しかし、人生そう上手くはいかないものだ。



連絡を受けた金曜は順調に仕事をこなして夜10時には帰宅した。
週末の土日も、少しでも片付けられるものはやってしまおうと出勤し、予定通りの量を処理して充実感に満たされて帰宅した。
週明け月曜も、午前中は重要事件発生中の時と比べれば平和と呼ぶ以外何ものでもないくらい穏やかだった。

…事態が変わったのは昼休み明け。
オフィスに鳴り響いた電話のコール音。

何の変哲もない、オフィスでは当たり前の音だが、
降谷は嫌な予感を察知し、風見に視線をやると図らずも目が合った。
お互い感じたことは同じだろう。風見は少し険しい顔をして一つうなずき、電話をとった。
内容を聞きながら、降谷に目配せして手元でメモをとる。
メモを覗き込む降谷の眼差しはどんどん真剣さを増していく。
二人の様子を見て、他の部下たちも先ほどまでの穏やかな空気を一転させ、

緊張した面持ちで電話後の指示を待つべく席に着いた。
 

 

 

結果として、何か重大事件が今まさに発生、というような緊急レベルとしてそこまで高いものではなかった。
継続的に追っている案件の首謀グループと目される集団の幹部と推定されている連中に、

いつもと変わった動きが見えたという潜入捜査中の者からの報告だった。
急ぎ上に伝令すれば、今後の方針を早急に示せというお達しが降りた。
事件が起きたわけではないとはいえ、なかなか長期戦を強いられている相手に関わる内容であり、

降谷的リミットである今週金曜までに落ち着かせるのはかなりギリギリの戦いだ。
この案件一つに公安部全員でかまけていられるわけでもない。しかし。

「…やるしかないだろ。」

降谷は呟くように、だが決意を込めて言った。
『僕を誰だと思ってるんですか』。
赤井にかけた言葉を頭の中で自分に言い聞かせるように反芻する。

「降谷さん?」

その呟きもとい決意は一番近くにいた風見にもはっきりとは聞き取れなかったようで、
風見が聞き返すと降谷はいや、何でもない、と返す。

「さぁ、早速取りかかるぞ。この案件、1週間で取りまとめる!」

降谷の号令に、公安部全体が威勢良く返事を返した。
 

 

 

金曜定時上がりをなんとしてでも完遂するべく、そこから降谷は怒濤の勢いで仕事をこなした。いつにもまして。
この案件が持ち上がってくる前もかなり勢いづいていたが、その比ではなかった。
月曜から、降谷は自宅に帰っていない。

火曜、水曜…。
鬼気迫る勢いに風見や部下が時折心配の声をかけるが、そんなことは耳に入らなかった。
 

降谷の机の上の書類は目に見えて減っていっている。

案件に関わることも、その他の雑務的書類もどちらもみるみる片付けられていく。
更に降谷は、部下の仕事が自分のチェックに上がってくる間も待ち遠しいのか、

部下の仕事のサポートにまで片っ端から入っていった。

サポートというかもはや主務と補佐が入れ替わる並に降谷がやってしまう勢いだ。
部下たちは、もっと仕事が切羽詰まっている時は数え切れないくらいあったのに、
何故今回に限って降谷の「全部抱え込み猪突猛進スタイル」の激しさが

過去の類を見ないくらい増しに増しているのか理由が分からず困惑していた。
しかし何にせよ、家に帰らず、ろくに仮眠もとっていない(風見が証人)上司に仕事を奪われるなど精神的に耐えられない。
降谷に目をつけられまいと、皆必死に仕事に取りかかった。

もはや協力プレーなんて平和的なものではない。闘いだった。



「フーッ…」

木曜深夜。そろそろ日付が変わって金曜になろうとしている。
部下たちは粗方帰した。

昨日までは数人ずつ残っていたが、人数が物を言う仕事はほぼほぼ片付いていたものだから、
降谷に「お前たちが出来ることはやり尽くしてくれただろう」と事実を言われてしまえば部下たちも帰らざるを得なかった。
残っているのは降谷とあと一人。

「降谷さん。今日こそは帰って休んでいただく約束だったはずです。」

「ん…」

風見は未だデスクから離れる気配のない上司に強い口調でそう言い募った。
降谷的にも今夜は、明日帰ってくる赤井のためにも(赤井は日本にいる間は当然のように降谷の家に滞在する)、
帰宅して少しは自宅を整えておきたいという思いが昨日少しはあった。
だから、昨日「今日も帰らないおつもりですか」と少し非難じみた物言いをしてくる風見に

「明日は帰るから」と言ってはぐらかしたのだ。
そのとき確かに「分かりました。約束してくださいね。」などと言われて、

「あぁ、わかったから」とか適当に返事した気もする。だが…。

「…やっぱりまだ帰れない。」

降谷の目算だと、今帰れば明日の定時上がりは難しくなる。残って続ければ間に合いそうなのだ。
多少準備が甘い自宅を赤井の眼前に晒すことになっても、
あそこまで言い切っておきながら、

やっぱり仕事が終わらなかったから定時には上がれない、空港への迎えも行けない、なんてことを赤井に報告する方が、
そして実際それが現実になってしまうことの方が数百倍降谷にとっては恥ずかしいことだった。
少し緊急の案件が入ったからなんて関係ない。そんなこと公安部に属していれば日常茶飯事だ。

何もいきなりテロ事件が起きたわけじゃない。

それも含めて定時に上がる、と言ったつもりだったし、赤井もそのつもりで「頼もしい」と返したはずだ。

「約束していただいたはずです。」

なおも詰め寄る風見に、降谷はうるさい、と素っ気なく返す。

「思っていたより進みが悪い。これじゃ明日までにまとめきれない。」

「それでもです。というか降谷さん。お言葉ですが、いつもと比べたらむしろ速すぎるくらいの処理スピードです。
まさか本当に1週間で取りまとめようなんて…」

「僕は最初からそのつもりだった。」

 

いつも以上に頑なな降谷の態度に、風見は戸惑いを見せる。

「何をそんなにこだわっていらっしゃるのか…。自分の体を犠牲にしてまでのことなんですか。」

「っ…」

困惑の表情を隠さない風見に、

まさか赤井の帰国に合わせて定時退庁する、と赤井に言い切ったことを、
今更守るのが厳しくなってきたから実は焦っているなどと言えるはずもなく、

降谷は別に何もない、と風見から顔を背けた。
話題を変えるように、大体、と口を開く。

「家に帰ったって大して何も変わりやしないだろう。ここでだって仮眠はとってるんだ。」

「仮眠室にまで捜査資料を持ち込んでいるじゃないですか。
ご自宅ならそれは出来ません…というか、それが目的でしょう。お帰りにならないのは。」

いくら公安のエースといえども、機密資料の持ち出しは制限がある。
帰宅してしまうと、手元に仕事を進めることの出来るものがほぼなくなるので、否が応でも休む以外の選択肢がなくなるのだ。
しっかり見抜かれていて、降谷は(小姑め…)と心の中で舌打ちする。

「…明日は定時で上がる。場合によっては時間休で早上がりするから。」

「は? そんなことでごまかされるとでも…」

「明日は絶対にそうする。だからこの話はもう終わりだ。いいな、風見。」

「降谷さん…」

「仮眠をとる。邪魔するなよ。」

そう言ってオフィスを出る降谷の手にはしっかり捜査資料があって。
しかし「仮眠する」と言われればそれ以上何も言えない。
またはぐらかされた…と、風見は肩を落とすのだった。
 

 

 

翌朝。

仮眠室からオフィスに戻った風見の視界に真っ先に入ったのは、真剣な面持ちでキーボードを叩く降谷の姿だった。
数名部下も出勤してきているが、まだ8時前。始業時間まで大分ある。
降谷は大方、風見が仮眠室に引っ込んだタイミングを見計らって明け方の内にオフィスに戻ったのだろう。

いくら資料を持ち込んでいるといっても、仮眠室で出来る仕事なんて限られる。
風見がオフィスを出る前には降谷のデスクに積まれていた書類の束がいくつか消え、

代わりに上に回す報告書等が積まれる箱の中身が増えていた。

風見は一つため息をつくと、「おはようございます」と諦めたように降谷に声をかけた。

「あぁ、おはよう。」

降谷は何事もなかったかのように返すと、

作業台やら会議机やらとして使われている長机の端に置かれたコンビニ袋を指で示す。

「朝飯まだだろう。適当に買ってきてもらったから好きなの食べるといい。」

降谷が視線を投げた先の部下が小さくぺこりと会釈した。
いつも出勤の早い者だから、出勤ついでに買ってきてもらったのだろう。

「…ありがとうございます。降谷さんは?」

「僕は今はいい。1つ2つ残しておいてくれれば気が向いたときに食べる。」

睡眠だけでは飽き足らず食まで疎かにする気か、この人は。
そういえば降谷が最後にまともな食事をしているのを見たのはいつだ…?
そう思ってごみ箱に目をやると、ゼリー飲料や栄養食の空きパックや包みが目立つ。

「…降谷さんが召し上がってからいただきます。」

「別に僕は食べないと言ってるわけじゃないだろう。」

「いいえ。私が残ったものを食べます。」

「……全くお前は…。」

降谷はため息をついてわかった、とキーボードから手を離した。
自分の体は全く顧みないのに、

部下が一食抜こうとするのは気にするのだから不思議な人だ、と風見がそんなことを考えた時だった。

「昨日から少し口うるさすぎ…っ…る…」

「降谷さん!」
「「「!!!」」」

長机の方に行こうと降谷が勢いよく立ち上がろうとした瞬間、降谷の視界はグワンと揺れた。
咄嗟にデスクに手をついて体を支えようとしたが、

腕に力が入らずカクンと折れて、そのまま尻餅をつくように床に倒れてしまう。
そんな兆候さっきまでなかったのに、と降谷は自分の体に心配どころか苛立ちを覚えた。
風見や部下たちが自分を呼ぶ声が微かに聞こえる。
引っ張られていくようななんとも言えない抗えない感覚に、

ああ、やばい落ちる、と思ったのを最後に、降谷の意識はブラックアウトした。

 

「ただいま。」
「ただ…いま…」
 

あの後帰りの道中、葉月は実嵐の手を強く握ってはいるが、

何組かすれ違った甘やかなカップルの空気とはほど遠く
二人は一言も話さず終始無言で歩いて帰ってきた。

ドアを開けて、葉月がどこか冷たくこともなげに、実嵐が所在なさげに帰宅を告げると、
奥から仁絵が飛び出してきた。

「っ…おかえり!! …よかった…」

「ひとえ…あの、ごめ…」

「実嵐、仁絵くんにお風呂温め直してもらったからすぐ入って。その後入れ替わりで俺が入るから。」

「え…あ…うん…」

仁絵が心底安堵した表情を見せ、どれだけ心配させてしまったか察した実嵐が謝ろうとするが、
それを遮るように葉月に指示を出されてしまった。
その顔が、普段実嵐に向ける顔とは似ても似つかぬ恐ろしく冷たい顔で、

実嵐はしゅんとして、珍しく素直に従い、着替えをとるために二階の寝室に向かっていった。
 

 

 

「あー…飯、食う?」

残った二人。

仁絵は微妙な空気に恐る恐る口を開くと、うん、そうする、とまだ冷たさの残る返答があった。
 

二人は続いてダイニングキッチンに入り、

仁絵は本来は先に実嵐が食すはずだったクリームシチューを温め直す。

「…どんな状況だったの。」

焦げ付かないよう、鍋の中のシチューをかき混ぜながら、仁絵が問いかけた。

「どうして?」

ダイニングチェアに腰掛け、何するでもなく待っている風丘が逆に問うと、仁絵はそりゃあ…と続ける。

「今の風丘、マジでヤバい顔してるから。ってか流石に自分でも気づいてるだろ。隠そうともしてないし。」

そんなにひどい顔してるー?と少し苦笑しつつ、葉月は呟くように言った。

「…まぁ、あんなにみらちゃんに怖がられるの初めてかもだから結構な顔してるのかな。

でも、今日くらい許してよ。俺だって、あんなの見たら余裕なくなる。」

「だから…」

「…酔っ払いに絡まれてた。」

「え」

「好き放題触られてた。」

うわぁ…と、仁絵は声にならない声を上げ顔をしかめた。
それはあんな顔にもなるだろう、あれだけ大切にしている実嵐にそんなことをされたら。
仁絵は皿に盛ったシチューを葉月の前に置くと、唐突に言った。

「…俺のこと、1発くらい殴ったら。」

「えぇ?」

突然の言葉に、葉月が怪訝な顔をする。

「言ったろ。俺知ってて黙ってたって…空城が一人で帰ろうとしてること。」

「…」

実は、空港からやはり車を飛ばして帰ってきた葉月に、

仁絵はたまらずここまでの経緯を洗いざらい話したのだ。
そして、実はまだ帰っていない、と結論を言った瞬間葉月は飛び出していった。
実嵐が危ない目に遭った原因の行動に自分も多少なりとも加担してしまった、

メッセージで嘘もついた、仁絵はその報いは受けるべきだと考えたのだ。
仁絵の言葉を聞いて、葉月は少し黙ると、いつもの調子に戻ったような口調で言った。

「なるほど、それで『1発殴ってもいい』なんてあの仁絵君に言わせるほど

今の俺はぶち切れた顔してるわけか。」

やっぱりそんなにひどい顔してるかー、と眉間に指を当てマッサージするような動きをして、それから立ち上がる。

「まぁ、仁絵君にも全く怒ってないかというと嘘にはなるけど。

言ってくれればよかったのに、とかは思う。
といっても、どうせみらちゃんが無理矢理黙らせたんだろうし。

そんなみらちゃんみたいに叱るつもりはなかったけど…
ただまぁ、あの仁絵君がせっかく提案してくれた上に珍しく反省してくれてるみたいだから。」

「うおっ…ちょっ…」

そう言うと、葉月は仁絵の腕を引くと、

自分はまた椅子にかけ直し、あっという間に仁絵を膝の上にのせた。
慣れた手つきで仁絵の履いているものを下着ごと下ろす。

「…俺は『殴れ』って言ったんだけど。」

「俺は人の顔を殴ったりしないの。知ってるでしょう?」

バッチィィィィンッ

「ってぇぇぇっ」

想像以上の威力で1発目が降ってきて、思わず仁絵は声を上げてのけぞった。

白いお尻には綺麗に赤い手形が落ちている。

バチィィィンッ バチィィンッ

「うあっ…いった!!!」

「はい、おしまい。今度あの子がオイタしそうになったら隠さないで俺に言うこと。約束。」

「わかったよ…ってぇ…『1発』っつったのに…」

立ち上がって下着とズボンを直し、少し恨み言を言いながらお尻をさする仁絵に、葉月は少し意地悪く言う。

「言われたとおりにするんじゃお仕置きにならないでしょ。」

「俺はこうしろなんて言ってねぇよ、殴れって言っただけで…」

「こうなるって分かってたくせに。
俺が仁絵君を殴ったりするわけないってこと、仁絵君なら分かりきってるでしょ。」

「いや、まぁ…」

想定していなかったといえば嘘になるが、

思ったより痛いのを落とされたので2発目が落ちてきた時に若干後悔しかけた、とは

さすがに恥ずかしくて言えず、仁絵は言葉を濁した。
葉月はそれを知ってか知らずか、さて、冷める前に食べなきゃ、とスプーンを手に取り、食事を始めた。
 

 

 

「…ありがと。気遣わせたね。」

少し経って、食事をほぼ終えた葉月が徐にそういった。
仁絵は、食器を片付けようとする葉月を手で制し、

自分が食器を下げながら、尻叩いといて言う台詞じゃねーだろ、と照れ隠しのように言う。

「別に。スルーされるのも居心地悪ぃし。

…まぁ、あんたあーいうことするときはいつも冷静になるイメージだから。」

それで少しは落ち着いてくれるかとは思った、という仁絵の言葉に、葉月はふぅ、と息をついた。

「それが気遣ってなくてなんなの。

っていうか、俺がそこで落ち着かないで怒りにまかせてめっためたにお仕置きしてきたらどうするつもりだったの。」

「風丘はんなことしねーだろ。ま、そうなったら明日児童虐待で児相に駆け込んでたかもな。」

「それは、あそこで冷静になれた自分を褒めなきゃね。…どう? 顔、少しは戻った?」

「さっきよりはな。…あ。」

風呂場の扉が開く音、次いでこちらに向かってくる足音がして、

それを聞いた葉月はごちそうさま、と告げて立ち上がる。

「あんま泣かすなよー、明日出掛けにぐずってるあいつに絡まれるのはごめんだからな。」

「ちゃんと俺がフォローするよ。じゃ、みらちゃんにちゃんとご飯食べさせてね。」

その返答はつまり相当泣かせるつもりだと言外の含みを察した仁絵は、
実嵐が自分で蒔いた種とはいえ、いささか可哀想になるのだった。
 

 

 

「ひとえ…ごめん…」

「俺のことはもういいから。早く食えよ、風丘もうきっと風呂から出たぞ。」

こっちはこっちでいつもと打って変わった様子で、仁絵は調子狂う…と、ため息をついた。
 

風呂からあがった実嵐は、

いつもだったら考えられないくらいスローペースでシチューを食べ、合間合間に仁絵に謝っている。
ダイニングに入って開口一番実嵐に問われた、「叱られた?」の問いに、
「まぁ、何もなし、ってわけにはいかねぇだろ」とオブラートに包んだつもりが

わりとはっきり回答してしまったのがよくなかった。
聞いた瞬間顔を歪め、更にしょげ返ってしまってこの調子だ。
もう10分近く前に、風丘が風呂を終えて自室に戻る足音が聞こえた。
あまり待たせすぎても良い結果はない。仁絵は実嵐を急かす。

「そんなに謝りたいなら俺じゃなくてあとで風丘に謝れよ。」

「葉月…怒ってた…」

「そりゃな。だから謝るのは俺じゃなくて風丘。とっとと食って叱られてこいよ。
お前がそんなんじゃこっちが調子狂う。」

「っ…仁絵ももっと怒ればいいだろ、私のせいで叱られたんだし。」

「だーかーら、俺の方はもう済んでんの。次は空城の番。それだけ。
大体、俺はそんなに怒ってねぇよ。人のこと言えたもんじゃねーし。」

「…ほんとに?」

「ま、一言言わせてもらうとすればスマホの電池管理ちゃんとしろ、ってことくらい。マジで心臓に悪いから。」

「ごめん…気をつける…」

「あー、やっと食べ終わった。ほら、じゃあ早く行ってこいよ。」

実嵐がやっと空にしたシチュー皿を取り上げ、仁絵は実嵐をせき立てる。

「あんま待たせてもいいことないから。このまままっすぐ行けよ。これはアドバイス。」

「うん…わかった。」

実嵐は仁絵に送り出され、ようやっとダイニングを出たのだった。



ガチャッ

「あの…葉月…」

実嵐が寝室のドアを開けると、葉月はベッドに腰掛けていた。

ドアを開けても視線を向けてはくれず、実嵐は恐る恐る話しかける。

「ん?」

「っ…あの…さっきはごめん…助けてくれてありがとう…っ」

無視されず反応を返してくれたことに安堵して、実嵐は少し声を震わせながら言った。
それを聞いて、葉月は全くね、と呆れ声で言う。

「こんな説教のテンプレみたいなこと言いたくないけど俺が間に合わなかったらどうなってたかね。
あれ以上の状態見せられたら俺本気であいつら殴りつけて半殺しにしてたかも。」

「ひっ…」

葉月は徐に立ち上がると、実嵐の腕を掴み、そのままベッドの縁まで連れて行き仰向けに押し倒す。

「…はづっ…」

「自分がどれだけヤバい状況にいたか分かってる? 大体実嵐、細身で力も言うほどないだろ。
俺が片手で押さえてるだけの今だって逃げられないのに。
なのに平気で夜中に一人で出歩いて。絡まれたら案の定振りほどけない。」

「ごめん…葉月ほんとに…だって私なんか…絡んでくる奴なんていると思わな…」
 

実嵐の言い訳とも言えない言い訳に、葉月はチッと小さく舌打ちした。

「いるに決まってるだろ。過小評価もいい加減にしろよ。」

「ひっ…はづきっ…」

身動きがとれない状況で耳元で少しドスのきいた声で言い放たれ、

怖さと息のかかったくすぐったさで実嵐が身じろぐ。

「あー…むかつく。イライラする。」

「はづ…き…?」

「…あいつらに触られたとこ全部言って。」

空いている方の手で顎をクイと持ち上げられる。まるで尋問のようなプレッシャーに、実嵐は慌てて口を開く。

「っ…手首掴まれて…お、お尻…撫でられただけ…」

「撫でられた『だけ』?」

「な、撫でられたっ…」

「胸は?」

「それは大丈夫…葉月が来てくれたから…」

「そう。それじゃあ…」

「うわっ…」

葉月は突然掴んでいた実嵐の手首を再度引っ張ると、体勢を変え、あっという間に実嵐を膝の上にセッティングしてしまった。

「汚い野郎に触られたこのお尻、その感触も忘れられるくらいしっかり消毒しないとね。」

バシィィィィィンッ

「きゃぁぁっ!? ちょっ…ちょっと待ってっ…」

正直、実嵐は葉月にお尻を叩かれるのはこれが初めてではない。
しかし、これは今まで経験したどんな時よりも痛かった。まだパジャマの上からなのに。
しかも、実嵐が想像を絶する威力の平手に慌てている内に

パジャマのズボンも下着も一緒くたにあっさり取り払われてしまう。

バチィィィンッ バチィィィィンッ

「いたいっ…いたいはづきっ」

「当然。中途半端な痛みじゃ消毒にならない。さて、あと97回。」

それはつまり100叩きということか。この威力で。
衝撃の宣告に、実嵐は目を見開いて足をばたつかせる。

「きゅっ…無理、無理ぃ…」

バチィィンッ バチィィンッ バチィィンッ

「やぁっ! いたいっ…やーっ」

「暴れるな。消毒を妨害する悪い足も消毒が必要? こうやって。」

バチィィンッ バチィィンッ

そう言って落とされた平手で、お尻のだいぶ下、両足の太もも裏に1枚ずつ赤い紅葉がついた。
お尻よりも大分肉の薄い場所を打たれた酷い痛みに、実嵐は必死に首を横に振る。

「あああっ ぅぅっ…いらっ…いらないっいらなぃっ」

「じゃあおとなしくする。」

バチィィィンッ バチィィィィンッ

「いたいいっ…もう反省したぁっ…うぁぁっ…もう夜中一人で帰ったりしないっ…」

実嵐の必死の叫びも、葉月は受け流す。

「当たり前。あれだけの目に遭って反省なし、また一人歩き、なんてことになったらこんなんじゃ済まさない。」

バチィィンッ バチィィンッ バチィィンッ バチィィンッ バチィィンッ

「やぁぁぁぁっ!? いたっ…やぁぁっ」

「実嵐が反省してるのは分かってる。顔を見れば。
でも、いつものオイタのお仕置きと違って、反省しました、はい終わり、なんて簡単には許せない。
今日は1発もまけない。大事な消毒だからね。はい、あと87回。」

「やぁ…無理ぃ…」

絶望的な数字に、実嵐が涙声で葉月を呼ぶと、葉月は眉間にしわを寄せて首を軽く横に振った。

「…今更そんな甘えてもだめ。」

バッチィィィィンッ

「あぁぁぁっ…ぇっ…たいっ…」

「俺は何度も忠告した。具体的にもし約束を破ったらどうする、ってことまで伝えてやった。

っていうか分かってたよな言わなくたって。
それでもやらかして、挙げ句最悪の結果。膝の上で平手で100叩きなんて甘すぎるくらいじゃない?」

「そんなっ…そんなことなっ…」

バチィィンッ バチィィンッ

「いたいぃぃっ…はづ…あぁぁっ」

「あと84回。しっかり味わって懲りろ。」

「やぁっ… ……~~~~!」
 

 

 

そこからは、そこまで以上に地獄のようだった。
平手の威力は全く落ちることなく、ペースは緩急織り交ぜられ、
じっくり文字通り叩き込むようにゆっくり1発ずつ打ち込まれたかと思えば、
お尻全体余すことなく赤く染め上げてやらんばかりの連打の雨を降らされたり、

同じ場所を立て続けに打たれたり。
「反省しているのは分かっている」、からか、

葉月は残り84回以降説教らしい説教はせず、たまに残り回数のカウントを言ってくるだけ。
感じる痛みの割に減らないその回数に、実嵐は絶望で更に泣くことになった。
 

 

 

「あと5回。」

「ふぇっ…えぇっ…」

ようやくだ。もうお尻は何倍にも腫れているように感じられ、
当たり前だが数時間前に男たちに触られた感覚などとうの昔に忘れ去られた。

バチィィンッ バチィィンッ バチィィンッ バチィィィンッ

「あぁっ…ふぁっ…うぅぅぅぅっ」

あと1発。
早く終われ、そしていつもの葉月に…、実嵐は目を固く閉じ、それだけを心の中で必死に念じていた。
すると…

「っ…え…? つぅっ!」

ファサッと、平手ではない何かが実嵐のお尻に触れた。

実嵐が不思議な感覚に目を少し開くと、次の瞬間、刺されるようなチクッとした痛みを感じた。

もしや。まさかと脳裏をかすめた予想は、葉月の言葉で現実だということが証明される。

「…まぁ、こんな真っ赤じゃつけてもあんまり見えないよね。はい、これで100回。消毒おしまい。」

「なっ…なっ…なっ…」

あまりのことに言葉を失っている実嵐。その隙に、葉月は実嵐の手首を掴んで実嵐に尋ねた。

「掴まれた手は右?左?」

「み、右…やっ、ちょっと!」

すかさず葉月は実嵐の右手首を自分の口元に寄せると、強く吸い付いた。
ピリッとした痛みを感じ、見れば綺麗な形が浮き上がっている。

「こ、こんな見えるとこに…っ」

「どうせ1日、2日で消えるし、明日は俺といてくれるんでしょ?」

「それはっ…」

「手首も触れられてるから、それも消毒だよ。」

「うー…じゃあお尻もそれでよかったじゃん…どうせしたし…」

真っ赤に腫れ上がっているお尻を見て、恨めしそうな視線を葉月に向けると、

葉月はそれはダメ、と苦笑して即答した。

「…そんな顔して。

恨むなら、俺の心配を素直に聞かないで仁絵君丸め込んでまで反抗しようとした意地っ張りな誰かさんを恨みなさい。」

「それはっ…その…葉月…」

「んー?」

 

葉月のいつもと変わらない優しい声音と眼差しに、実嵐は心が凪いでいくのを感じる。

自然に素直な言葉が出ていた。

「ごめん…ごめんなさい…ムキになって、約束破って、心配かけて…」

「ん。あと、実嵐はもう少し自分の魅力を自覚すること。さっきも言ったけど無自覚すぎてたまにむかつく。」

 

葉月は実嵐の髪をやさしく撫でながら諭す。しかし、実嵐は少し困ったようにして答えた。

「ん…ごめん、それは…正直あんまりわかんない…かも…」

「はぁー…素直なんだから。」

「で、でもっ」

困り顔の葉月に慌てて実嵐は付け加えた。

「私は葉月の彼女だから。葉月の女だって自覚を持って行動するようにする…から。

その…他の男に触らせない…とか。」

「みらちゃん…それは嬉しいけど。その逆もちゃんと意識してくれるかなぁ?」

「逆?」

 

葉月の言葉の意味を掴みかねているのか、キョトンとする実嵐に、葉月はまた困ったように笑って説明する。

「俺はみらちゃんの彼氏ってこと。それなら、迎えに呼ぶのも当たり前って思えるでしょ。

彼女守るのは彼氏にとって当たり前なんだから。」

「うん…そう…だよね。わかった。」

実嵐は少し顔を赤くして頷くと、

ベッドにうつ伏せに寝転ぶ自分の横に腰掛けた葉月の膝に額を乗せ、呟くような声で言った。

「あの時すごく…怖かった。葉月が助けに来てくれたとき、ほんと嬉しかった。

葉月を呼ぼうとして、それで、目の前に葉月がいて…あぁ、やっぱり葉月が助けてくれたって。

今回はたまたま間一髪間に合った、それはわかってるけど、

でも、それでも、私を助けてくれるのは葉月なんだって…

私…葉月のこと大好きだよ。」

「みらちゃん……そういえば。1カ所、消毒し忘れたところがあった。」

「え?」

 

思わぬ言葉に実嵐が顔を上げると、目の前には大好きな恋人の顔が急接近していて。

「あの下衆野郎たちと会話したでしょ?」

「え…んっ」

その後の言葉は、音にならずに消えていった。
 

 

 

 

 

翌朝、実嵐は葉月が身支度をしている隙に

仁絵に「葉月にも意外と独占欲ってあるんだな」と驚き混じりに報告して、
仁絵を呆れさせたとか何とか。

(あいつは独占欲の塊だろ…)

仁絵の視線の先にあったのは、実嵐の右手首に残る綺麗なあの跡だった。
 

おはようございます晴れ

昨晩お知らせあげようと思ってたら寝落ちてました…すみませんあせる

 

「ツイキャス本放送(お久しぶりです)」(タイトルはもはやこのままです笑)
放送予定日時:1月19日 土曜日 22:00~(1時間予定)

主な放送内容:「最近アップした作品について」

          「マシュマロの質問コーナー」

           「白瀬の近況(時間があれば)」

URL : http://twitcasting.tv/tsubameshirase
閲覧パスワード:spa

 

「ツイキャス オタク放送」(タイトル思いつかなかった…)

放送予定日時:1月19日 土曜日 23:00~

主な放送内容:最近のオタ趣味について

         (最近聴いている音楽〔主にアニソン・キャラソン〕流しながら話します)

URL : http://twitcasting.tv/tsubameshirase
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本放送の方はバックナンバー残します。

オタ放送の方は、音楽流すこともあってバックナンバーは残しません。。

 

そして、質問は匿名メッセージサービス「マシュマロ」で受付中です音譜

個人情報に関わることを除いて(笑)

できる限り全てにお答えしようと思ってますので、

よろしければ下記からご質問くださいニコニコ

https://marshmallow-qa.com/tsubameshirase

 

マシュマロがうまく使えない場合は、ブログのコメントでも大丈夫です!!

(白瀬が承認しなければ公開されないのでご安心くださいー)

それでは、ご都合つく方、是非流し聴きしてやってください(笑)