6時に起床してシャワーを浴びる。
昨夜のうちにパッキングを済ませていたので、残りの荷物を整えて忘れ物のチェック。
冷たい「ゲンキクール」を一気に飲み干す。八重山エリア限定のこのドリンクの、あのほんのり甘くて爽やかな後味が“離島旅の朝”にぴったりだ。
7時ちょうどのホテルの朝食を済ませてチェックアウト。
与那国行きは10時発。
空港までは路線バスで向かうことにした。
まだ人通りの少ない朝の石垣島。車窓の外には、出勤途中の人たちや港へ向かうトラック。
「どんな場所にも、日々の暮らしがあるんだな」と、昨日の居酒屋のお姉さんの話を思い出す。
空港に着き、荷物を預けてから少し余裕ができたので、石垣旅の恒例“マリヤシェイク”。
マンゴーとパッションフルーツのトッピングを加えて、トロピカルな香りに包まれる。
南国の甘さと冷たさが喉を通るたび、石垣と波照間島、小浜島で過ごした日々の余韻が蘇る。
やがて搭乗時刻。
人生初のプロペラ機に乗り込むと、エンジン音が低く響いて胸が高鳴る。
石垣から与那国へ──たった30分のフライト。
海の向こうに見えてきたのは、最果ての島・与那国だ。
🐟 海と風のランチタイム
到着後、「あびゃん」のスタッフと合流し、宿兼レンタカー店へ。
数分のドライブの後、小さな集落の中にある宿に到着。手続きを済ませて荷物を置き、まずは港へ向かう。
そこは、あのドラマ『Dr.コトー診療所』でシゲさんたちが働いていた漁港。
昼時だったので、ドラマで組合事務所として使われていた建物にある食堂へ。
オーダーしたのは「刺身定食」。
運ばれてきた瞬間、思わず息をのむ。
ピカピカと光る地魚の刺身盛り合わせ、熱々でサクサクのカジキの竜田揚げ、そして磯の香りがふわりと広がるもずく。
ひと口目で、言葉が出ない。
刺身は歯を入れるたびに、海の甘みがじゅわっと広がる。
竜田揚げは衣の軽やかな音が心地よく、噛むと中からカジキの旨味が溢れる。
窓の外には、陽光を反射して輝く港の海。
潮の香りと魚の旨味、風の匂いが混ざり合って、まさに“与那国の味”そのものだった。
🩺 Dr.コトーの世界へ
食事を終え、港を後にして車を走らせる。
目指すは──あのドラマ『Dr.コトー診療所』の舞台、比川集落の診療所。
道中、潮の香りが濃くなり、視界の先に与那国馬の群れが見えた。
白い雲、青い空、ゆったりと草を食む馬たち。
ドラマで見たあの風景が、今、現実の景色として目の前に広がっている。
ハンドルを握りながら、自然と頬がゆるむ。
“コトー先生も、この道を自転車で走ったんだよな…”
そんなことを考えながら、緩やかなカーブを抜けると、見覚えのある白い建物が見えてきた。
診療所の向かいには、新しくできた公衆トイレ。
駐車スペースに車を停めて外に出ると、蝉の声と潮騒が重なる。
強い日差しに包まれた建物は、まるでドラマの時間をそのまま閉じ込めたようだ。
入場料を払うと、出てくるのは“診察券”。
「患者」として診療所に足を踏み入れる瞬間、少し胸が高鳴る。
中は驚くほどそのままだ。
診察室には木製の机とカルテ棚、白衣を掛けたハンガー。
窓の外に見える海は、あの頃のままの青さで輝いている。
病室のベッドに腰を下ろすと、潮の香りとともに懐かしい台詞が心によみがえった。
「先生…この島に来てくれてありがとう。」
コトー先生、彩佳さん、和田さん、シゲさん──
あの島の人々が紡いだ温かさが、建物の隅々にまだ残っている気がした。
診療所を出て、しばらく建物の外に立つ。
風が髪を揺らし、遠くで与那国馬の鳴き声が響いた。
23年前に放送されたドラマが、今も多くの人の心に残る理由がわかる気がする。
海と風、そして人の温もり。
与那国という島そのものが、ひとつの物語なんだ。
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