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拉致問題/対北包囲網を強化せよ

 北朝鮮に拉致された横田めぐみさんの夫が韓国から拉致された男性であることが、男性の家族のDNA比較鑑定の結果、判明した。拉致問題で日韓協力の基盤ができたことを歓迎したい。

 また、めぐみさんの母が近く訪米し、米下院で証言する。拉致問題で国際世論を喚起する、またとない機会を生かすべきだ。

米国の対北姿勢に変化
 六カ国協議の北朝鮮首席代表と外務省のアジア大洋州局長との会談が東京で行われた。

 北代表は終始にこやかだったが、“拉致問題は解決済み”の基本姿勢は一歩も譲らなかった。拉致家族会の人たちが「北代表は厚顔無恥な態度に徹すべく、わざわざ東京にやってきたのか」「謝罪の言葉は一切ない」など怒りをぶちまけたのは当然だ。

 家族会は「米韓中ロの四カ国代表は被害者の帰国がない限り、北への援助はあり得ず、圧力を強化するとの日本の立場を理解してもらいたい」との声明文を読み上げたが、賛成である。政府に認識してほしいことは、今こそ拉致問題で対北包囲網を強化する、またとないチャンスであることだ。

 その理由に、米国の対北姿勢が人権問題を前面に打ち出す方向に変わってきたことがある。

 これまで米政府は対北対話路線を重視してきた。しかし、北が核放棄問題を先延ばしにして時間稼ぎをする一方、偽ドル札づくりやマネーロンダリング(資金洗浄)、麻薬取引などの国家ぐるみの違法活動に加えて、拉致被害者が東南アジア、中東、欧州諸国にも広がっていることが判明したからだ。北が「犯罪国家」である以上、自由、人権拡大を外交の基軸とするブッシュ政権としては対北姿勢を転換せざるを得なかった。

 ブッシュ大統領は一般教書で圧政国家の一つとして北の名を挙げ、北の人権抑圧問題を担当する大統領特使を新設した。米国務省は今年の「人権報告書」で、独裁による「組織的な抑圧体制」を厳しく批判するとともに、日本人拉致問題についても言及した。

 また、米国のシーファー駐日大使は新潟市を訪れ、横田めぐみさんが拉致された現場を視察した。これらは、拉致問題についての米政府の関心の高まりを示すものとして注目される。

 今月末には中国の胡錦濤主席が訪米し、米中首脳会談が行われる。米政府の人権問題大統領特使は、米国による北の難民受け入れの可能性を示唆するとともに、中国が脱北者を強制送還したことに重大な懸念を表明した。自由と人権の問題が米中首脳会談の主要テーマの一つになると予想される。

 米政府は中国が「責任ある利害関係者」になることを期待しているが、この点からも拉致を含む北の人権問題についても話し合われる可能性がある。

 米政府は金融制裁に続く第二弾として、米国民や在米企業による北船籍船舶の所有と船舶保険の引き受けを禁止した。一連の制裁がボディーブローのように効いているためだ。北との対話は圧力が背景にあってこそ意味があるとの認識が広まっていることを歓迎する。

 日本国内では、拉致被害者と家族の支援組織「救う会」が韓国在住の脱北者が金正日政権の問題点などを放送しているラジオ「自由北朝鮮放送」の支援に乗り出している。金総書記の考えを動かさない限り拉致問題は前進しない。

日韓支援組織にも注目
 警察庁による事件捜査とともに日韓による支援組織の活動の拡大にも注目したい。

社説

【社説】北に強制拉致された金英男さん、是非送還を

日本人拉致被害者横田めぐみさん(死亡と主張)の夫が、高校生だった1978年に韓国で拉致された金英男(キム・ヨンナム)さんという日本政府の発表は非常に衝撃的だ。

この驚くべき内容は彼ら夫婦の娘と金さんの親の遺伝子検査結果で明らかになったものだ。16歳という幼い生徒を拉致して対南工作教官に育てた北朝鮮政権のやり方にも言葉が出ないほどだ。

拉致事実が明白に表れた以上、北朝鮮は認めて、謝罪をすべきであろう。「捏造」云々言って片付けようとすることではない。

何より今回の事件をめぐる韓国政府の無責任な対応や態度が国民の怒りを買うだろう。日本は自国民の拉致に対して北朝鮮の最高統治者の自認、謝罪をさせている。

日本はここで止めなかった。めぐみさんの娘と会って、遺伝子検査に備え、彼女の髪の毛を確保する機敏性を発揮している。「キム・チョルジュン」という北朝鮮人がめぐみさんの夫だと通報を受けると彼にも会って関連資料を得た。彼が78年ごろ韓国で拉致された5人のうちの1人だという情報を手に入れると、彼ら親の体細胞も提供してもらった。これほどに執拗で緻密に対応した結果、彼の身元を正確に明らかにできたのだ。

一方、韓国政府はもみ消すのに汲々としていた。「拉致被害者家族の集い」がキム・チョルジュンは韓国人という情報を与えたのに、確認するどころか目をつぶった。日本政府から正式な通報を受けてからも「実は確認後、対策を用意する」というのんきなことばかり言っている。

日本は4年にわたって南と北を往復し、自国民の身元確認と送還のために方々走っている間、韓国政府は「南北関係改善障害」とばかりうたってきたのだ。自国民の保護という国家の1次的義務をこれほどまでに疎かにする政府は「政府」といえない。日本を含む国際社会が韓国政府をどう見るか恥ずかしくないのか。

28年間、末の息子を思って血の涙流していた老母が「死ぬ前に息子と孫娘に会いたい」と絶叫した。政府は拉致された英男さんを送還するのにあらゆる手段を動員しなければならない。北朝鮮も最小限、人道主義次元ででも決断を下してほしい。


2006.04.13 08:05:55
Japanese JoongAngIlbo

北が首脳会談で出した「キム・チョルジュン」って誰?

 「キム・チョルジュン」って一体何者? 政府が実施したDNA鑑定で、横田めぐみさん=失跡当時(13)=の夫は、1978年に韓国から拉致された、金英男(キム・ヨンナム)さん=同(16)=である可能性が極めて高いことが分かった。そこで浮上するのが、2002年9月の日朝首脳会談で、北が「めぐみさんの夫」として出してきた「キム・チョルジュン」なる人物の正体だ。消息筋は「2人は別人」との見解で一致しているのだが…。

 めぐみさんの娘、キム・ヘギョンさん(18)と金さんの家族に血縁関係がある確率は最高99・5%とみられる。政府は今後、韓国政府へ拉致問題解決に向け、協力要請を強める方針だ。

 金さんは高校1年だった78年8月5日、韓国西部の全羅北道の自宅近くの島・仙遊島(ソニュド)に海水浴に出掛けたまま行方不明になった。

 北朝鮮は韓国人拉致被害者「拉北者」については、事実を認めて謝罪した日本側への対応とは異なり、「存在しない」との主張を貫いている。

 「キム・チョルジュン」氏は、自ら「自国の特殊機関勤務員」と身分を明かしている。だが、消息筋は「拉北者を特殊機関につけるはずはなく、金さんと『キム・チョルジュン』は、別人と見るのが妥当」との見解を示した。

 実際、04年11月の第3回日朝実務協議で、日本側が「キム・チョルジュン」氏に対し、ヘギョンさんとの親子鑑定をするため、毛髪などの提出を求めたところ、「特殊任務機関にかかわっている」との理由で拒否。写真撮影さえも拒否したが、別人という理由ならば、すんなり理解できる。そもそも拉致被害者と北朝鮮の人間が結婚した例は聞かれない。

 また、政府関係者によれば、ヘギョンさんと「チョルジュン」氏は、親子で日本代表団の前に現れたが、丁寧語で会話し、よそよそしかったという。

 北が02年の日朝首脳会談で、拉致を認めて謝罪した際にも、めぐみさんについては死亡したとの説明を貫いてきた。詳細については「入院後に自殺」としていたものの、死亡時期の説明は何度も覆され、遺骨も偽物だったことが判明している。

 めぐみさん自身についても、「生存の可能性が高いとみられる1つの証拠ではないか」(先の消息筋)との見方も浮上しており、あまりの嘘八百ぶりに「経済制裁もやむを得ないのではないか」との声も出ている。

 【DNA鑑定】体細胞のデオキシリボ核酸(DNA)を構成する塩基配列の特徴から個人を識別する鑑定方法。DNAは親から子、子から孫へと受け継がれるさまざまな遺伝情報を持つ。同じ配列の出現頻度を調べることで、現在では1億8000万人に1人の精度で個人を特定でき、犯罪捜査や親子関係鑑定に利用される。DNAは細胞の核内にあるので、血液、唾(だ)液(えき)、毛髪、へその緒などから細胞が採取されれば鑑定可能。今回は横田めぐみさんの長女キム・ヘギョンさんと韓国人拉致(らち)被害者・金英男さんの家族の毛髪、血液などからDNAを得た。

ZAKZAK 2006/04/12
ZAKZAK