「ペンギン・ハイウェイ」をきっかけに読み始めた「ソラリス」(スワニスワフ・レム)をゆっくり読み終えた。
深遠なコンタクト・ストーリー。
ソラリスの「海」はペンギン・ハイウェイの「海」とは違うが、アイディアの元になっていることがよく感じられる。
「海」の描写の精緻さは勿論、架空の「ソラリス学」の歴史的変遷を記す筆致も本当に素晴らしい。
従来よく読まれてきた訳は原作のポーランド語からの直接訳ではなく、ソ連当局の検閲を見越して少し省略されたロシア語版からの重訳だったらしい。
この訳の沼野充義さんは、ソラリスを高校時代に読んだことがポーランド語学習のきっかけになったそうだ。
2015年出版なので、森見登美彦さんが「ペンギン・ハイウェイ」を書いていた頃はまだ出ていなかったことになる。
映画は2003年の「ソラリス特別編」(ソダーバーグ監督)を観たところ。
有名なタルコフスキーの「惑星ソラリス」はまだ観ていない。
ソダーバーグ版はエンディングが原作から大幅改変されていた。
娯楽映画としての後味は悪くないが、原作の持つ了解しにくい深さがシンプルなヒューマンドラマに書き換えられてしまっている。
タルコフスキー版は「160分以上ある+原作者レムは不満表明」なのでちょっと気が進まないが(笑)、せっかくなので観たい気もする。
ここで気が進まない映画の観方のコツを(笑)
いっぺんに全部観ようとせず小分けに観ます。
テレビドラマを観るように。
私自身は自分にはあまり合わない「千と千尋の神隠し」と「アヴァター」はこの方法で1日10~20分ずつ1週間くらいかけて観ました(笑)