診療所近くの共同売店でドリンクと小さなお土産を購入。
こうして旅先の商店でお金を落とすことも、自分なりの「感謝の形」だと思う。
冷えた飲み物を飲みながら、木陰で一息。
島の空気はどこまでも穏やかで、時間の流れが止まったように感じた。
再び車を走らせ、立神岩、軍艦岩(サンニヌ台)、そして東崎へ。
島の西端から東端まで、車ならわずか30分ほどの距離だ。
途中、道路を横切る与那国馬たちを避けながら、のんびりと進む。
東崎の馬たちは暑さを避けて木陰でじっとしている。
その姿を見ているだけで、この島の“静かな力強さ”を感じた。
道の途中、ふと見つけた小さな入り江「ダンヌ浜」に車を停めた。
目の前に広がる透き通った海。
波の音だけが耳に届く。
誰もいない砂浜で少しだけ深呼吸して、再びハンドルを握った。
🇹🇼 国境の島にて
島の西側へ戻り、いよいよ日本最西端の地へ。
風が頬を撫で、空はどこまでも青い。
海の向こう110kmほどに台湾がある。
「ここが、ほんとうの最果てか」と呟く。
長年の憧れだった地に立ち、胸の奥から込み上げてくるものがあった。
潮の香りと風の音。
旅の途中で何度も感じた「生きてる」実感が、ここでひときわ強くなる。
ぱいかじ──南風が心地よい。
🌙 夜の与那国、味の記憶
宿に戻ってシャワーを浴び、洗濯を済ませたら、近くの居酒屋「海響(いすん)」へ。
聴覚障害のため、宿の方に予約をお願いしておいた。感謝。
この店は、ドラマ『Dr.コトー診療所』にも登場している。
第一話で彩佳さんが黒糖を貰った、あのクリーニング屋が「海響」だ。
扉を開けると、漂う香ばしい香りと温かな空気に包まれる。
まずはオリオンビール。
グラスが冷たく曇り、泡が立つ音だけで幸せを感じる。
喉を通る瞬間に“あぁ、今日もいい一日だった”と思う。
次に運ばれてきたのは、カジキの刺身。
キリッと冷えた身に、海の塩気と旨味が凝縮されている。
長命草の白和えは、ほろ苦さと豆腐のやさしさが絶妙。
あーさ(あおさ)とごぼうの天ぷらは、衣がサクッと音を立て、噛むと磯の香りがふわりと広がる。
そして、島の名物「花酒」。
度数60度、まさに島の魂。
喉に火をつけるような熱さが通り抜け、体の奥から力が湧いてくる。
“これが与那国の強さなんだな”と実感する。
花酒の後は、島らっきょうをつまみながら、地酒「波声」と「海渡」の炭酸割り。
爽やかな香りと微かな苦味が、旅の終わりの夜にぴったりだ。
車海老のぷりぷりとした食感、自家製のとうふようの濃厚な旨味。
どれも“派手さではなく、誠実なうまさ”がある。
最後の締めに迷いながらも、店の方に勧められて「あーさのお茶漬け」を選ぶ。
ほのかに塩気を含んだスープに、磯の香りが重なり、まるで海を飲んでいるような味わい。
体の芯までやさしく染みていく。
「海響」という名のとおり、波の音のように静かで、心に響く夜だった。
宿に戻ると、布団に入った瞬間に眠りに落ちた。
潮の香りと泡盛の余韻を感じながら──
明日もまた、与那国の風を感じよう。
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