皆さまお久しぶりです!!(←毎回言ってる)

 

後書き書こうと思ってたのにだいぶ遅くなってしまいました。。。

先走って少しXでお題箱で答えたりしちゃいましたが、改めて書きますねほんわか

 

さて、久々のつばめオンリーのメイン回でしたスター

つばめが目立つ回をあまり本数書けていないので、

惣一も夜須斗も登場控えめに笑、思いっきりつばめに目立ってもらいました音譜

 

今回のテーマは、「罪悪感」ですビックリマーク

いくら嫌っている先生でも、自分の悪戯をきっかけに怪我させてしまったら…というところで、

一番ダメージ受けそうなのはつばめだなぁと、そこからお話を膨らませていきました。

 

つばめは5人の中で一番素直というか、感情がシンプルなので、

金橋に対して、分かりやすく仕返ししようとしますし、分かりやすく罪悪感で落ち込みます笑

書いてて純粋に可愛いなぁと思ってましたうさぎのぬいぐるみ

自分から風丘に助けを求めに行ったり、金橋に指示棒渡したり、素直さゆえの行動ですね。

さすがに「お仕置きお願いします」は言わなかったけど笑

金橋に指示棒恐る恐る渡しながら精一杯に言う「…あんまり…いっぱいだと無理だけど…」が

私の今回の一番お気に入りセリフですラブラブ

自分で書いておいてなんですが、可愛くないですか!?

他の4人ならあんな展開にはならないでしょうね…

惣一はつばめと大きく分けると似たタイプですが、あんな素直には絶対いけないです←

 

そして、今回金橋がちょっと優しさを見せました。

なんだかんだ、ストーリー展開上嫌な面ばっかりクローズアップして書いてますが←

日常では、地田よりは金橋の方が妥協もしてくれるし優しさも分かりやすく見せると思っています。

かなり口うるさめ・お小言多めのお母さんって感じ笑

だからこそつばめも罪悪感を感じたし、何とか自分でああやって最後謝りに行けた…という結末です。

相手が地田ならいくらつばめでもああなっていないでしょう汗うさぎ

 

で、金橋が優しかった分、風丘がなんか想定より怖くなりましたアセアセ

今回、高校生になってからの定番パターン最後の仕上げ3回は出しませんでしたが、

まぁそんなこと言ってられないくらい指示棒がすごいということで(;^ω^)

指示棒、痛そうですよね…。もちろん経験はないですが、ケインに近いのかな?

金属製だし、ねぇ…。さらにあまり出さない四つん這いの姿勢で

スパシーンの怖さがマシマシになってしまいました汗

いや、なんかそんなつもりはなかったんですけど…←

まぁ、だからこそ金橋の優しさが見せられたというところで…。

 

ちなみに最後にちょこっと出した金橋に風丘たちが仕掛けた悪戯は、全然具体的には考えてないです笑ううさぎ

(というか、今回に限らず、悪戯をお話に書く時、悪戯のバリエーション、白瀬全く思いつかないんです…

今回、実は最初にそこで躓いて…← 皆さんにアイデア募集したいです笑)

が、つばめの悪戯なんて全く比にならないくらいえげつないものだったという漠然とした設定はあります笑

その記憶があるが故に、いくら自分が怪我したとはいえ

泣きそうになりながら自分に謝ってきたつばめが可愛く思えちゃった金橋という裏設定ですにやり

 

結構苦戦しましたが、読んでいただきありがとうございました音譜

 

さて、次回ですが、Xで少し話題に出しましたが、

久々に仁絵に風丘の地雷を踏んでいただこうかな、と←

最近仁絵、そんなに風丘怒らせてなかったのでね…。

ただ、2連続でただただ風丘が怖くなっちゃうのは何なので、

甘々シーンも少し書けたらな、と構想してますが、果たしていつ書きあがるやら…という感じです泣くうさぎ

いつもいつも予告からお待たせしてごめんなさい🙇

 

今年異動した今の職場が年明けから怒涛の繁忙期突入と聞いているので、

出来れば冬休み中に仕上げたい昇天

願望だけ置いておきます。。。

 

それではまた!!

※ハロウィン記念に書こうと思って珍しく前回の話から時系列を戻したわりに、

結果あまりハロウィン関係なくなりました…。すみません…。

 

 

 

 

 

10月も最終日、世間はハロウィンなんて言ってちょっとした盛り上がりを見せている時。

 

日が落ちるのもだいぶ早くなり、既に薄暗くなりつつある校舎で一人、つばめはその時を待っていた。

 

きっかけは、金橋にとっては些細なことだったろう。

でも、つばめにとっては一矢報いてやろうと思うには十分な出来事だった。

 

 

 

 

 

金橋の受け持つ古典の授業は、つばめにとって最大の鬼門だった。

 

あまりにも理解できない文章の羅列。

目で見るだけでも脳が強制シャットダウンを試みるような代物なのに、

そんなものを平坦な声で朗々と音読でもされたら、

まるでお経のようで、気が付いたらいつも夢の中なのだ。

 

その日の授業、一度目は指示棒で机を叩いて起こされた。

二度目は肩を軽く叩かれ、次はないわよ、と釘を刺された。

しかしそんな注意で抗える眠気なら苦労しない。

つばめの額が三度目に机についた時、

いつの間にか教壇を離れて真横に立っていた金橋についに「太刀川君!」と呼びつけられた。

 

「いつもいつもすぐに寝て…。今日なんて何度目だと思っているの。立ちなさい。」

 

「あぇ…。」

 

確かに、1回の授業で3回目は高校になってからの記録更新かもしれない。

いつもよりも怒っている金橋の声にヤバいと思った時には遅かった。

 

「そんなに眠いなら目を覚まさせてあげます。机に手をついて。」

 

「ちょっ…やだっ…」

 

高校に上がって、風丘以外の数少ない(というかほぼ地田と金橋だけだが)お尻を叩いてくる先生たちも、

授業中に、とかクラスまとめてお仕置き、なんてことはほとんどなくなっていた。

だからこそ、唐突の宣告につばめは狼狽えた。

 

「痛いお尻で座っていればそう眠りこけてもいられないでしょう。」

 

「やだ、恥ずかしいじゃんっ…」

 

「三度も居眠りを注意されることの方がよっぽど恥ずかしいわね。

もういいです、そのままで。」

 

「ちょっ、ちょっとっ…」

 

一向に手をつこうとしないつばめを呆れたように見ながら、金橋は問答無用で指示棒を振り上げた。

 

ビシィィンッ ビシィィィンッ ビシィィィィンッ

 

「いったぁぁぁぁぁっ」

 

ほぼ直立の姿勢ではあったが、容赦なく正確に同じ場所に連続で振り下ろされた指示棒につばめが悲鳴を上げて飛び上がる。

相変わらず最後列横並びの五人組なので、

前に座るクラスメイトたちに叩かれた姿は見られなかったものの、情けない声はばっちり聞かれている。

クラスメイトたちは気まずそうに下を向き、

教室前方に座る歩夢があー…と苦笑いしているのが視界の端に映る。

 

そして、見逃せないのがダッサ、と呟いた夜須斗と笑いをかみ殺している惣一。

 

「おい、そこの二人っ…」

 

つばめが突っかかろうとすると、すかさず金橋が太刀川君、と冷たく名前を呼んだ。

 

「これ以上私の授業を冒涜するなら放課後生徒指導室に来てもらうけれど?」

 

「っ…」

 

そんなことになれば、確実に風丘の耳にも入るし、

ズボンの上からの指示棒数発なんかじゃすまされない。

ぐぅっ…と唇を噛みしめて座ったつばめだったが、

 

「いったぁぁっ」

 

怒りに任せて勢いよく座り、

恐らく蚯蚓腫れとまではいかなくても多少は跡がついているであろうところを思いっきり刺激してしまったつばめは

悲鳴を上げて飛び上がってしまい、これに惣一が爆笑。

つられてクラスメイトたちも笑ってしまい、

つばめは一人羞恥に顔を真っ赤にしたのだった。

 

 

 

 

 

そんなことがつい一週間前。

 

あんな目に遭わせてくれた金橋に一泡吹かせてやろうと、

つばめは前々から温めてきた悪戯(というか嫌がらせ)を実行に移すことにした。

奇しくもハロウィンが迫る夜。悪戯をするにはぴったりの季節だ。

 

悪戯の内容、それは、金橋が職員室に一人でいる時に、職員室の電気を消す、それだけ。

単純かつ大したことのない悪戯だが、つばめにはこれを金橋に仕掛けてみたい理由があった。

 

 

 

それは、1か月ほど前、ひょんな時に廊下を歩いている金橋と水池の会話を聞いた時だった。

 

「だいぶ日が短くなってきましたねー」

 

「そうねぇ…嫌な季節ねぇ…」

 

「え? なんでですか?」

 

「日直で戸締りする時あっという間に真っ暗になるじゃない? 

私、夜の暗い校舎一人で見回るの苦手なのよね…。」

 

「へぇー、金橋先生怖いの苦手なんですね、意外です…。」

 

「怖いっていうか…暗いところがダメなのよ。

だから自然教室の肝試しも誰か他の先生と一緒かゴールにいるの…」

 

(ふーん、面白いこと聞いちゃった…)

 

隠れて最後まで聞いたつばめは、

金橋の弱点を知れた、と一人ほくそ笑み、いつか何かの時に使ってやろうと心に秘めていたのだ。

 

 

 

そして、ついに実行に移す時が来た。

 

惣一たちも誘おうと思ったが、

金橋が一人になるまで待つには下校時刻以降も隠れて残っていないといけないので、

複数人だと見つかってしまうリスクが高くなると思い、つばめは一人で実行することにした。

 

日直の先生の名前は職員室の壁に設置されている大きなスケジュールホワイトボードに書かれているから、こっそり立ち寄って盗み見るのは簡単だった。

決行の日はすぐに決まった。

 

 

 

 

 

そして当日。

 

つばめは一度門を出て下校し、自宅にカバンを置いて、制服を着替え、

夜闇に紛れられる真っ黒なスウェットとパーカーの出で立ちでスマホだけ持って学校に舞い戻った。

正門からではなく、裏門からこっそり入る。

完全下校ギリギリに戻ったので、まだ裏門は閉められていなかった。

 

そのまま、こっそり校舎に入り込み、職員室近くのトイレの個室で息をひそめる。

職員室近くと言っても、職員用トイレではなくあくまでも生徒用トイレ。

この時間に男子トイレの個室なんて誰も利用者はいない。

しかも、個室を出たところにある窓からは、職員用玄関の明かりが見えるので、誰かが残っていることは確認することができる。

やり過ごすには絶好の場所だった。

 

 

 

「ふぁー…そろそろかな。」

 

トイレの個室で音を消したスマホゲームで時間を潰すこと2時間弱。

時刻は8時近く。

 

個室を出て窓を見ると、まだ職員用玄関の電気はついている。

とはいえ、いくらブラック体質の教師たちだって、そろそろ帰る頃だろうと、つばめはそっとトイレを出て、パーカーを目深にかぶって職員室へ向かった。

 

 

 

(よしよし、1人っぽい…)

 

誰かに見つからないように、と細心の注意を払って職員室の扉に近付き、そっと覗くと、1人机に向かう金橋の姿があった。

金橋の席は広い職員室の中ほど。出入り口付近にある電気のスイッチからは距離があるおあつらえ向きの配置だ。

しかもパソコンではなく何やら書類チェックをしている。

チャンス。

状況は整った。

 

つばめは抜き足差し足で職員室に忍び込むと、そっとスマホのボイスレコーダーをオンにする。

そして腕全体を使って、一気に電気のスイッチを切った。

 

その瞬間。

 

「きゃぁぁぁぁぁぁぁっ だ、誰っ 電気消したのっ 早く点けなさいっ」

 

金橋の想像以上の悲鳴に、つばめは少し驚いたものの、笑いをこらえて職員室を出たところでしばらく様子をうかがう。

 

ガシャンッ ガッシャァァンッ ドタァンッ

 

「いやぁぁぁっ!!! いったぁっ」

 

いきなりの暗闇で何も見えていないだろう中、必死にスイッチの方に向かおうとしたのか、いろいろな物にぶつかっている音が聞こえる。転んだような音もした。

 

(ちょっと大げさじゃない? ふふっ、でも良い気味っ さ、見つからないうちにかーえろっと)

 

金橋の慌てふためく声が聴けてスッキリしたつばめは、スマホの録音停止ボタンを押すと、晴れやかな顔で学校を後にした。

この録音データは、ほとぼりが冷めた頃にでも流してからかってやろう、そんな風に思いながら。

 

 

 

 

 

これにて、つばめの金橋に対するちょっとした逆襲は大満足な結果で終了する…はずだったのだが。

 

事態が一変したのは、週明け。

古典の授業に現れた金橋の姿を見た時だった。

 

「わ、先生お怪我ですか?」

 

「え…」

 

心配そうな和歌葉の声が耳に飛び込んできて何の気なしに顔を上げると、

目に映ったのは杖をついて足を引きずるように歩く金橋の姿だった。

その瞬間、つばめの心にぶわっともやもやした感情が沸き上がる。

 

「ちょっと転んで捻挫しただけよ、そそっかしくて情けないわ。」

 

「そんな…痛そうですね…お大事になさってくださいね。」

 

「ありがとう。

痣も出来ちゃって、みっともないから誤魔化すのに黒いストッキング引っ張り出してきたわ。」

 

(うそでしょ…。)

 

もちろん金橋はそんなことを和歌葉に言ってはいないが、どう考えたってこの前の夜の出来事のせいに違いなかった。

 

 

 

それから授業が始まっても、今日は眠気が全然襲ってこない。むしろ覚醒しきっている。

だが、では授業の内容が少しでも頭に入ってきているかといえば全くもってそうではなく、

つばめの頭の中は真っ白だった。

 

別に怪我させたかったわけじゃない。ちょっと脅かして慌てる様子を見たかっただけ。

でも、現に金橋は怪我してしまっているし、しかも結構本気で痛そうだ。

いつも無駄に机間巡視してくるくせに、今日は教壇からほとんど動かない。

板書のために黒板に近付く動きすらゆっくりだ。

 

(どうしよう…。)

 

板書をする金橋の背中を見て、足を見て。

どうしよう、どうしようと思いながら見つめていると、不意に振り返った金橋と目が合いそうになり、慌てて下を向いた。

いっそのこといつものようにとっとと眠って早くこの居たたまれない時間をやり過ごしてしまいたかったのに、今日は一向に欠伸の一つも出やしない。

時折聞こえる杖をつく音が耳について仕方がなかった。

 

 

 

そうして、結局一睡もしなかったものの、別の理由でやっぱり授業の内容は1㎜も頭に入ってこなかったつばめは、

早く痛々しい姿の金橋を視界から消し去りたくて教室を飛び出した…が、その時。

 

「太刀川君、ちょっと待って。」

 

「っ…」

 

まさか呼び止められるなんて予想外で、廊下に出たところで反射的に足を止めてしまった。

背後から、杖をつく音が聞こえてきて、無意識に肩が強張る。

 

「な、何、今日俺寝てなかったじゃんっ」

 

「分かってるわよ。そうじゃなくて…」

 

つばめは背を向けたままだったが、金橋はわざわざ回り込んで、顔を覗き込んできた。

そして、徐に問いかける。

 

「だからってわけじゃないけど、あなた、どこか体調悪いの?」

 

「えっ…」

 

問われてつばめが返答に困り固まっている中、

金橋はふぅ、と息をついて、杖を持っていない方の手を腰に当てて続ける。

 

「顔色悪いし、珍しく私のこと見てると思ったらなんか泣きそうな顔だったように思ったから。」

 

「っ…」

 

バッチリ見られていた。

しかし、こんな時に気遣いとか教師らしい一面なんて見せないでほしい。

罪悪感がさらに強くなる。

心のもやもやは更に濃く黒くなったように感じられ、つばめにのしかかってくる。

 

「きっ…気のせいでしょっ 何いきなり、柄にもなくキモイんですけどっ!?」

 

心の靄を振り払うように、慌てて飛び退いて手を振り回して叫ぶと、

金橋はハァッとため息をついた。

 

「強がりもいいけど口の利き方に気をつけなさい。いつもだったら生徒指導室行きよ。

具合が悪いならとっとと保健室に行くか風丘先生に言って少しでも早く帰ること。いいわね。」

 

少しいつもの冷たい口調に戻ったものの、やはり少し気づかわし気な調子でそう言うと、金橋は杖をつきながら廊下を歩いて行った。

 

その背中を少しの間見ていたつばめだったが、その後ふらふらとした足取りで教室に戻ると、席についてうーっと唸りながら突っ伏した。

 

「な、なんだよつばめどうした!?」

 

「なんで…なんで僕がこんな…」

 

なんで、どうして、とうわごとのように呟くつばめに、

惣一はお前変なもん食べた…?と明後日の方向に心配してくれているが、つばめの耳には全く入ってこない。

夜須斗と仁絵の怪訝な視線も、洲矢の優しい声かけも全スルーして、つばめは完全に心ここにあらずだった。

 

 

 

 

 

昼休み、午後の授業、そして今は放課後。

 

数時間考え抜いて、つばめの足は風丘の部屋に向かっていた。

まさか自分からあの部屋に足を向ける日が来るなんて思いもしなかった。

 

胸のモヤモヤをどうにかしたい。

しかし、この問題を自分一人で抱え込んで消化できる術をつばめは持ち合わせていない。

結局思いついた人は一人しかいなくて、ホームルーム終わりにこっそり話しかけようと思っていたのに、

そんな時に限って風丘は何かの対応中だかで副担任がやってきた。つくづくついてない。

 

 

 

「はぁ…もう…。」

 

コンコンッ

 

意を決して風丘の部屋にたどり着き、ドアをノックする。

しかし、部屋の主の反応はなかった。

相当の覚悟でやってきたのに、それすらも報われないらしい。

 

もうヤダ…、と半泣きでつばめが逆方向の職員室に向かっていた時だった。

 

「…それにしても、結構酷い捻挫じゃないですか? 杖つかないといけないなんて…。」

 

「もう私も歳だから。ちょっとしたことでダメなのよ。」

 

風丘と金橋が並んで歩いているところだった。

つばめは思わず隠れてしまった。

一瞬見えた風丘の両手の大荷物を見るに、金橋の代わりに何かを運んでいる様子だ。

話題は、やはり金橋の怪我のことらしい。

金橋が横にいなければ呼び止めたかったが、生憎本人を前に告白する心の準備はできていない。

 

「ちょっとしたことって…何したんですか。」

 

風丘の問いに、つばめは思わず息を呑む。

金橋があの日の夜のことを風丘に話したと知ってしまったら、次に風丘に会った時に平常心でいられる自信がない。

風丘のことだから何もないところから疑うことはなくても、こちらが少しでも挙動不審になれば感付かれてしまう。

 

ここは逃げよう、つばめが踵を返そうとした時だった。

 

「家の階段踏み外したの。」

 

(えっ…?)

 

「古い家だから段が高くてね。もう大変。」

 

「気を付けてくださいよ…。」

 

何故金橋が本当の理由を言わなかったのかは分からない。

あの時、金橋は「電気を消したのは誰」と叫んでいた。

そりゃそうだ、自分が消していないし、照明以外のプリンターやコピー機の電源の光は薄っすら見えたはずだ。

第三者が消したのだということは容易に想像がつく。

だからこそ、つばめも特定されないように黒ずくめの格好で行ったのだ。

 

生徒がやったと感付いていたようなのになんで風丘に誤魔化す?

もうダメだ、何もわからない。この胸のモヤモヤを晴らす方法も、金橋の挙動も。

 

二人が行ってしまった後、つばめはトボトボと風丘の部屋まで戻ると、扉の前に座り込んで項垂れた。

あの日の夜、晴れやかだったはずの気分は今や見る影もなく、どん底だった。

 

 

 

 

 

何分経ったか。

 

ため息を繰り返し、これで今度は風丘が今日はもう部屋に来なかったらどうしよう…なんて思い詰めていた時だった。

 

「…え? つばめくん?」

 

名前を呼ばれて、つばめはハッと俯いていた顔を上げた。

目の前にいるのは、藁をもすがる気持ちでつばめが待っていた人物。

 

「かざおか…」

 

「ちょっとどうしたの… こんなところで待ってたの? 

金橋先生からちょっと聞いたよ、なんか具合悪そうだったって…」

 

「あ…ちが…」

 

つばめが否定しようとするも、

普段からしたらあり得ないつばめの行動に風丘も少し動揺したのか、まくし立てるように話してくる。

 

「やっぱり具合悪いなら保健室に…あ、心配しなくても今日は光矢じゃなくて雨澤先生…」

 

「違うの!!!」

 

「あ…え?」

 

つばめの必死の叫びに風丘が一瞬呆気にとられ、部屋の前の廊下にようやく静寂が訪れる。

 

「か、体の具合は…悪くなくって…あの…」

 

とはいえ、つばめもつばめで何をどう話していいか整理はできておらず、もごもごとしていると、

その様子から風丘は瞬時に何かを読み取ったのか、分かったよ、とつばめの肩に手を置いた。

 

「中入ろっか。」

 

風丘に促され、つばめは恐る恐る部屋に足を踏み入れた。

 

 

 

ソファに座り、俯いたままのつばめの様子をうかがうような風丘は、まだ一言も発さない。

お陰で、座ってすぐにはどうしよう、どう言おう、とぐるぐるしていたつばめの頭の中も、幾分クリアにはなってきていた。

拳をぎゅっと握り、最初の一言を絞り出す。

 

「金橋が…怪我、してて…」

 

「うん?」

 

風丘にとっては想定外の一言目だったのだろう。

全くピンと来ていないことが伝わってくる相槌だが、つばめはそんなこと構っていられない。

言葉を発した勢いそのままに、話を続ける。

 

「あれ…僕のせいだから…それで、なんか、モヤモヤしてぇ…」

 

「…ちょっと待って。金橋先生は家で階段踏み外したって言ってたよ?」

 

「知らないけど、たぶん違う…僕が電気消したせい…」

 

「電気って…あぁ、なるほど。」

 

それを聞いて、風丘は何か合点がいったのか、ふぅ、と息をつくと、

次に口を開いた時には少し怖い声になって、ちょっとそこで待ってなさい、とだけ告げて部屋を出て行ってしまった。

 

 

 

風丘に置いて行かれて、つばめは自分の心臓が早鐘のように鳴っているのをようやく自覚した。

これは、相当ヤバい状況なのでは? 今すぐ逃げるべきなのでは? 

そう思うものの、風丘の「待ってなさい」の言葉に縫い付けられたように体が動かない。

やっぱり間違えたかな…、と選択を悔やんだところでもうどうにもできない。

つばめは膝を抱えてソファの上でまた項垂れるしかなかった。

 

 

 

ガチャッ

 

時間にして10分ほどで、風丘は帰ってきた。

 

ドアが開く音がしてつばめは顔を上げたが、すぐに後悔してまた俯いた。

一瞬見てしまった風丘の顔はどう見ても怒っていたし、

尚且つ、その手にとんでもないものが握られているのを見てしまったからだ。

 

「太刀川。」

 

ビクッ

 

もう、少しどころじゃなく思いっきり低い怖い声で名前を呼ばれ、つばめは肩を震わせた。

どうしよう、もう逃げたい。

顔を上げて目を合わせる勇気がなくて、つばめが視線を彷徨わせて無意識にドアの方を見やると、

太刀川、と再度呼ばれてペシッと肩を叩かれた。…風丘の手にある指示棒で。

 

「ひっ…」

 

また顔を下に向けると、怖い風丘の声が上から降ってくる。

 

「何現実逃避してるの。こっち向きなさい。」

 

そう言われ、指示棒の先でそっと顎を上げさせられる。

乱暴ではないが、雰囲気が怖すぎる。ものすごく怖い。

もう許してほしい。…何も始まっていないのだが。

 

「金橋先生に聞いてきた。

本当は、1人で夜の職員室にいたら、いきなり電気を消されて真っ暗になって

慌ててスイッチの方に行こうとして転んで足をひねったって。」

 

「っ…」

 

「電気を消す悪戯をしたのが太刀川ってこと?」

 

「…ぅ…」

 

ゆっくりこくりと首を縦に振ったが、それでは許されず、

甘えてないでちゃんと口でお返事、と叱られてしまった。

 

「…はい…」

 

「わざわざ夜の学校忍び込んでそんな悪戯したってことは…

金橋先生が暗いところ苦手ってどっかで知ってて仕掛けたね?」

 

「…でも、怪我させるつもりはっ…」

 

「当たり前でしょう。そんなつもりだったら犯罪だよ。」

 

「ぅっ…」

 

一言で切り捨てられ、つばめは息を呑む。

 

風丘のまとう空気が怖い。

もう胸のモヤモヤなんて吹っ飛んでしまった。

一刻も早くこの空気から解放されたい。

既に目が潤んできて、視界がうっすらぼやけ始めた時、顎先にあった指示棒が外された。

 

「そんなつもりがなかったとしても、結果として金橋先生は怪我したんだよ。

太刀川はちょっとからかってやろうと思っただけかもしれないけど。」

 

「っ…はい…。」

 

「転んで頭打ったり、もっと大きい怪我してたかもしれない。

そうやって大事になっちゃったら、そんなつもりありませんでした、じゃすまされないよ。」

 

「…ごめんなさい…」

 

「金橋先生が暗いところ苦手って知ってたならよけいダメ。

人が苦手な物利用して嫌な思いさせて怪我までさせたんだよ。」

 

「…ふぇっ…」

 

元々罪悪感を抱いていたところに、風丘の冷たい淡々としたお説教は相当効いたのか、

つばめは早々にごめんなさい、と言って泣き始めた。

 

そんなつばめを見て、風丘はフゥッと息をつく。

 

「太刀川が後悔して反省してるのは伝わってる。

でも一度しちゃったことは取り返しがつかないこともあるって

今回は身に染みてもらわないといけないから、厳しくするよ。」

 

「ふぇっ…それやだぁっ」

 

風丘が手に持った指示棒を掌に打ち付けたパシッという音を聞いて、つばめは顔をゆがめた。

そんなつばめを尻目に、風丘はソファの前に置かれていたローテーブルをヒョイと持ち上げて遠くに運ぶ。

 

「甘えてもダメ。履いてるもの下して、お尻出して、ここに四つん這い。」

 

「ぇっ…? む、無理そんなのっ」

 

風丘が指示棒で指し示してきたのは、ソファの前に敷かれたラグ。

ローテーブルがどかされたため、何も乗っていないラグは2畳分ほどで、

お仕置きには十分すぎるスペースになってしまった。

しかし、そんな滅多にしない恥ずかしい体勢で、むき出しのお尻をあの指示棒で叩かれるなんて想像しただけで鳥肌が立つ。

 

「無理…別の体勢なら受けるからぁっ…」

 

「別の体勢でしてもいいけど…四つん這いでお仕置き受けられるようになるまで。」

 

「ふぇぇぇ…」

 

「泣いてもダメ。」

 

「だってぇっ…怖いぃっ…」

 

「太刀川だって人が怖がることしたでしょう。」

 

「うぅぅぅ~~~っ」

 

そんなの屁理屈だ、それとこれとは全然違う。

とはいえ、もう目の前の風丘が怖すぎて反論の言葉も出てこない。

 

「ごめんなさいぃっ もうしないからぁっ」

 

「ごめんなさいは伝わってるよ。

でも今日はダメだよ、これでお仕置きするって決めてるから。」

 

「うくっ…ふぇっ…ふぇぇぇ…」

 

既にボロボロ涙を零すつばめに、

風丘は髪をかき上げてやれやれと息をつき、指示棒で軽くお尻を叩く。

 

「やめてぇっ…」

 

「太刀川。したことの責任はちゃんと取りなさい。

悪戯するなとは言わないけど、それができないなら最初からもっと考えて悪戯しなさい。」

 

「ふぇぇぇ…」

 

こんな責任の取り方嫌だと思っても、選択の余地なんて最初から残されていないことはつばめも分かってはいた。

この状況で、ごめんなさいまで言って、反省している姿を見せて、それでも風丘がこうまで言い切っている以上、

もうどんなに粘ったところでこのお仕置きは撤回されないことも分かっていた。

 

つばめはようやく諦めて、ラグに膝をついた。

震える手でズボンと下着を膝のあたりまで下ろし、体を倒して両肘を前につく。

 

「5回打つよ。」

 

良かった、思ったより少ない。

風丘の回数の宣言を聞いて、一瞬つばめがホッとしたところ、

風丘はすぐにつばめを突き落としてきた。

 

「体勢崩したら最初からね。」

 

「え゛っ…」

 

四つん這いなんてほとんど経験がないが、

壁に手をつく以上に自分の意志で手も足も踏ん張らなければならないから、

打たれた衝撃に耐えて体勢を維持するのはきっと相当辛いだろう。

想像しただけでも気が遠くなったつばめが絶望の声を上げたが、

風丘は聞いたか聞こえないか、気にも留めずに容赦なく1発目を振り下ろしてきた。

 

ビシィィィンッ

 

「あぁぁぁぁぁっ」

 

「…今のはなしね。」

 

痛い。痛すぎる。

打たれた瞬間お尻を押さえて蹲ってしまったつばめに、風丘はそう声をかけた。

 

「無理、無理、こんなの無理ぃっ…」

 

「太刀川。姿勢。」

 

「むりだってばぁぁ…」

 

「無理じゃないよ。まだ甘えるのは早い。」

 

甘えたいなら最後まで頑張りなさい、なんて鬼のような言葉で叱咤され、つばめは泣いた。

もう既に今までのつばめからしたら考えられないくらい頑張っているのに、更に求められるのか。

鬼だ、悪魔だ。なんでこんな冷血漢に助けを求めてしまったんだ。

つばめは泣きを通り越して怒りのような感情すら覚えながら、

何とか四つん這いに戻って、次は意地で3発まで耐えたものの…。

 

ビシィィィィンッ

 

「いたぁぁぁぁぃっ」

 

「…こら、その手は何? もう1回やり直し。」

 

お尻の下の方を叩かれて、思わず手を出してしまった。

サァッと青褪めるももう遅い。

本来ならもう終わっているはずの5回目だったのに、またカウントは戻ってしまった。

 

「やだ、やだやだっ 風丘ぁっ…」

 

「もう庇っちゃったんだからダメ。最初からやるよ。姿勢戻しなさい。」

 

「ふぇぇぇぇぇっ」

 

泣きながらどうにかこうにか元の姿勢に戻ったつばめのお尻には綺麗に赤い蚯蚓腫れが5本出来ていて、

意気消沈して泣きじゃくる顔と合わせてだいぶ痛々しい。

しかし、今回は風丘としてもそう簡単にもういいよ、とは言ってあげられない。

ちゃんとけじめをつけさせないと、つばめにとっても良くない。

 

とはいえ、お仕置き前からだいぶ心をすり減らしてもう限界も近そうなつばめに、

いつまでも最初から最初からとお仕置きするのは無理そうだ。

そう判断した風丘は、ペチンッとお尻の上の方を軽く指示棒ではたいた。

 

「次、ここ打つよ。」

 

「えっ…」

 

「我慢ね。」

 

ビシィィンッ

 

「あぁぁぁんっ」

 

予告と寸分違わぬ箇所に打ち込み、つばめは泣きじゃくりながらも耐えた。

 

「次。ここ。」

 

次は、お尻の右側真ん中あたり、蚯蚓腫れの間を縫ったところ。

 

どこを打たれるか事前に分かれば、多少は心の準備ができるだろうという配慮とも言えない配慮だが、

つばめのもう何が何でも終わらせたいという気持ちも相まって、これでようやく最後の一発までたどり着いたのだった。

 

 

 

「…最後。ここ行くよ。」

 

「ひっ…」

 

それは、先ほど耐えられずに擦ってしまったお尻と足の境目のところ。

 

「そ、そこもう打ったっ…」

 

「同じところ打たないなんて言ってないでしょ。」

 

実際は先ほどの打擲で出来た蚯蚓腫れとは少しずらすつもりだったが、

少し意地悪くそう言ってやるとつばめは打ちひしがれたように泣き声を上げ、

さすがに冷たくし過ぎたと風丘は少し動揺してフォローのつもりの一言を添える。

 

「動かなければ大丈夫だから、最後大人しく受けなさい。」

 

「ひっ…ふぇぇぇぇんっ」

 

…逆効果だった。風丘は内心頭を抱えつつ、最後の一発を慎重に振り下ろした。

 

ピシィィィィンッ

 

「やぁぁぁぁぁっ」

 

(動かないで、止まって!)

 

大泣きのつばめに、風丘が心の中で念じた。

 

いくら今回は早々決めたことを曲げられないとはいえ、

また一からは風丘にとっても、何よりつばめにとってはかなりきつい。

大分お尻の蚯蚓腫れも増えているし、何より精神的に限界だろう。

 

果たして風丘の祈りが通じたのか、

つばめはぷるぷる震えながらなんとか四つん這いを維持したまま止まった。

 

その様子を見届けて、風丘はホッと息をつく。

 

「おしまい。よく頑張りました。」

 

「ふぇっ…」

 

その瞬間、つばめの緊張の糸は完全に切れたのか、更にぶわっと涙をあふれさせた。

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁんっ あぁぁぁぁぁぁんっ」

 

「…よしよし。痛かったね、ちゃんとお仕置き受けれたね~」

 

「いたい、いたい、いたいいたいいたいぃぃぃぃっ」

 

一瞬怖がられるかと躊躇した風丘だったが、あまりに号泣するつばめが流石に心配になり、

思わず頭に手を伸ばして撫でると、抵抗はされなかった。

厳しくしておいてなんだが、拒否されなかったことに安堵する。

 

「お尻、血出てるぅっ…」

 

「出てないよ。蚯蚓腫れは結構すごいけど…」

 

「もうやだぁっ…風丘こわいし、こわいし、こわいしぃぃっ」

 

「いや何回言うの…まぁ…ちょっと怖くした自覚はあるけど。」

 

「うわぁぁぁぁぁんっ」

 

「あぁー、でももう怖くないでしょ? そんなに泣かないで~」

 

仁絵も最近ここまではない、くらいの大泣きで、風丘は慌ててつばめを抱き上げて背中を撫でてあやす。

つばめがまだ小柄でよかった…と普段のつばめが聞いたら激怒しそうな風丘の呟きは、

未だ号泣するつばめの耳には届いていないようだった。

 

 

 

 

 

「もうぜったいしないっ…」

 

「うん。ちゃんと反省してたのは伝わってたよ。良い子良い子。」

 

ようやく泣き止んだつばめ。

 

しかし、風丘が自分で来れて偉かったね、とか良い子だね、とかあやしても

涙はもう零れないものの、つばめの顔は暗いままだ。

 

「かざおかぁっ…」

 

「んー?」

 

目の前の風丘はもう全く怒っていなそうだ。

しかし、こんな痛いお仕置きを何とか受けきったのに、

つばめの心の中にはいつの間にかまた靄がかかってきてしまいスッキリしない。

 

「なんでっ…なんでぇっ…」

 

「え…あぁ…。」

 

当の本人が混乱している中、どうしてか汲み取れた風丘は、フッと笑って言う。

 

「じゃあつばめくん。俺からのお仕置きは終わったから、1つ頼まれごと聞いてくれる?」

 

「え…」

 

「この指示棒、金橋先生に返してきて。この時間国語準備室にいるって言ってたから。」

 

「や、やだなんでっ」

 

目の前に突き出された凶器につばめが反射的に身を捩り、

あまりの嫌がりように風丘は吹き出しながらも無理矢理その手に指示棒を握らせる。

 

「ついでに金橋先生にもごめんなさいしてきなさい。まだ言えてないでしょう?」

 

「で、でもっ…」

 

そんなこと言ったら…と、つばめが無意識にお尻の方に空いている手を回すと、風丘は微笑んだ。

 

「大丈夫だから。それは俺が保証してあげる。」

 

 

 

 

 

「うぅ…」

 

しばらくソファで愚図っていたが、いい加減にしないと…と腕を掴まれそうになって、慌てて部屋を飛び出してきた。

 

が、一歩一歩歩く度にお尻がズキズキ痛む。

そういえば、甘やかしてはくれたけどお尻冷やしてくれなかったじゃん…と風丘に対する恨み節を呟きながら、ようやく国語準備室にたどり着いた。

 

コンッコンッ

 

「はい。どうぞ。」

 

「し、失礼します…。」

 

遠慮がちなノックだったが、ばっちり聞き取られてしまい金橋の声に招かれた。

 

「…いらっしゃい。何か用かしら?」

 

金橋は、部屋の奥にある長机に向かって座っていた。

 

普段絶対に自分から来ることのないつばめが現れても全く驚かない金橋に、風丘から粗方話は聞いているであろうことは想像がついた。

しかし、自分から話して謝らなければ意味がない。

近付いて机の下からのぞく金橋の足をまじまじと見ると、湿布を張っているからか、少し足首が膨らんで見える。

つばめはくしゃっと顔をゆがめ、目をぎゅっとつぶるとその場で勢いよく頭を下げた。

 

「ごめんなさい!!!」

 

金橋の顔は見えないし、何も返事がない。

しかし、もう勢いで言うしかない、とつばめはそのまま自分の罪を告白した。

 

「金橋…先生が、暗いところ苦手だって前にたまたま聞いて、

それで、この前古典の授業で皆の前で指示棒で叩かれたのがムカついて、

それでっ…先生が夜一人になった時狙って、電気消すって悪戯しようって…

ちょっと先生が驚いたところ見られればいいやって、それだけでっ」

 

「……」

 

「こんな…こんな怪我させちゃうつもりなくってっ…

でもつもりがなくても、先生怪我しちゃったからっ…ごめんっ…ごめんなさいっ…」

 

「……」

 

告白を終えたつばめが沈黙に耐えられず恐る恐る下げていた頭を上げると、

金橋の表情は眉間に皺の寄った何とも言えないもので、

つばめは少し逡巡しながらも、手に握った指示棒を前に突き出す。

 

「あら…何?」

 

怪訝そうな表情のままの金橋に問われ、つばめはおずおずと口を開く。

 

「…あんまり…いっぱいだと無理だけど…」

 

「まぁ…」

 

つばめが言わんとしていることに、金橋は目を丸くして呆気に取られている。

しかし、必死なつばめは気付いていないようだ。

金橋は突き出された指示棒を受け取って伸ばし、ペシンッと自分の掌を打った。

すると、それだけでつばめの瞳が揺れるのが見えて、金橋は困って少し笑みを漏らした。

 

「じゃあ…後ろを向いて、お尻を出しなさい。」

 

「っ…」

 

つばめは唇を噛んでゆっくりと後ろを向き、もぞもぞと制服のズボンと下着を下す。

 

(あらやだ…)

 

金橋は次の瞬間、フッと息をついて立ち上がると、

こっちにいらっしゃい、とつばめの手を引いて二人掛けくらいの小さめのソファに連れて行った。

 

「ここにうつ伏せ。」

 

「え…」

 

「早くなさい。」

 

つばめが想定外の姿勢の指示に困惑してもたもたしているので、いつもの調子で少し厳しく言ってやると慌ててソファに上がっている。

いつもとは考えられない素直な様子に笑いそうになりながら、

金橋はちょっと待っていなさいと部屋の奥にある簡易的な給湯室に消える。

 

少しして、つばめの耳には、なぜかジャーと水を流す音が聞こえてきた。

指示棒で叩かれるつもりだったのに、何をされるんだろう…と、つばめがびくびくしながら待っていると、

金橋が近づいてきた気配がして…

 

「ひっ…つめたっ…え…」

 

お尻にひんやりと冷たい何かを感じた。

振り返ると、お尻に濡れタオルがのっている。

先ほどの水を流す音は、金橋がタオルを濡らしている音だったのだ。

 

「な、なんで…」

 

「そんな真っ赤な目で、こんなパンパンに腫れたお尻で謝りに来た子を更にお仕置きするなんて、

いくら生徒指導担当の鬼教師でもできません。」

 

「えっ…で、でもっ…」

 

「ちゃんとごめんなさいしてくれたし、お仕置きは十分足りてるでしょう?」

 

「ふぇっ…」

 

「それから言っておくけど、貴方が反省すべきことは夜の学校に忍び込んで、くだらない悪戯を仕掛けたこと。

私の怪我は、私がそそっかしくて勝手に怪我しただけだから、それで罪悪感を感じてそんなにしょげ返ってるならそれはもうやめなさい。」

 

「でも俺の悪戯のせいで…」

 

「もういいから。あんまり何度も言わせない。」

 

「は、はい…」

 

殊勝なつばめの態度に、金橋は物珍しそうにして笑う。

 

「まぁでも、まさか太刀川君が自分から謝りに来てしかもお仕置きまで受ける覚悟を決めたところが見られるなんてびっくりだわ。

明日季節外れの雪が降らないといいけど。」

 

「う、うるさぃぃっ…だまれぇぇっ…」

 

揶揄われて、流石に恥ずかしくなってきたつばめが反論すると、

あら、と金橋が更に茶化すように畳みかけてくる。

 

「そんなに反抗する元気があるならやっぱり遠慮なくお仕置きさせてもらおうかしら?」

 

「ひぃぃぃぃっ!! や、やだやだむりむりっごめんなさいっっ」

 

お尻にのせられたタオルを捲られ、蚯蚓腫れを指示棒でなぞるように撫でられて、

つばめが悲鳴を上げて必死に謝ると、金橋が珍しく噴き出した。

 

「フフッ、やだね、冗談よ。あー、面白い。これでノーサイドにしてあげる。」

 

「っ…ごめんなさい…」

 

「はい、よく言えました。今回は特別に反省文もなしにしてあげます。」

 

珍しく優しい金橋に、つばめは素直にありがとうございます…と呟いて、

そこで意識を手放した。

 

 

 

小一時間眠った後、金橋に起こされ風丘に門の外まで見送られた時には、気付けば胸のモヤモヤは完全に晴れていた。

 

わざわざ金橋まで風丘について来ていたことにはもう言及するのはやめて、つばめは痛むお尻を擦りながらスマホの録音データを消しつつ、家路についたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういえば、なんで家の階段踏み外したなんて誤魔化したんですか。」

 

「…どこの誰のせいで私が暗いところ更に苦手になったか覚えてるかしら。」

 

「あ…えっとー…」

 

「貴方に正直に言うのは癪に障ったのよ。」

 

「その節は…」

 

「まったく…。私もあれくらい、厳しくして泣かせておくべきだったわ。」

 

「いや、十分厳しかったかと…。」

 

「あら、口ごたえ?」

 

「いえ、何でもないです…。」

お久しぶりですうさぎのぬいぐるみ

 

素敵なお題を見つけたので滑り込みですが久々に答えてみました!!

画像に埋め込む技術がなかったので、

テキスト化しました…←
長いですが、よろしければお付き合いください_(._.)_

Q1. お名前を教えてください。

⇒白瀬(しらせ)つばめ です

 

Q2. そのお名前の由来は?
⇒全然覚えてないんですよね…←

 決めたの小学生の時で…。

 響きな気がします。「しらせ」とか、涼やかな感じで今でも割と好きです笑

 本名にはまっったく関係ないです。

 

Q3. 主にどんなスパ創作をしていますか?(イラスト、マンガ、小説など)

⇒小説オンリーです。オリジナルも二次創作も書きます。

 

Q4. 好きな組み合わせは? (M/F、F/f、F/m、M/Mなど)

⇒一番はM/m or M/M、次点でM/F かなぁ…

 

Q5. 作品はどこかで公開していますか? (Pixiv, X、 Fanbox、同人誌など)

⇒アメブロです。読んでいただく方の見やすさや管理の面で

 pixivに移行した方がいいなー、と思いつつなかなか重い腰が上がらず…。

 

Q6. スパンキングを好きになったきっかけは?

⇒これも定番の質問なのに、全然覚えてないんですよね…。

 でも最近、たぶん幼稚園の頃に、ピーターラビットのアニメでピーターとベンジャミンが

 ベンジャミンのお父さんにスパされるシーンをを見てドキドキしたのが

 最初な気がしています。まさかの最初のスパの記憶ウサギ…笑

 

Q7. 初めて見たスパ作品、覚えてる?

⇒というわけでピーターラビットです笑

 あとはセーラームーンかなぁ…。

 

Q8. 影響を受けたスパ作品はありますか?

⇒創作物として最初に読んだ記憶があるのは

 当時メディスパ様に掲載されてたディライラ様のテニプリの二次創作スパ小説です。

 テニプリ好きだったのですごい繰り返し読んだのを覚えてます。

 そこから自分でも書いてみようと思ったので、そういう意味で影響を受けましたね。

 

Q9. スパ創作を始めたきっかけは?

⇒メディスパ様で「スパ小説」に出会い、書いてみよう、と何となく思って試しに書いて、

 子どもの勢いでアップしたら反応をもらえて嬉しくて、続けている、という感じです。

 子どもながらに二次創作はハードルが高いと思ったのか笑、

 好き勝手に妄想を詰め込んだメガネ教師が出来上がりました。

 

Q10. 初めてのスパ創作はどんな作品でしたか?

⇒というわけで初めてが『メガネ教師』シリーズです。

 

Q11. 自分の作品の中でお気に入りの作品は?

⇒8割方メガネ教師なので…笑

 メガネ教師の中でも、仁絵の初スパは思い出深いです。

 あと、『メガネ教師たちの受験生時代』シリーズは、

 膝の上で勉強スパや、森都/葉月が書けたりとか、

 結構念願のシチュが書けて個人的にお気に入りですにっこり

 

Q12. その作品のどこが特に気に入ってる?

⇒上記のとおりです笑s

 葉月が同年代でキーになれるのは森都カーしかいない!と思ってたので、

 ここで出せて良かったです音譜

 

Q13. 自分の作品の中でお気に入りのキャラクターは?

⇒カーは風丘、キーは仁絵、あと地味に須王…笑

 

Q14. スパ創作において、好みのカーのタイプは?
⇒飄々としてて普段は緩いけど、意外に譲れない芯はあって、

 スパはわりとがっつりする…えぇ、風丘です笑

 

Q15. 同じく、好みのキーのタイプは?
⇒書いてて楽しいのはやっぱり反抗的な子…

 クールキャラや口悪い子が、陥落して最終的に泣いちゃうのが

 好きです。…えぇ、仁絵です笑 あとは夜須斗もかな。

 ただ夜須斗はクール度が仁絵より高くてちょっと書くの難しいです。

 

Q16. どういうスパが好き?
(ディシスパ、ラブスパ、SMなど)

⇒ディシスパ一択ビックリマーク
 

Q17. 一番好きなお仕置きの体勢は?
⇒何だかんだ膝の上。

 

Q18. 好みのお道具、 よく登場するお道具はありますか?
⇒物差し、靴ベラ、ヘアブラシ、かな。

 細い道具が痛そうすぎて苦手なので、平ためなものが多いです。

 

Q19. 「おしおき」の表現、 どうしてる? (お仕置き、罰、 尻叩きなど)

⇒基本的に「お仕置き」、

 ちょっとキーの羞恥を煽る時に風丘とかは「お尻ペンペン」って言いますけど、

 実は白瀬書いてて恥ずかしくなってます…笑

 

Q20. お尻を叩く音、どう表現する?(バチンッ!ぺん!など)
⇒結構いろいろ使います。バチン ベチィッ ビシィンッ バシィンッ等々…

 カタカナで書きますかね。平手から道具になったり、強さや叩き方を変えた時に

 全く同じにならないように極力気を付けているつもりですが…。

 

Q21. スパ創作においてのこだわりポイントは?
⇒うーん…なるべくワンパターンにならないように、

 せっかくのオリジナルなので、いろんなキャラの組み合わせを書けるようにしたいな

 と思って書いてますが… なかなか難しいです汗うさぎ

 

Q22. スパ創作をする上で、気を付けていることがあれば教えてください。
⇒スパまでの過程を大事にしたいので、そこは極力丁寧に書くように、

 「暴力」に見えないようには心がけています。

 

Q23. スパ創作のネタは、どういう時に思いつく?
⇒ほんとにふとした時です。仕事とか日常生活が忙しい時の方が多い…笑

 あとたまに夢に見ます。ほんとにたまに、ですが。

 

Q24. よく創作するジャンルは? (オフィス、学校、 異世界など)
⇒メガネ教師ばっかりなのでほぼほぼ学校。

 

Q25. 苦手、 または難しそうだと思うジャンルはありますか?

⇒ラブスパ要素、プレイ要素の入った大人な感じの物は書ける気がしません…笑

 

Q26. 作品のタイトルを考えるのは得意ですか?

⇒苦手です!!← なのでメガネ教師はただひたすらに話数カウント笑

 二次創作とかは都度都度なのでタイトルつけるんですが、

 どれもあんまりパッとしない…泣くうさぎ

 

Q27. キャラクターの名前はどうやってつけていますか?
⇒メガネ教師は、生徒の子たちはひたすら響きであんまり共通点とか意味はないかな…。

 教師陣は気象や自然物系の漢字を使ってます。

 かっこいい&綺麗な名前をつけたくて、宝塚の皆さんのお名前を参考に見たりもしてます。

 

Q28. 今までの作品の中で、一番気に入っているキャラクターの名前は?

⇒風丘葉月&花月は我ながら綺麗な名前で気に入ってます笑

 あとまだ全然出て来てませんが

 朝凪和歌葉も、特に「和歌葉(わかば)」は一捻り入れられて気に入ってます。


Q29. 複数の作品を同時進行で創作できますか?

⇒これが大の苦手で、結局メガネ教師しか生き残ってないんですよね…。

 メガネ教師の中で同時進行はいけるんですけど。。。

 あと、二次創作は基本単発なので大丈夫です。

 

Q30. 創作する上で妄想するのはカー目線? キー目線?
⇒どっちなんだろう…。自分はキーなので、キー目線な気がします。

 

Q31. ここらで冷たいものでもいかがでしょう? 好きなアイスを教えてください。

⇒結局スーパーカップのバニララブラブ

 

Q32. スパ創作をしてきて、 特に印象に残っていることはありますか?
⇒こんな素人の作品に皆さんがコメントをくださって、

 ツイキャスなんかもして交流が出来ていることは、本当にすごいことだと感じてます。

 

Q33. 創作に使っているツールは? (PC、タブレット、 色鉛筆、 コピック等)
⇒パソコン、あと殴り書き用のノート。私はスマホでは書けないんですよね…。

 入力履歴残って予測変換でいろいろ出てくるの恥ずかしいとか思っちゃって笑

 

Q34. スパ創作をするにあたって、資料集めはする?

⇒メガネ教師は好き勝手やってるのでほぼしませんが、二次創作はかなりします。

 特に最近ちょこっとだけ始めたnmmnについては、

 実際のエピとかから欠片を拾ってきたり、本当にその人がやりそうなこと

 あり得そうなことじゃないと今のところ書けないので、かなり材料集めのために

 動画見たりラジオ聞いたりします。


Q35. スパ創作が捗る場所や生活シーンは?

⇒リビングで、大体真夜中。


Q36.自己最 「短」 制作期間は?

⇒遅筆の権化ですが…集中すると12時間とか…。

 

Q37. よければその作品を教えてください。
⇒覚えてないな…。でも意外と二次創作のが一気に書けることが多いです。

 黒執事の1作目(駒鳥スパ笑)は、ほぼほぼシチュエーションを原作からもらってきたこともあって

 それくらいで書いた記憶があります。

 

Q38. 逆に自己最「長」 制作期間は?
⇒もはや数年越しのものも多いですよ笑

 プロットだけ書いて…みたいなのはザラです。

 

Q39. 同じく、その作品を教えてください。
⇒メガネ教師は大体そんな書き方なのでそうなりがちです。

 

Q40. いつもの平均的な制作期間ってどれくらい?

⇒メガネ教師については、何本か並行してちょこちょこ書いて、

 ある程度固まってよし、これを完成させよう、とそこまで行ったら

 1週間くらいで仕上がることが多いです。

 でも、そこまで行くのに数か月かかったり…汗うさぎ


Q41. 作業が捗る時間帯ってありますか?

⇒圧倒気に夜中です。不健康ですあせる


Q42. 作品の起承転結、 どのあたりから創作しますか?

⇒スパの理由が固まって、プロットが出来て書き始めたら

 基本的には頭から順番に書きます。

 

Q43. ご自分で自覚のある癖(ヘキ)、スパンキング以外にありますか?
⇒小説では書きませんが実は「くすぐり」とか結構好きです…()

 

Q44. スパ創作をするにあたって、 譲れないものをひとつお願いします。

⇒んー…自分が書く場合、ラブスパのような性的な要素は基本的には入れない、

 ですかね…。

 カップルもいますが、スパ自体は別物にしてます。

 

Q45. 過去のご自分の作品を振り返ってみて、感想を聞かせてください。
⇒いや、本当に拙いんですよ… pixivに上げ直したいんですが

 読み返すのが苦行過ぎて…笑

 シチュエーションとかセリフとか、お気に入り要素は端々にあるんですが、

 いかんせんまとめ上げる文章力が。。。

 

Q46. 世に出していない未完の作品、ありますか?
⇒書きかけだらけですーあせる

 

Q47. 今までのスパ創作で一番好きなカーのセリフは?
⇒えー、決められない…ので、最新作から、

 「お仕置きだからねぇ。少しは痛い思いしてもらわないと。」

 「最後くらい泣いてもらわないとね?」

 こんな感じで、緩い感じで容赦ないセリフが好きです笑

 

Q48. キーのセリフもお願いします。

⇒キーの子たちが風丘や雲居を「変態」呼ばわりするのが地味に好きです笑

 仁絵が言い放った「悪趣味変態ヤロー」とか…笑

 返り討ちに遭えばいいと思ってます…が、風丘は大人の余裕で受け流しちゃうんですよね←

 

Q49. 締切、 好き?嫌い?
⇒嫌い…というか設定して守れたためしがありません。本当にすみません…

 

Q50. 答えるのにも疲れてきましたよね。
このあたりで、好きなお菓子を教えてください。

⇒ポリンキーのめんたい味ラブラブ

 

Q51. スパ創作時、よく口にするものって何かありますか?

⇒基本何も… 強いて言うなら、大体夜中なのでモンスターエナジー(ピンク)

 

Q52. 作業通話しながら創作できる?

⇒これ憧れるんですが、絶対無理だと思います。きっと黙っちゃう…

 

Q53. 創作中、BGMは流しますか?
流すならお気に入りの一曲をお願いします。

⇒結構雑多に何でも流します。SixTONESとかStrayKidsとか

 推しの曲も流しますし、Spotifyから適当に流したり…。

 今たまたま流れているのはSuperflyのカバーアルバムから

 『果てない空』でした音譜

 

Q54. スパ創作をしていて何か失敗談ってありますか?

⇒あるあるですがデータ飛ばし。

 ひどかったのは頂いたリクエストをまとめたメモデータを飛ばして、

 以来トラウマでリクエストは正式に募ることをやめました…。

 

Q55.スパ創作をしていて、難しいなと思うところは?

⇒やっぱりどうしても大枠は悪いことする⇒スパシーン⇒許される、の

 ワンパターンになるので、それをどうワンパターンと感じさせないように

 書くか、というところが毎回苦労します。

 

Q56. コーナータイム描写、好き?嫌い?

⇒個人的にあんまり好きではないこともあり、ちょっと苦手寄りです。

 

Q57. 好きなカーの仕草は?

⇒膝を叩く。

 キーがそれでサッと顔色変えたり突然焦ったり態度変えたりするのが萌えです恋の矢

 

Q58. 好きなキーの仕草もお願いします。

⇒無意識に手で庇っちゃってその手をカーに押さえつけられて悶えてるところ。

 (それは仕草か…?笑)

 スパ中は多少暴れてほしい書き手です笑

 

Q59. 自作品の世界に迷い込みました。 そこはどんな世界?

⇒メガネ教師なら学校か…笑

 

Q60. その世界で、 あなたはカー? キー? それともモブ?

⇒キーになるのも捨てがたいけど、ここは是非モブとして眺めていたい!!

 

Q61. スパンキング以外のお仕置きを組み合わせることはある?

⇒あんまり得意じゃなくて書いてないですね…。

 夜須斗が食らったアルコールくらいか…←

 お灸とか個人的にダメなので…

 

Q62. ご自分のその日の気分が、 スパ創作に影響しますか?

⇒あんまりないかな?

 

Q63. 作品の進捗、こまめに発信しますか? それとも完成してから?

⇒遅筆過ぎて結局あれどうなった!?って思われちゃう気がして、

 あんまり言えません… 

 

Q64. 今までの作品、 自分のお気に入りと周りからの評価って一致していますか?

⇒結構反応いただけるシーンは頑張ったところとかお気に入りポイントが多いので

 わりと一致している方だと思います。

 

Q65. スパ創作の中で、一番好きな作業は何ですか?
⇒作品に取り掛かる前、ただただ断片的な妄想ネタをノートに書きなぐることと、

 アップ前、最後の推敲で通しで読むこと。

 

Q66.スランプだ! 良いストレス発散方法は?
⇒全然違う組み合わせや、メガネ教師がダメなら二次創作書いてみたりする。

 スパ創作全般がダメなら諦めて推し活とか別の趣味に走ります←
 

Q67. 創作する上で、誰かに相談したりする?
⇒絶対できない…汗うさぎ

 

Q68. もらって嬉しかった感想について教えてください。

⇒そもそも感想貰えることが嬉しすぎます!!

 何年も前から読んでましたー、って言ってもらえることも結構あって、

 本当に恐縮です…。


Q69. 他の人の作品への感想、積極的にしたい方?

⇒したいんです!! 書き手としたら反応もらえたら次の作品に繋がると痛感しているので!!

 でも…なかなか言語化できないし、恥ずかしさもあるんですよね…

 書き手の立場としては感想欲しい欲しい言うくせに、

 矛盾してるって分かってるんですけど…泣くうさぎ

Q70. 自作品への感想、 どこへ書いて欲しいですか? (コメント欄、 マシュマロ、 Wave Boxなど)

⇒何でも嬉しいです音譜 お題箱やマシュマロに頂くことが多いかな。
 

Q71. ところで、 いま何時?
⇒夜中の3時…汗

 

Q72. 門限破り3回目、 自作品のカーならどうしますか?

⇒2回目のスパの倍くらいの厳しさになるかなはてなマーク

 でも、風丘とかそんなに門限厳しいキャラじゃないんですよね…。

 先生と生徒だから、仁絵以外は基本的には「門限」ってあんまり出てこないし。

 (そういえばこの前のスキズさんの二次創作送った子から、

 彼らは宿舎で共同生活だから門限とかもいけそうだよね、って言われたのを思い出しました。

 じゃあ次はそれでいってみよう、と言いつつ全く何も手を付けてません笑)


Q73. この状況...自作品のキーならどうする?

⇒逃げるか誤魔化しを試みるか… 素直に自首できる子は洲矢くらいでしょうが

 そもそも洲矢は同じ約束破り3回も繰り返さないので。。。


Q74. この場合、 結末はどうなりますか?

⇒約束として門限を設けていたとしたら、

 3回も破ったらどう転んでも大号泣コースでしょうね…笑ううさぎ


Q75. 自作品を属性に分けるなら、 光 ? 闇 ?

⇒白瀬自身は闇ですが、

 メガネ教師は最終期にはポジティブハッピーエンドを常に心がけているので光でスター

 

Q76. そろそろ休憩にしましょう。 好きなドリンクを教えてください。

⇒アイスココアラブラブ


Q77. スパ創作において、ご自身に似た性格のキャラクターはいますか?

⇒うーん、難しい… あんまりいないかなぁ… 変に冷めているところは夜須斗かも笑


Q78. ご自身の作品の中で、キャラクターにモデルはいますか?

⇒外見とかイメージはいたりしますが、妄想をつなぎ合わせているので明確にはいません。

 

Q79. ご自身の作品の長所って何だと思いますか?
⇒細く長くここまで続いているところ。

 

Q80. 逆にご自身の作品のウィークポイントは?
⇒作者が遅筆過ぎて全然時が進まないところ。

 

Q81. 創作していて楽しいと思う時はどんな時ですか?

⇒自分の好きなシチュエーション、妄想を形にすることができて、

 それを好んでくださる同士の方がいると感じられた時。


Q82. スパ創作活動、実はやめようかな・・・なんて思ったことある?

⇒滞ることはあってもやめよう、というのはないかも…。

 実質やめてるのと同じ状態には何度も陥ってますがあせる


Q83. スパ創作を楽しむモチベーション、どんな風に上げていますか?

⇒書かなきゃ、という義務感を必要以上に感じないようにはしています。

 なので最近は続き物は最後まで上げられる目途が立ってから

 前編載せ始めるようになりました笑 

 前編上げて音沙汰無し、は読者様に申し訳なさすぎるので。。。


Q84. 他の作家さんとの交流は好きですか?

⇒とてもしたいんです!! オフ会に興味のあった時期もあります!!

 が、いかんせん極度の人見知りで諦めてます…。


Q85. 気になっているスパ創作者さんはいますか?

⇒畏れ多くて言えません…。秘密にさせてください…。


Q86. そのスパ創作者さんと実際にお会いしてみたい?

⇒畏れ多いです、ほんとに…。


Q87. オフ会、行ってみたいと思いますか?

⇒行きたい、と思いつつ、だんまりで終わる未来が見えるので…。


Q88. あともう少しなんですが、 よそ見していますね? お尻に喝が必要ですか?

⇒リアル欲、昔ほどじゃないですが今もたまーに出てきたりしますよ笑

 もうおばさんなので現実的ではないですが。


Q89. ご自身の作品のお仕置き描写は厳しめ? 優しめ?

⇒うーん…全体的にはそんなに厳しい方ではないのでは…?


Q90. お仕置き後のお尻の描写って何色?

⇒普通に赤く腫れた…とか書いてます、たぶん。


Q91. アフターケア描写は好き?嫌い?

⇒結構好きなんですが、前から書いてく関係で、その前のスパシーンで力尽きて

 アフターケア疎かになりがちなのでそこはよく反省してます…(;^ω^)


Q92. お仕置き前、 最中、 お仕置き後、一番好きな描写は?

⇒お仕置き前かな。


Q93.スパ創作において、重要視している描写はありますか?

⇒過程を大事にしたいので、お仕置きに至るまでの描写は頑張ってるつもり…です。


Q94. 今までのスパ創作作品数、わかれば教えてください。

⇒わ、分からない… 上げてないのも含めると100くらいは書いてるのかなぁ…。


Q95. スパ創作以外での創作 (オリジナル、 二次創作など)は されていますか?

⇒ないです。


Q96. 今後、イベントなどへの参加予定はありますか? 差し支えなければ教えてください。

⇒書きたいと思いつつ、締め切り守れない奴なのでこれも諦めてますあせる


Q97. 今後、挑戦してみたいスパ創作のジャンルはありますか?

⇒大人の男性同士のスパ(BL絡んでもそうでなくても)を

 もうちょっといろいろ書いてみたい気持ちはあります。

 nmmnにも手を出してしまったのでもう…ね、、、

 

Q98. 満足いく作品が出来あがった時、一番に見てもらいたい人は?
⇒どなたでも見ていただけたら嬉しいです音譜

 

Q99. あなたにとってスパ創作とは?

⇒実生活では絶対に見せられないけど、私の人生の一部です。


Q100. お疲れ様でした。 最後にひとことお願いします。

⇒久々にこういう質問系答えて楽しかったです音譜

 ありがとうございました!!

 

お久しぶりです、白瀬です~昇天

 

Xでも愚痴っていたとおり、4月から異動となり、

バタバタと引継ぎ、異動先の業務が難しすぎて理解に超絶時間がかかり、

異動が決まってからほぼ毎日夜10時過ぎに帰宅するという

柄にもなく仕事に人生捧げるバリキャリみたいな日々を過ごしておりました←

 

まだまだ残業の日々は続きますが、前部署と違い、ほぼほぼ内向きの仕事なので、

休日出勤が全くない!! これは素晴らしい!!

ということで、先週は疲れ果てて土日を睡眠に溶かしましたが、

今週末は持ち直してようやくメガネ教師、今回のエピソード完結させられました~~音譜

大遅刻でごめんなさい泣くうさぎ

 

久々の二人でお仕置き、しかも初の歩夢のがっつりスパ!(前回はちょっと特殊状況だったのであせる)

いかがでしたでしょうか?

ただでさえ難しいスパシーンが二人で2倍、何なら歩夢の初キーで3倍難しかった…‼

歩夢のキー姿、皆さんの予想通りでしたでしょうか…?(ここがかなり不安笑)

洲矢とはまた違う優等生キー像になりましたスター

良い子だけどプライド高めキー、結構お気に入りです照れ

 

そして地味に一番書きたかったのは仁絵と歩夢の口喧嘩にやり

夫婦喧嘩みたいな結構しょーもない口喧嘩なのがミソです笑

仁絵と歩夢は対極にいるようで似た者同士、というのが上手く表現できていれば良いのですが…。

仁絵が最後の最後にちょっと反応を見せたのは、

もちろんラストスパートが痛すぎたのもありますが笑、

実は一緒にいたのが惣一や夜須斗ではなく歩夢だったから、というのもあります。

 

ただ、肝心のスパシーンは二人とも無反応なせいでだいぶあっさり目だったかも絶望

なのに、お仕置きは高校生仕様のなかなか厳しめになったのは歩夢ごめんねという感じです笑

 

お仕置き終わりの二人の会話はどうかなぁ、なんて思ったんですが、

二人ともなんとも言えない空気で黙り込みそうだし、

なんなら翌日なかったことにしそう笑

だったので、その後の仁絵の甘やかしタイム匂わせで締めさせていただきましたほんわか

 

歩夢キーは今後そうそう登場しないかもですが、

また新鮮なキーを書けて楽しかったですラブラブ

 

続いての小説のネタはまだ形になっているものがなくて、

いろいろ考えようと思います。。。

またちょっと間が開いてしまうかもですが、

ふとした時に思い出して覗いていただけたら嬉しいです。

 

近況ですが、最近は仕事に忙殺されていてお出かけする元気はないので、

自宅でドラマやら各種円盤やら動画やらを眺める日々です。

 

最近お気に入りは推しもちょこっと出始めた大河ドラマ(横浜流星さんも美しい…)、

新シリーズ始まった黒執事とSixTONESの冠番組、

坊主になっても美人さんなStrayKidsのヒョンジンさんのビジュアルを眺めることです笑

あとたまたま見たちゃんみなプロデュースのグループのジスちゃんって子が

歌う姿が美しくてちょっと気になってます。

(ただサバイバル番組自体はあんまり得意じゃないからなかなか見る勇気がない…

スキズさんもそう笑)

雑食過ぎて自分でもどうなんだって思ってますが、

生活の潤いは多いに越したことないですからねうさぎのぬいぐるみ

 

今月中には落ち着いたらいいなぁ、、、なんて願いながら、

明日からもお仕事頑張ります。。。

今月末には古川さんのオケコンに行けるので、まずはそこを目標に踏ん張りますよメラメラ

「…で? 本当のところはどうなのかなー?」

 

部屋に連れて来られ、問答無用でお仕置きが始まるかと思ったら、

風丘はもう一度、仁絵の口から一連のことを説明させ、

全て聞き直した上でまさかのそんなことを穏やかな口調で問うてきた。

 

予想外の展開に、仁絵は内心焦る。

 

「本当のところって…さっきから言った通りだよ。俺が流したって。それだけ。」

 

動揺を悟られないよう、努めて冷静に返したつもりだが、

素っ気なさ過ぎたのか、更に風丘は追及してくる。

 

「柳宮寺が『たまたま』滅多に行かない職員室に行った時に、『たまたま』日程表が目についたって?」

 

「…風丘が雑用で俺呼びつけることあんだろ。」

 

「へぇ? じゃあ何の用事で俺に呼ばれた時?」

 

「そ…んなのいちいち覚えてるわけねーじゃん!」

 

ここまで細かく聞かれることは想定していなかった仁絵は必死に取り繕う。

あからさまに疑っている風丘に、

少しでも隙を見せたらそこを突かれてしまうかと思うと、不用意に何も言えない。

とはいえ、余計に怪しまれそうなろくでもない回答しか出来ない自分に更に焦る。

そしてその焦りは、イラつきになって表れてしまった。

 

「ってかなんだよさっきから! いつもみたいにとっととケツ叩きゃいいだろーが!!」

 

仁絵がそう叫ぶと、風丘はその様子を見て、

仁絵とは真逆の、ほらー、と間延びしたようなリアクションを返す。

 

「いつも通りじゃないのは柳宮寺もでしょ? 

いつもあんなにお仕置きイヤイヤするのに、なんで今日はそんなにお仕置きされたがるの?」

 

「さ、されたがってるわけじゃ…」

 

図星を突かれて、仁絵が汗ばんだ手のひらを握る。

 

「何をそんなに急いでるのか、その理由が分かるまで、今日俺は柳宮寺をお仕置きしないよ。」

 

「っ…」

 

それは困る。だって早く始めてくれないと…、

仁絵が唇を噛むが、風丘はそんな仁絵の様子を気にも留めない。

 

「まぁ、それに俺は…」

 

その時だった。

 

ドンドンドンッ

 

「!」

 

強いノックの音が鳴る。

仁絵が息を呑む。

立て続けに扉が叩かれ、聞こえてきた声は、、、

 

ドンドンドンッ ドンドンドンッ

 

「風丘先生! 宮倉です!! 急ぎでお話したいことがあります!!」

 

風丘はゆっくり扉に歩み寄りながら、

仁絵同様切羽詰まった歩夢にも、先ほどから変わらない落ち着いた口調で扉越しに答える。

 

「後でもいいかな、歩夢君。今、柳宮寺とお話し中でまだ終わりそうにないから。」

 

何かを探るような風丘の声音。

ここで引いてくれれば良いのに。

しかし、仁絵の願いも空しく、歩夢ははっきり言い切った。

 

「今!! 今でお願いします! その仁絵の話と関係することなので!!!」

 

「チッ…」

 

歩夢の言葉を聞いて、仁絵が舌打ちをする。

 

「…そう。それは良かった。」

 

風丘はそんな仁絵の様子を見てフッと笑って扉を開ける。

 

「柳宮寺が全然何も教えてくれなくて長期戦覚悟してたところだったから。」

 

扉の向こうには、息を切らした歩夢が立っていた。

 

歩夢は、仁絵が部屋の中ほどに立っている姿を見て、ホッと胸を撫でおろす。

…しかしそれも束の間。

そこからすぐに、歩夢は仁絵に掴みかからんばかりの勢いで詰め寄った。

 

「ちょっと仁絵! 立ち行かなくなったら俺のこと売るんじゃなかったわけ!?」

 

歩夢に怒鳴りつけられ、

こちらも思うようにいかなかったイライラがマックスに達したのか仁絵も怒鳴り返す。

 

「あぁ、そう言ったよ!! だから俺が売るまで黙ってろっつっただろーが!!」

 

「今どう考えても立ち行かなくなってる状況じゃん!! 今売らなくていつ売るんだよ!」

 

「俺が委員長売るような奴だってマジで思ってんの!? 

ってか委員長が助けろって言ってたくせに今更なんだよ!」

 

「冗談に決まってんでしょ、そっちこそ何本気にしてんの!? 

罪被って代わりにお仕置き受けてもらうとかむしろ最悪なんだけど!!」

 

口喧嘩がヒートアップする二人に、あー、こらこら、と風丘が苦笑して割って入る。

 

「何となく理由は分かったけど、とりあえず、説明してくれる? 宮倉。」

 

「っ…」「はい。」

 

歩夢への名字呼びに動揺する仁絵と、

覚悟を決めて来ているからかむしろその一瞬で冷静になったのか委員長モードに入る歩夢。

対照的な二人に内心笑いそうになりながら、風丘はソファに腰掛けて、歩夢の説明を聞いた。

 

 

 

 

 

「…なるほどねぇ。やーっと真相が分かったよ。」

 

「せ、先生…?」

 

あー、スッキリしたー、と風丘が間の抜けるようなリアクションを取るものだから、

意を決して己の罪を告白した歩夢は拍子抜けする。

 

「何? 怒ってないのが意外?」

 

怪訝な顔をする歩夢に、風丘はフフッと笑って答える。

 

「柳宮寺にも言おうと思ってたんだけどさぁ、

俺は別に持ち物検査切り抜けようっていろいろ画策することはそんなに怒ろうと思わないんだよね。」

 

目を見開いて風丘を見つめる二人に、風丘はニコッと笑う。

 

「二人は気付いてると思うけど、俺元々持ち物検査嫌いだし。

学生の頃からそうだけど、先生の立場になってからもっと嫌いになってさ。

だからまぁ、柳宮寺から俺が納得する説明が聞けたら、

後はオイタがバレちゃったケジメのお仕置きで終わりにしようと思ってたんだよ?」

 

そこは一応、俺『先生』だからさ、と風丘は笑う。

 

「なのに思いの外柳宮寺が粘るから何かと思ったらねぇ…。

むしろそっちの方を、俺は怒ってるよ? 柳宮寺。

この期に及んで俺に嘘つき通せるなんておバカなこと考えてたことに。」

 

「っ…」

 

「というわけで、柳宮寺は仕上げ2発追加。

さて、それじゃあお仕置き始めるよ。二人ともこっちおいで。」

 

風丘がそう言って立ち上がり、自分が座っていたソファの座面を叩いた。

 

「っ…」

「え゛っ…一緒にやんの…?」

 

お仕置き慣れしていない歩夢の肩が跳ね、仁絵は眉間に皺を寄せる。

二人とも覚悟を決めていたとはいえ、

いざとなれば、そして二人一緒となればなかなか踏み出せない。

 

「一人がお仕置きされてるのもう一人が見る方が嫌じゃない? 

二人でオイタしたんだから、お仕置きも二人一緒にしてあげる。

ほら、こっちから手ついて。

宮倉はまだしも、柳宮寺は分かるでしょ? あ、ベルト外しといてね。」

 

風丘はそう言って固まっている歩夢に歩み寄ると、手を引いて、ソファの背もたれ側まで連れて行く。

諦めた仁絵がそれに続き、履いているものを下せと指示されなかったことに内心ホッとしながら

制服のベルトのバックルを外して座面に手をつく。

背が伸びたとはいえ、結構立派なこのソファー、

未だに背もたれ側から座面に手をつくと少し背伸びする体勢になって不安定だ。

そして仁絵の横、肩が触れるか触れないかの距離で歩夢が同じ体勢で並んだ。

 

二人が並ぶと、風丘が二人の背後に回り、ズボンを下着ごと膝まで引き下ろす。

仁絵は羞恥を耐えるように静かに目を閉じたが、

歩夢がソファの座面についた手をぎゅっと握りこむのが感覚で分かった。

 

「大体8ヵ月かー、結構うまくやったねぇ。1ヶ月につき10回で、80回ね。」

 

「っ…」

「なっ…」

 

口調とは裏腹の思っていたより多い数字に、歩夢が肩を震わせ、仁絵が閉じていた目を見開く。

そんなに怒ろうとは思ってない、なんて言っていたくせに。

 

「いくよー。」

 

しかし抗議の声を上げる前に、無情にも二人にとっての辛い時間は始まってしまった。

 

バチィィィンッ  バチィィィンッ

 

「っ…」  「ぅぅっ…」

 

バチィンッ バチィンッ  バチィンッ バチィンッ

 

「っく…ぅっ…」  「っあ…ぁっ…」

 

バチィンッバチィンッバチィンッ バチィンッバチィンッバチィンッ

 

「ぃっ…ぁ…っ…」  「ぅぁ…いぃっ…ぅぅ…」

 

(ありゃー…これは…)

 

二人一緒にお仕置きをすると決めた時から、仁絵の反応は予想していた。

二人きりじゃなければ素直に反応できないのは今も変わらない。

しかし、仁絵には嘘をつかれたし、地田に脅迫まがいのことをしたという(一応の)余罪もあるので

ここは頑張ってもらって、帰ったら甘やかそう、なんて風丘は内心考えていた。

 

が、予想外だったのは歩夢の方だ。

歩夢は一度お尻を叩かれたことはあるとはいえ、本格的なお仕置きは初と言っていい。

なのにこの様子。この反応は仁絵とまるで一緒だ。

声を上げまいと気丈に耐え抜こうとしている。

 

(確かに、歩夢君も意外にプライド高いもんねぇ…)

 

ずっと「委員長」と呼ばれ続けてきた経歴は伊達ではない。

それを鼻にかけることは微塵もないが、良い意味でプライドはあるのだろう。

自分の行為が招いた結果で、泣いて叫ぶのはみっともない、とでも思っているのかもしれない。

 

バチィンッ バチィィィンッ  バチィンッ バチィィィンッ

 

「っぁ…んんっ…」  「ぅっ…うぅっ…」

 

これは二人とも回数以上に辛いお仕置きかもな、と風丘は苦笑しながら、しかし平手は一切緩めなかった。

 

 

 

 

 

…バチィンッバチィンッバチィンッバチィンッバチィンッ

 

「くっ…ぅぅっ…っあ…っく…」

 

そして70回を過ぎ、お仕置きも終盤の頃。

 

バチィンッバチィンッバチィンッバチィンッバチィンッ

 

「っぁっ…ぅぅっ…いっ…いたぃっ…」

 

先に限界を迎えたのは歩夢だった。

ここへ来て真っ赤なお尻の真ん中ばかりを狙って振り下ろされた凶悪な連打に、

耐えきれず初めて「痛い」と口に出した。

 

「今の痛かった? お仕置きだからねぇ。少しは痛い思いしてもらわないと。」

 

歩夢が初めて見せた反応らしい反応に、風丘は安心しつつ、口では少し意地悪を言う。

 

「っ…せんせいっ…」

 

涙交じりの歩夢に呼ばれ、風丘は歩夢の頭を撫でるが、お仕置きはもちろん最後まで続行だ。

 

「あと5回と仕上げで終わりだからね。もうちょっと我慢しようね。」

 

「っ…」

「おいこのドSっ…」

 

非情な事実を突きつけられ身じろぐ歩夢に、

ここまで悲鳴を押し殺して反応という反応を全て抑えこんでいた仁絵が抗議の声を上げると、

風丘は思わず噴き出した。

 

「フフッ、柳宮寺、よっぽど宮倉のことが心配なんだねぇ。」

 

「はぁっ!?」

 

「…まぁ、人の心配してられるくらい余裕ってことなら、最後くらい泣いてもらわないとね?」

 

「な、何…」

 

「残り5回と、柳宮寺は仕上げ5回だから合計10回ね。」

 

風丘は少し二人の元を離れたかと思うと、戻って来るや否や仁絵の背中を更にグッと上から抑え込んだ。

元々つま先立ち気味だったところ、更に不安定になった体勢。

そんな仁絵のお尻に厳しい連打が打ち込まれた。

 

ベチィンッベチィンッベチィンッベチィンッベチィンッ

ベチィンッベチィンッベチィンッベチィンッベチィィィンッ

 

「あっ…うぁぁぁぁぁ~~~~っ」

 

さすがにヘアブラシの雨には耐えきれず、仁絵もついに声を上げ、

泣き出すのは耐えたものの、涙をにじませずるずると背もたれ側にしゃがみ込んだ。

 

「ひ、仁絵っ…」

 

ここまで耐え抜いていた仁絵の陥落で更に動揺している歩夢に、

風丘はごめんごめん、と仁絵からしたら白々しく謝る。

 

「宮倉にはここまでしないから。宮倉は…そうだね、こっちおいで。」

 

そう言って、また歩夢の手を引いて、自分はソファーに座り、その膝の上に歩夢を横たわらせた。

 

「いつもは、仕上げは道具なんだけど。

宮倉はがっつりお仕置きは初めてだし、頑張ってたからここであと5回+仕上げの3回、我慢ね。」

 

「せんせい…ごめんなさい…」

 

殊勝な歩夢に、風丘は頬を緩ませて髪を優しく梳く。

 

「うん、良い子。じゃあ行くよ。」

 

バチィンッバチィンッバチィンッバチィンッバチィンッ

 

「っあっ…っぅぅっ…いっ…ったいぃっ…」

 

そして最後の3回を前に、風丘は足を組んだ。

 

「っあ…せんせっ…」

 

バッチィィンバッチィィンッバッチィィィンッ

 

「っあ! やっ…いったぁぁっ」

 

背もたれ側で座り込んでいる仁絵には見えていないが、歩夢のささやかなリアクションとその後の平手の音で、

何が行われたのか何となく分かってしまう自分に悲しくなりつつも、仁絵は心の中で悪態をついた。

 

(この鬼…。)

 

 

 

 

 

「先生…ごめんなさい…。」  「……。」

 

お仕置き中のリアクションはあんなにそっくりな二人だったが、お仕置き終わりのリアクションは対照的だった。

かなり落ち込んだ様子でしきりに謝る歩夢に対し、

ソファーを歩夢に譲って、風丘が持ち出してきた長座布団に横たわる仁絵はムスッとした顔でそっぽを向いている。

 

「もー、歩夢くん。もうそんなに謝らないの。お仕置きちゃんと受けたんだから。何をそんなに落ち込んでるの?」

 

「っ…それはっ…」

 

困ったように笑って歩夢の頭を撫で続ける風丘に、歩夢は目を伏せながら口を開いた。

 

「金橋先生が…言ってました。

風丘先生が、僕たちが持ち物検査引っかからなくなったのは僕らが学んだからだ、成長したからだって言ってたのに、

こんな結果で残念だっただろうって…。」

 

そして、あんなにお仕置きの時は耐えていたのに、歩夢はここでポロポロと涙を零す。

風丘は一瞬驚くも、すぐにフフッと笑ってその涙を指で拭った。

 

「何言ってるの。ちゃんと成長してるじゃない。」

 

「…え?」

 

真意の読めない風丘の言葉に、歩夢が目を丸くすると、風丘はだってねぇ、と続ける。

 

「いくら日付が分かっていたとはいえ、

その日はクラス皆ちゃんと違反物持ってこないようにしようってできてたってことでしょ?」

 

「「は?」」

 

これにはさすがに仁絵も反応する。

 

「いや、それはそうですけど…。」

「俺らへの期待値低すぎね…?」

 

「あと、俺の嫌いな持ち物検査に一矢報いろうとしてくれたことは残念どころか嬉しいよ♪」

 

「え、あ、…え?」

 

「…言動とケツ叩きの厳しさが整合性取れてねぇから委員長混乱してるけど?」

 

目を白黒させる歩夢の声を代弁する仁絵。

そんな二人に風丘は微笑んだ。

 

「言ったでしょ、ケジメのお仕置きって。それはそれ、だからね!」

 

 

 

 

 

その日の夜。風丘宅。

 

「そう言えば仁絵君、なんで今日、お仕置きの後あんなに拗ねてたの?」

 

「拗ねてねーよ!…委員長いたから…どんな顔していいか分かんなかっただけで…」

 

「…何もう、ちょっと可愛すぎるんですけど!!! 

フフッ、じゃあ今から甘やかしタイムやり直そうねー?」

 

「い、今更いらねーよ! おい、離せってば!!!」

 

しかし抵抗空しく、もう一度お尻を出されてまだ赤いお尻をタオルで冷やされる間、

揶揄われながら甘やかされる羽目になる仁絵なのだった。