受講生インタビュー【シンママとして通訳者を目指し奮闘中の神宮加奈子さん】 | カリフォルニア 会議通訳・翻訳会社 EJ EXPERT代表のブログ ザ・トランスレーター

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40歳過ぎて専業主婦からプロの同時通訳者と起業家に転身。会議通訳の仕事、翻訳や通訳スキルの習得、通訳翻訳会社の経営、独自のプロ養成コースなど、北カリフォルニアはシリコンバレーを中心に発信しています。

こんにちは、北カリフォルニアの会議通訳者でEJ EXPERT代表のブラッドリー純子です。

 

本当に久しぶりの更新となってしまいましたガーン

 

年末はクリスマスとお正月を子供たちと日本で過ごし、白浜温泉、富山の雨晴温泉、金沢の温泉、伊豆半島にある堂ヶ島温泉…と今回も温泉巡りをしてきました。

 

前回の東京に続き、大阪でもワークショップと懇親会を開催。今回も満席で定員オーバー、スタッフ2人が頑張ってくれたおかげで大成功となりました。

 

一年前に大阪で会った受講生から通訳デビューが叶った、同通レベルで仕事を受けれるようになった、など嬉しい知らせをたくさん聞けて私自身にとっても心に残るワークショップでした。

 

また6月後半には昨年同様に東京で開催を予定しています。

 

アメリカに帰ってきてすぐにNYから連続で出張が続き、相変わらずバタバタしております。

 

さて今回は、最近の受講生の中から期待の新人をご紹介します。

 

弊社通訳養成プログラムのベーシックレベルから受講を開始し、短期にして実力が開花中の神宮加奈子さんですキラキラ

 

まだ受講をスタートして間もない頃にシリコンバレーで開かれた日本企業のトップが集まるカンファレンスにオブザーバーおよびアシスタントとして来ていただきました。

 

そこから現場に引っ張っていく形となり、瞬く間に大舞台に立つ経験をしてもらって現在は某大手企業のリモート社内通訳者として大活躍されています。副業も許可されているため、今後もフリーランスとして弊社から引き続き依頼をする予定です。

 

加奈子さんのインタビュー記事は通訳を目指す方々へのモチベーションになると思いますのでぜひご覧ください気づき

 

 

 通訳で生計を立てていくという覚悟

 

Q1: まず⾃⼰紹介と会議通訳者になったきっかけをお聞かせください。 

 

A: サンフランシスコ近郊在住、神宮(じんぐう)加奈⼦です。

 

⼩学⽣3年⽣〜中学1年までを⽗の海外赴任に伴いアラスカ州で過ごしました。 

 

帰国後⼤学1年⽣までを⽇本で過ごし、再び⽗の転勤でベイエリアへ。⼤学卒業を経て、気づけば⻑いことこちらで暮らしています。

 

現在⼆⼈ の⼩学⽣の⼦供たちと愛⽝⼀匹と暮らしています。 

 

会議通訳者へのきっかけは、EJ Expertのプロ養成講座受講でした。シンママで経済的に独り⽴ちして⼦供達と⽣きていくにはこれしかない! という気持ちと、⼦供達に通訳者として⽣計をたて、働く「かーちゃんの背中」をみて育って欲しい!という思いから受講を決めました。 

 

ちょうどコロナ禍真っ只中の時に、オンラインクラスの受講を開始し、通訳の奥の深さを知りました。

 

多少英語が話せても、通訳は全く別の 技術を要するということを痛感させられたベーシック講座での衝撃は今でも忘れられません。 

 

 

Q2: コロナ禍でのお仕事の変化、通訳業界がリモートにシフトする中で具体的にどのように⾏動されましたか?また、通訳者としての 働き⽅にどう影響していますか?

 

A: コロナ禍真っ只中に講座を受けはじめたのもあり、初めての通訳業務はアメリカでコロナ禍がひと段落したあとでした。

 

したがって想像の域をでませんが、通訳者のリモート通訳は通訳業界においてはもう珍しいものではなく、通訳スタイルの⼀つとして今後も安定していくよう に感じています。

 

会議ソフトウェアや技術周りに詳しい事、トラブルシューティング等もできることが、通訳者としてプラスアルファの強みに なっていくのではないかと思います。 

 

 

 通訳現場で感じた衝撃

 

Q3:最近、同時通訳デビューの機会があったとのことですが、どんな状況だったか詳しく聞かせてください。良かった点、反省点も含めて率 直な感想を教えてください。 

 

A: 大手のデータクラウドテクノロジー会社がラスベガスでサミットを⾏う際、キーノートスピーカーの同時通訳をブースの中で⾏いました。

 

直近ではグローバルのコンサル会社の社員トレーニングの会議でも同時通訳の機会もいただきました。 

 

ちょうどEJ講座を開始して3ヶ⽉ほど経過した頃、純⼦さんに初めてお声掛けいただき、同時通訳の現場⾒学と簡単なアシスタント業務をさ せていただきました。

 

実際にブース内で同時通訳をしていた純⼦さんを近くでみた時の衝撃・・・⾃分のミーハーを晒すのを覚悟でお話しし ますが・・・こんなに素敵でかっこよい職業があるのか・・・通訳されている⽅のインテリジェンスに溢れる姿や、スピーカーの意図した メッセージの中核を正確に伝え、⼈と⼈の間を繋ぐ重要な役割、クライアント様の⼒添えをさせていただいた結果、会議もスムースに運 ぶ・・・すごい!!わたしも⽬指してみたい!!と、⼼から憧れました。 

 

そんなこんなでキーノートスピーカーの同時通訳というのは、憧れの純⼦さんがやっていた仕事の、わたしの中での最⾼峰であったので、その機会が⾃分にやってきた時は、⼆つ返事でお受けしました。

 

 

 初めての同時通訳現場は緊張と恐怖!

 

しかしながら、同時にものすごく緊張・恐怖しました。幸い準備期間は⻑めに あったので、EJ講師のKen先⽣や純⼦さんに個⼈セッションをお願いし、具体的な勉強⽅法を伝授していただいたてなんとか全⽇程をこなすことができました。

 

準備期間中は、怖くて何度も逃げたくなりました。シングルマザーなので勉強の時間が限られる中、悪夢にうなされたり 不安になりながらも、とにかく準備するしかない・・・と勉強を必死に継続しました。

 

⽇程中は、経験豊かなパートナーの⽅にも⼤変助けら れ、クライアント様からも「わかりやすかった」という、ガッツポーズをとり続けたくなるような嬉しいコメントまで頂戴して、本当に素晴らしい経験をさせていただきました。

 

課題だらけではありますが、その課題がわかったこともまた励みとなり、ますます通訳を頑張りたい なぁ、と強く思いました。

 

通訳中、熱中しすぎてしまい、語尾が上げ上げになっているところがあったようで、クライアント様は聞きづらい部分があったのではと反省 しています。指摘してくれたパートナーにとても感謝しています! 

 

余談ですが、前職では不妊治療クリニックでのコーディネーター業務をする際に、通訳をすることはありましたが、通訳が業務においての主軸ではなかったので、訳出を継続した時の脳内CPUを使い切るような消耗の感覚に⾮常にびっくりしました。

 

会議通訳は、脳みその気⼒体⼒の仕事でもあると痛切に感じました。 

 

 

 講座での学びは現場ですぐに活かす

 

Q4: 講座で学んだことが通訳現場で役⽴っていると思いますか?具体的にどんなトレーニング内容や動画などの教材がためになりましたか? 

 

A: 講座で学んでいることは、現場で⾮常に役⽴っています。

 

現役で通訳をされている⽅々が講師をされているので、現場で使える本物の⽣ きたコツを教えていただいていると思います。

 

実際、会議中、通訳中、おお!これか・・・と思ったことが何度もありました。

 

正確であることも⼤切だが聞き⼿に優しい通訳であることや、話者からのメッセージをわかりやすく、エッセンスを伝えることの重要性など、とても⼤切 なことを教わっています。

 

宿題を通して繰り返し基礎を⾝につけることができますし、良くできている部分だけでなく改善点もズバズバと指摘していただくことで⾃分⾃⾝の癖を知ったり、実践さながらの練習ができるので、EJの講座に出会えたわたしは本当にラッキーだったなと思っています。 

 

 

 聞き手に寄り添える通訳になりたい
 

Q5: これからの時代に「クライアントから求められる通訳者」とは、どんな通訳者だと思いますか?プロとして普段から⼼がけていることは 何ですか? 

 

A: 今後は⽣成AI等のテクノロジーが席巻していく時代で、さまざまな職業が脅威に晒されていくという話をよく聞きますが、私は⼈間だか らこそできる、AIにはできない通訳というものがあると思っています。

 

これからの時代には、AIと共存・共⽣しながら⼈間の⼼に響くメッセージや⼤切なエッセンスを伝えることができるような、かつ聞き⼿に優しい通訳者が求められているように感じます。

 

聞いている⼈にわかりやすく、余計な負担がないような、そんな通訳者になりたいと思っています。

 

普段から⼼がけていることとして、隙間時間でシャドウイング、英語・⽇本語の発声練習をしたり、いろんな分野のYoutubeを聴きながら初⾒通訳をしてみたりと、技術を磨いて勉強を継続することはも ちろんのこと、訳出の声が通り聞き取りやすいように姿勢良く座るよう意識もしています。 

 

 

 講師や受講生仲間との繋がりに感謝

 

Q6: 現在通訳者を⽬指して頑張っている後輩たち、EJ Expertの会議通訳講座を受講しようと思っている⼈たちにぜひアドバイスをお願いし ます。 

 

A: 現時点では⾃分⾃⾝が後輩でしかないため、吹かす先輩⾵がゼロなのですが(笑)わたしはEJ Expertの会議通訳講座を受講して本当によかったと思っています。

 

繰り返しになりますが、現役通訳講師陣から教えていただけるアドバンテージとして、現場で活かせることを学べる という点で⼤きいと思っています。

 

また、講座ではオープンに質問をできる環境があり、それも恵まれていると思いました。

 

同じ志を持つ仲間ができることや卒業⽣の⽅との現場での交流も、⾮常に励みになっています。

 

尊敬する講師からアドバイスや指摘がいただけるというだけ で、本当にありがたい環境にあると思っています。 

 

 

Q7: 最後に今後のビジョンを教えてください。(通訳者としてどのように進化したいか、どんな分野の仕事をしたいか、など) 

 

A: 通訳における⾃分の課題を今後も明確化していくこと、そしてその課題の練習を地道に重ねて取り組んでいくこと!

 

聞き⼿に優しい、わかりやすい通訳者にまずはなりたいです。

 

実は格闘技ファンでもあるので、⽇本の格闘家が世界進出した時に、通訳をさせていただきたい・・・という野望ももっています(笑)。

 

もちろん、今は様々な通訳のお仕事をありがたく受けさせていただきたいので、お声がけをいただくだけで感謝の気持ちでいっぱいです。

 

 

 インタビュー編集後記

 

初めてお会いした時は、気遣いができて明るくて人当たりが良く柔軟に動ける人、さらに英語も日本語もネイティブレベルのバイリンガルで社会経験も豊富と通訳者としての素質は文句ない人という印象でした。

 

お子さんたちがいるシンママとして経済力をつけなければいけないという状況だったことが、むしろプラスに働いてほとんど通訳経験がない中でも清水の舞台から飛び降りる勇気につながっているのだと思います。

 

じつは受講生の中には年齢や家庭や経済的な事情などで「もうこれが通訳者になる最後のチャンス」という方は意外と多く

 

もう後には引けないプレッシャーをエネルギーに変えて前へ前へと進み続けます。

 

彼・彼女たちの特徴は、アップダウンを繰り返し失敗も伸び悩みも多く経験して… もうダメかと思っても必ず浮上してくる、その粘り強さです。

 

加奈子さんもその一人。会議通訳のプロとして成功する、そう覚悟を決めてとにかくあきらめないキラキラ

 

そういう強さと潔さを持っている人の後ろ姿はかっこいいし、微力ながら粘り強く!応援し続けたいと思っています。

 

冒頭に触れたとおり、加奈子さんは現在リモート社内通訳としても頑張っておられます。異例スピードでがんばっている姿を取り上げてもらおうと出版社にもお繋ぎした結果、なんと!

 

イカロス出版社の「通訳者翻訳者になる本2025」のインタビュー記事として掲載していただけました。弊社スクールについてもクレジットが記載されています。

 

 

詳細はぜひ読んでみてください!

 

 

加奈子さんには引き続き通訳案件の打診をしていますが、最近はスケジュールに空きがなく断られることも(苦笑)。

 

でもそれだけ活躍がすばらしいということなので私も嬉しい限りです!

 

弊社の通訳養成プログラムは、ベーシックからプロフェッショナルレベルまで多数の講師が長年の経験を活かして丁寧に指導を行っています。また、受講生に通訳デビューの機会を提供するプログラムも設けています。

 

2024年1月開始の今期はすでにスタートしていますが、途中入学や聴講やプライベートセッションのオプションもあります。通訳スキルの習得に興味のある方は、コーディネイターの角(すみ)まで sumi@ejexpert.com メールにてぜひご相談ください。

 

プログラム全体の詳細はこちらをご覧ください。