◆NHKクローズアップ現代にて放送
昨夜(2018年10月10日)、
NHKクローズアップ現代にて、
「追跡!スルガ銀行問題 ~超低金利時代の“闇”~」
が放送されました。
放送の前半では、
・スルガ銀行で行われていた不正の実態
・かぼちゃの馬車オーナーのその後
・スルガ銀行で日常茶飯事的だったパワハラ
・スルガ銀行の営業部門が暴走した構図
といったところが報じられていました。
◆えっ?その不動産投資、大丈夫?
そして、番組後半では、
ある女性不動産投資家について、
取材をしていました。
記者「すごいかっこいい車ですね。」
女性「不動産をやり始めてから買った。お金を貯めて買った。」
現在、3棟のマンションを所有している◯◯さん。
部屋はすべて満室です。
この女性は不動産投資を始めて、
良いクルマを買い、
生活が豊かになったと笑顔で答えます。
まるで不動産投資の成功モデルのように、
番組で紹介をされていました。
◆女性投資家の所有物件収支の中身
不動産投資の1つの成功モデルのように
番組で取り上げられていた女性投資家。
しかし、その投資の中身を見て、
少々不安になりました。。。
この女性は、2億3500万円のフルローンで、
3棟のマンションを購入します。
3棟がすべて満室になれば、
毎月の家賃収入は合わせて144万円。
ローンの返済や諸経費86万円余りを差し引くと、
手元には毎月57万円余り残る計算です。
整理すると以下のようになります。
───────────────────
<物件の収支状況>
満室時想定年収:1728万円
満室時想定月収:144万円
融資額:2億3500万円(フルローン)
金利:1.5% ※予想
融資期間:35年 ※予想
年間支払額:864万円
月支払額:72万円
年間経費:168万円(経費率10%)※予想
月間経費:14万円
⇒ 表面利回り:7.35%
⇒ 実質利回り:2.91% ※手残りより計算
◆もろもろ経費が抜けていない?
「えっ?これまずくない???」
上記の数字をみて、
そう思われた方はレベルの高い方でしょう。
ここから先を読まなくてもいいかもしれません。
そうです、
税金(固都税)や火災保険、地震保険など、
経費がもろもろもろ抜けいていないでしょうか?
経費は、取材内容から予想して計算しましたが、
おそらく税金や保険の費用が入っていません。
管理料と共用部だけなのではないでしょうか。
おそらく取得税に関しては、
消費税還付で回していることでしょう。
一方で、マンションですから固都税は相応に高くなります。
マンション規模が分かりませんが、
仮に購入金額2億3500万円のおおよそ0.5%が固都税だとしても、
「120万円/年」「10万円/月」がかかります。
また、火災保険や地震保険の費用も、
経費に入っていないでしょう。
さらに、エレベーターがあれば、
保守点検費用も入っていないでしょう。
将来の大規模修繕に向けた積立修繕費用も入っていません。
番組では、毎月の手残りは57万円とのことでしたが、
細かく経費を積み上げていくと、
良くて30万円程度の手残りではないでしょうか。
(さらに下回る可能性も・・・)
2億3500万円の借金をして、
月30万円の収入はどうなのでしょうか?
割に合いますでしょうか?
しっかりと勉強されていらっしゃる方のようなので、
問題はないと思いますが・・・。
◆発言から感じる危うさ
また、この女性投資家の発言からも、
危うさを感じてくるのです。。。
たとえば、3棟すべて満室だと紹介された時に、
「“満室”にこだわらないと、賃貸事業として成り立たない。」
という発言をされています。
たしかに上記のようなカツカツの収支だと、
満室でないと成り立ちません。
しかし、「30年以上ずっと満室」なんてことは、
絶対にありません。
このマンションがどのエリアにあるかは不明ですが、
最低でも空室2室は予め見込んでおかないと、
これからの賃貸業では回りません。
さらに、新築時の家賃で満室想定しているとしたら、
危険度は増します。
家賃は必ず下落します。
「“満室”にこだわらないと、賃貸事業として成り立たない。」
ということは、違った言い方をすると、
「“満室”じゃないと、賃貸事業として成り立たない。」
ことになってしまっているのではないでしょうか。
2億3500万円の借金をして、
30年以上空室に怯えながら暮らすのが、
果たして不動産投資の成功なのでしょうか・・・?
割に合いますでしょうか?
しっかりと勉強されていらっしゃる方のようなので、
問題はないと思いますが・・・。
◆さらに危険な考え方
さらにこの後、女性投資家は、
危険過ぎる発言をするのですが・・・
長くなったので次回に続きます。
(つづく)
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