演奏とトレーニング
演奏の為に筋トレは必要なのでしょうか?
という似たような内容のご質問を頂きました。
ちょっと話は遠くの所から始まりますが……
ピアノの講師さんにエレクトーンを教えることがあります。
またその逆も。
その時良く思うのですが、経験年数が少ないほど
その楽器に座る姿勢が悪いのが皆さん共通項目です。
でもそれは当たり前。
ピアノとエレクトーンでは座るとき使う筋肉が違うのです。
・椅子の高さ
Pfは低い ELは高い
・身体を支える支点
Pfは両足の踵 ELは腰
・腕の構え
Pfは平鍵盤 ELは左右の手の高さ・前後の位置が違う
こういった楽器の特徴から来る身体の使い方は
何年もその楽器に座ることによって付いた筋肉とは
違う筋肉の強さを要求されます。
本当は時間を掛けてその楽器と仲良くなるしかないのですが、
学校の勉強と両立しなくてはいけなかったり、
お仕事をしていたりでなかなかその時間を
稼ぐことが出来ません。
私もそうです。
楽器に向かえる時間は、譜読みや指自体のトレーニング
音作り(Pf・ELに関わらず)に使いたい。
そうなるとピアノならハノンを何時間も掛けて弾くことは
できません。
そのために、楽器が無くても出きることは別口でやってしまえ、
少し乱暴な言い方ですが、そういうことになるわけです。
またプロに成ろうと思えば(講師であれ演奏家であれ)
たった一曲しか弾けない、では話になりません。
レパートリーとしての数もそうですが、
数曲続けて弾き続ける体力も必要になります。
Pfを長時間弾きこなそうと思えば、指や上腕、
音量を出そうと思えば強靱な指と背筋が必要です。
ELなら例えばセカンドペダルの使用時や両足奏法、
など不安定な姿勢で演奏し続けなければならないとき、
背筋、腹筋が弱いとぐらついて、大事な表現に関する
タッチトーンのコントロールやエクスプレッションペダルの
使用に問題が出てきます。
ピアノはもちろんですが多彩でリアルな音を持つ
ステージアを操ろうとすると、指をしっかり立てたまま
つぶれないで弾ける手が必要になります。
これは各指の付け根、親指とこゆびの根本の筋肉が
強くないと綺麗な音が出ません。
試しに左手の平でいわゆる「卵を中に入れた形」を
作ってみてください。
そしてそれを思い切り右手で押さえつけてみます。
どうですか?
どの関節も内側に凹んだりしませんか?
ここで凹んだ部分がある人は、その指の筋力が
不足していて、綺麗な音が出にくいのです。
必ずしも筋トレをしましょうということを言いたいわけでは
有りません。
自分に足りない部分があって、効率よくそれを補強できるなら
やってみる価値はあると思いますよ、ということです。
・ピアノの音がか弱い、または粒が揃っていない方
指そのものの筋力が不足しています。
ペダルで誤魔化す前に自力で音をキープできる
指にする必要があります。
・両足若しくはセカンドペダルを使うとぐらつく方
腹筋・背筋が不足していて身体の芯だけで姿勢を
保つことが出来ないからです。
慣れるまでは少し深めに椅子に座っても良いでしょう。
但し脚の可動域は多少犠牲になります。
自分の弱点を克服すると新しい演奏が見えてきて
練習が楽しくなります。
一人一人トレーニングをしなければいけないことは
違います。
まずは自分の身体と対話してみてください。
疲れたり故障が多い部分は特に弱い部分だと
認識すると良いと思います。
以前に何冊か、トレーニングの本も、また器具も
ご紹介しています。
自分に何が必要かを良く見極めて効率よく
身体を作っていただければと思います。
余談ですが私の尊敬するエレクトーンのお師匠は
毎日一回ハノンを一冊弾くそうです。
ピアノのお師匠は一日5キロ毎日朝から
走るそうです。
それをサボらず出来ること自体がその先生方の
演奏を常人の私たちとは違うレベルに押し上げて
いるのでしょうね。
当たり前のことですが楽器の音を出すのは
私たちの身体です。
前回の記事の知識や分析力ももちろん大事ですが
最後にそれを音にする媒体で有る身体を
もっと私も知っていきたいと思っています。
観念的なお話になりましたが、ご自分に当てはまると
思うことをぜひ試してみてください。
