◆スルガ銀行の株価は下がる一方
相変わらず、かぼちゃの馬車の事件が明るみに出てから、
スルガ銀行の株価は急落し続けています。
グラフで見ていただくと分かりますが、
1月より急降下をしています。
1年10ヶ月ぶりの安値を更新し、
下落率は22%に達したとあります。
~ 記事一部引用 ~
スルガ銀 1年10カ月ぶり安値 融資焦げ付きを懸念
21日の東京市場でスルガ銀行の株価が1877円と、1年10カ月ぶりの安値を付けた。シェアハウス「かぼちゃの馬車」を運営するスマートデイズ(東京・中央)が物件所有者への賃借料の支払いを突然停止した問題で、スルガ銀の物件所有者への融資が焦げつきかねないと懸念されているためだ。年初からの株価の下落率は22%に達した。
スルガ銀はスマートデイズに関する融資残高などを公表していないが、同行の貸出金のうち個人向けローンの比率は9割に達する。SMBC日興証券の佐藤雅彦氏は20日付のリポートで、2018年3月期から19年3月期にかけ与信費用が200億円弱増えると試算する。17年3月期の純利益が426億円のスルガ銀にとって小さくない額だ。
(2018/2/2 日本経済新聞より)
~ ここまで ~
この記事の中で「与信費用」という、
聞きなれない言葉が出てきます。
「与信費用が200億円弱増えると試算」
与信費用とは、簡単に言ってしまえば、
貸出金などの債権が、
将来回収不能となった場合の備えたるための費用や、
回収が不可能となり確定した損失を計上する費用とあります。
つまり、かぼちゃの馬車オーナーなどへの融資が焦げ付き、
回収不能になったときに備える費用ということです。
しかし、記事では200億円弱となっていますが、
どうでしょうか・・・?
かぼちゃの馬車オーナーだけで700人以上。
それ以外にも類似のシェアハウス投資で、
300人近くのオーナーが破綻 or 破綻しそうになっており、
その数は1000人を超えるとも言われています。
1人1億円の借り入れだとしても、
1000億円となりますので、
200億円弱の与信費用の見込みで、
足りるのでしょうか・・・。
◆スルガ銀行へ調査のメスも入りだす
実態を把握するために、
スルガ銀行はかぼちゃ馬車オーナーへ、
聞き取り調査を開始しているようです。
~ 記事一部引用 ~
シェアハウス投資トラブル、スルガ銀が実態調査
女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」への投資を巡るトラブルで、建設資金の大半を融資しているスルガ銀行が実態調査を始めた。所有者(オーナー)に家賃保証していた運営会社が家賃の支払いを停止。700人以上が融資返済に窮する事態に陥っているため。融資先への聞き取りなどを通じ、自行の貸し付けが適切だったかなどを詳細に調べる。
スルガ銀は今週から融資先である所有者にアンケートと聞き取り調査を始めた。時期は未定だが、自己調査で融資の実態を把握したうえで、結果の公表も検討する。この問題に関わっている加藤博太郎弁護士は「破綻することが明らかな詐欺的スキームに金融機関が多額の融資をつけたことは問題だ」と指摘している。
(2018/2/23 日本経済新聞より)
~ ここまで ~
しかし、あくまでもスルガ銀行が独自で行っている調査であり、
その実効性はどうなのでしょうか・・・。
「公表も検討」となってはいるものの、
果たして公表はされるのでしょうか・・・。
◆スルガ銀行はどんな銀行なのか?
今回のかぼちゃの馬車の事件をきっかけに、
すっかり悪者のイメージが付いてしまったスルガ銀行。
しかし、私たちサラリーマン不動産投資家にとって、
スルガ銀行は有り難い存在でもありました。
2008年から2009年にかけて、サブプライムの影響で、
どの銀行も不動産投資への融資を渋りました。
他行が横並びで融資を渋る中、
スルガ銀行は、積極的に融資を行いました。
首都圏在住在勤のサラリーマンが、
地方で高利回りの収益物件を購入するには、
融資という高いハードルがありましたが、
それを取り払ってくれたのがスルガ銀行です。
当時は、比較的状態の良い物件が、
利回り20%を超えて売りに出されているものもありました。
不動産投資成功の重要な要素の1つは、
「イールドギャップ」です。
金利4.5%であっても、利回り20%あれば、
イールドギャップは15%以上あるので、
まったく問題無いわけです。
しかも、地方とはいえ、
賃貸需要のあるエリアを見極めれば、
ちゃんと入居付けすれば満室になります。
首都圏で、利回り10%で買うよりも、
よっぽどリスクが少なく、儲かるのです。
(他の銀行が、このことをもっと理解して、
融資してくれるといいのですが・・・)
スルガ銀行で融資を受けることによって、
あっという間に家賃収入が1億円を超え、
セミリタイヤできた人も少なくありません。
こちらの記事にも、
スルガ銀行の革新的な部分が紹介されています。
~ 記事はこちら ~
給料地銀トップ!スルガ銀行「結果につなげる経営会議」はここが違う
静岡県の地銀2番手ながら、全国区の知名度を誇る。その背景には社会の変化を見通す眼力と旺盛なチャレンジ、IT技術の活用があった。オーナーと経営陣が議論を重ねて進める異形の経営の本質。
(2017/9/22 週刊現代記事より)
~ ここから ~
◆どこで狂ってしまったのか?
しかし、今回のかぼちゃの馬車を始めとした、
シェアハウス投資への融資は、完全に誤った方向でした。。。
どこで歯車が狂ってしまったのでしょうか・・・?
いろいろと原因は考えられると思いますが、
大きな原因の1つは「個人融資への傾倒」だと、
私は考えています。
上記の週刊現代の記事にもありますが、
スルガ銀行は「法人を融資を捨て」、
「個人への融資」へ大きくシフトしています。
融資全体の9割が個人向けローンとのこと。
個人融資への傾倒には、
いくつか問題点が出てきます。
1つ目は、コンプライアンスが効きづらいということ。
法人に比べて、個人だと歯止めが効きづらいです。
銀行の関与はまだ不確かではありますが、
不正が次々に明らかになっています。
法人であれば、意見する役員や従業員もいるでしょう。
会計担当もいるでしょうし、
1人オーナーの法人であっても、
税理士が関与します。
ですので、
個人に比べて不正が難しい(それでも不正はありますが)ので、
一定の歯止めはかかります。
だからこそスルガ銀行が、
歯止めにならないといけなかったのですが・・・
2つ目は、「事業ではなく投資に融資」したことが原因だと、
私は考えています。
「これから株式投資をするので、お金を貸してください。」
と個人が言っても銀行は融資をしてくれません。
不動産投資には銀行は融資をしますが、
かぼちゃの馬車は不動産投資 or 賃貸業とは、
とても呼べるものではありません。
ちょっと調べれば誰でも分かるのですから、
金融のプロである銀行であれば絶対に分かります。
今回の件は、スマート社の行うシェアハウス事業に対して、
サラリーマン個人が投資しているようなものです。
形を変えた未公開株投資のようなものです。
一時期は一部上場も見据えていたそうですから・・・(汗)
(厳密に言ってしまったら違いますが)
そこにスルガ銀行は融資をしてしまったことが、
大きな原因なのでははいでしょうか。
◆地方高利回り物件への融資
かぼちゃの馬車事件をきかっけに、
さまざまな問題が明るみになっています。
一部のかぼちゃの馬車オーナーには、
スルガ銀行が金利の引き下げやリスケ交渉も始めていると言います。
ただ、かぼちゃの馬車オーナーだけ特別に金利を下げて、
既存の顧客の金利を下げないわけにはいきません。
不公平が生じてしまうからです。
スルガ銀行はかなり難しい決断を迫られることになります。
今まで通りに融資をするわけにはいかないでしょう。
地方高利回り派の私としては寂しい限りです。
もし不正が行われていたり、
どこかに問題があるようであれば、
いち速く是正して欲しいなと考えています。
そして、首都圏在住在勤の投資家が、
地方の高利回りの物件に融資を理解してくれる銀行が、
もっともっと増えて欲しいと願っている次第です。
そうすれば地方再生にもつながるのですから...