◆前回までのあらすじ
前回の記事では、
・預貸率とは?
・本当に貸出の中身は大丈夫なのか?
・延滞率が低いから大丈夫?
ということをお伝えしていきました。
スルガ銀行の決算発表会見によると、
シェアハウス投資については、
返済が滞った時に備えて引当金は十分に積んでおり、
実際に返済が滞っても大丈夫。
また、シェアハウス投資オーナーの延滞率は「30%」に対し、
シェアハウス投資以外の投資では、
延滞率はわずか「0.5%」と低いとしています。
シェアハウス投資以外の融資は、
ほんとうに大丈夫なのでしょうか・・・?
◆スルガ銀行の貸倒引当金の中身
決算では、貸倒引当金を次のように見積もっています。
<シェアハウス関連融資先>
実質与信費用:947億円
貸倒引当金:1,362億円
<投資用不動産ローン>
実質与信費用:92億円
貸倒引当金:303億円
まず最初に分かることは、
シェアハウス関連融資先に対しては、
貸倒引当金を1,362億円積んでいるということです。
シェアハウス投資への融資総額は、
2,000億円以上とされていますので、
70%以上が焦げ付くと想定して保全しています。
たしかに「フル保全」と有國社長が言っていることも、
うなずけます。
一方で、シェアハウス投資以外の収益不動産への融資は、
貸倒引当金303億円に過ぎません。
収益不動産への融資は1兆9千億円とも言われており、
十分に保全されていると言えるのでしょうか・・・?
◆ここ5年の融資案件はほぼ危険!?
僕は不動産投資関連のセミナーを毎月開催し、
コミュニティを運営していることから、
日々いろいろな情報が入ってきます。
相談希望の方には、
面談を受けることもあります。
ここ5年、相談を受ける方の多くが、
想定していたような収益を出せていません。
特にスルガ銀行や西武信金から、
ここ5年以内に融資を受けいている人は、
ほぼ高値掴みをされてしまっています。。。
スルガ銀行の行員は、
第三者委員会の調査に対して、
「100件あったら99件は不正」
と答えていたほど不正が蔓延。
不正で融資を受けた案件のほとんどが、
この先何十年と返済していけるかどうか、
かなり危険な案件ばかりなのです。
(リスクに気がついていない人も大勢います。)
◆まるで茹でガエル状態。。。
かぼちゃの馬車のようなシェアハウス投資は、
約束されたサブリース賃料が、
相場家賃とかけ離れていたため、
サブリース賃料が停止となり、
即返済が滞る事態となりました。
一方で、シェアハウス投資以外の収益不動産は、
賃料収入でなんとか返済をしていけてしまうところに、
大きなリスクをはらんでいるのです。
新築ワンルーム投資のように、赤字を垂れ流しても、
なんとかやっていけてしまうのです。
まるで茹でガエルです。。。
ただし、設備が壊れたりして、
多額の出費が発生したらたちまちアウトです。
ですから、ある時点で、あるタイミングで、
回らなくなる案件が頻発するのではないかと。
おそらく今から10年以内に。。。
その時は、シェアハウス投資どころの騒ぎではありません。
◆ムーディーズが「B2」に格下げ
格付け会社・ムーディーズ・ジャパン株式会社は、
2018 年(平成 30 年)11 月 19 日に、
スルガ銀行を「B2」に格下げしたことを発表しました。
~ リリース一部抜粋 ~
スルガ銀行を B2 に格下げ、見通しはネガティブ
スルガ銀行特有のビジネスモデルの持続可能性は、不確実性が高い。このビジネスモデルは、2018 年
3 月末時点で同行の総貸出残高の約 60%を占める投資用不動産貸出を中心とし、他行より高い利益の創出を可能としていた。
金融庁により、2019 年 4 月 12 日までの半年間、新規の投資用不動産貸出の停止命令を受けたこと、お
よび同行の承認条件違反が幅広く行われていた事実が明らかになったことから、同行がコア業務の再編を行うことは困難を伴うだろう。
~ ここまで ~
ムーディーズの格付け定義によると「B2」は、
「高い信用リスクと投機として判断される」
とされています。
どこまで信用性があるのかは分かりませんが、
かなり危険が高いと判断されていることは、
間違いないです。
◆いざという時に備えておくことが必要
スルガ銀行から融資を受けている方や、
株主を一様に不安にさせる意図はありません。
しかし、以前にもお話ししましたが、
スルガ銀行の貸出内容は今、
急激に悪化しています。
融資残高や預金残高の急激な減少を見る限り、
優良な案件は他銀行へ借り換えられ、
にっちもさっちもいかない案件だけが、
残されていっている現状から分かります。
来年4月までは新規融資もできません。
売上も上がりません。
いざという時に備えて、
それ相応の対応を取っておくことが大切だと、
感じている次第です。
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