物事は基本に立ち返れば立ち返るほど難しい。
正しい運歩とはなんなのでしょう?正直僕にはまだまだ全然わかりません。
ここでいう「正しさ」とは、
『通常道場で教えてもらう一般的な方法』や
『教範に記載のある方法』
という意味ではなく、
『人体構成上もっとも合理的な方法』であるとか
『他の技を活かし、少林寺拳法の思想をもっとも反映させた動作』
と考えています。
『少林寺拳法的正しさ』を形式主義的に考えるのであれば『教範に記載のある方法』が唯一の解になるんでしょうけど、僕自身はそういうスタンスではないので・・・あしからず。
以下、蟹足で右に動くとした場合の動作について。
まずはさまざまな方法について列挙してみようと思います。
・『通常道場で教えてもらう一般的な方法』では「左足で地面を蹴って右に移動」でしょうか。
・『教範に記載のある方法』によると『横に差込足で動く。例えば右足を右横に踏出して、左足を寄せ又右足を右側に出す。』とあります(通常の方法と違いますね)
※ちなみに初版の教範にはそもそも蟹足の記載はありません。
・講談社スポーツシリーズの『少林寺拳法』(絶版)によりますと
「横に差込足で動く。例えば、右前の逆丁字立ちの場合、右足を右横へ踏み出し、すばやく、左足を引き寄せ横に転位する。」(左右を実際の記載と逆にしてます)とあります。最後の部分が教範と違うようです。
・「はじめよう!少林寺拳法!」では・・・・あれ?運歩自体の記載が・・・ないです。初心者向けの本にこそしっかり書いていただきたいのに。
・『秘伝少林寺拳法』は明快ですね。『横に差し込み足で動く。』です。
ここまで来ると、「じゃあ差込足は?」と思うのが通常ですが、話が脱線してしまうのでやめておこうかと思います。
要は、同じ団体の出している書物でも書きぶりは違うし、したがって示している動作も違う。
そして物によっては道場で教えている形とやっぱり違うように思える。
さらにさらに、道場での教え方は道場によってまちまちなので、一貫性はない。
「本部での指導方法」というものをこの比較の中に入れたとしても、結局結論は変わらず「何が正しいのかわからない」となるのだと思います。
開祖が生きていれば開祖に聞くというのが「少林寺拳法的正しさ」の一番の答えだったのかもしれませんが。
(開祖自身が、自分のイメージしているものが体現できていないという可能性もあります)
さて、人体構成的に正しい方法ってじゃあなんだ?
それは僕にはまだまだ検討もつきません。
それこそ、
「大きく動くにはこの方法が一番」
「速く動くにはこの方法が一番」
「力を使わずに動くにはこの方法が一番」
「相手に意識されずに動くにはこの方法が一番」
「次の動作にスムーズに移行するにはこの方法が一番」
「もっとも突きの威力を上げるためにはこの方法が一番」
・・・・
と、さまざまな価値基準での一番があり、これらを同時にこなすことは不可能です。
となると、TPOに応じて『正しい』運歩法は変わる、ということかもしれません。
もしくは、「少林寺的思想」にのっとり、合理性からは離れつつも、一つの価値基準を採用し、無理やり「少林寺拳法の正しい運歩」を決めてかかるのかもわかりません(僕はそんなものに興味はないけど)。
少なくとも今練習している運歩は、踏込足を行い(地面は蹴らない。重心も移動しない)、そこに重心を移動し、最終的に寄足を行うというものを練習しています。
これは、重心移動を伴うので「突き蹴りがスムーズに行える」「相手がこちらの動きを捉えづらい」というメリット(とくに後者がおいしい)がある一方で「地面を蹴らないので移動範囲が狭い」というデメリットを抱えています。
接近した状態、相手の攻撃を捌くための運歩としては有用だと思っています(そんなに大きく動く意味がないので)。
しかしこれも方法のうちの一つ。これも学んだ上で、あとはTPOをわきまえた「運用法」の世界の話になるのでしょう。先は長い。