認知行動療法と出会ったことは僕の人生にとってかなり大きかったと思います。
- 認知行動療法に取り組んだ経緯
- カウンセリングでのやり取り
- 自分の思考を客観視するためのトレーニング
- 取り組んでみた感想(←いまココ)
クリニックでのカウンセリングは2年近くに及びました。
今回は、その取り組みを通じての僕なりの感想を書いてみたいと思います。
かなりパワフルな思考メソッド
若いうちに認知行動療法に触れられて良かったなと思います。
ものは考えよう
出来事と感情の間に、自分の思考というものが介在しているということを学べたのは、その後の生き方に大変役に立ちます。
感情と思考(あるいは理性)というのは対立するものだとも思われがちですが、
その感情も、何か自分なりの理屈があって生じるのもの。
なんだ、ものは考えようというだけじゃないか、と思われるかもしれませんが、
「そう、じつは世の中、そういうものだ」
と理論的に教えられるというのは、理屈っぽい自分にとっては大きかったです。
後で知ったのですが、専門的にいうと、ABC理論というそうです。
出来事(Activating Event)を、自分の思考や信念(Belief)で解釈して、その解釈を基に感情や行動(Consequence)が現れる
(参考)ABC理論~出来事に対しての考え方で感情が変わる<SoftAtWork>
人間はそうやって生きているのだと、心理学の知見が教えてくれます。
これは、ずいぶん後になって学んだ仏教にも通じるものがありました。
そしてその為に、長年にわたり積み上げられた心理学の理論や技術が、構造化・体系化されたメソッドを用意してくれてます。
初めは専門のカウンセラーや精神科医など、専門的な知識と技術を学んだ方について取り組んだ方が絶対にいいと思いますが、ある程度訓練をつけてもらうと、自分でも日常生活の中に取り入れることが出来ます。
自分を見つめる
またそうやって自分の思考を振り返ることで、自分というものを見つめ直す練習にもなったように思います。
自分の思考はこういうクセがあるなぁと分かっておくと、それを知らずに毎日を過ごしその中で感情の波に翻弄されることがあっても、
「いや、待てよ」
と、ちょっと立ち止まって考えられるようになった気がします。
また、カウンセリングで学んだ随分とあとに、自分の思っていることや不安をノートに書きだしていくという、一種のジャーナリング(書く瞑想)に取り組んだのですが、その際に昔やってた認知療法を思い出しました。
汎用性が高い
認知療法は徹底的に自己を懐疑してみるということにもつながりますが、その際に合理的に詰めて考えるという練習にもなります。
これはメンタルヘルスだけでなく、仕事の中でも生きてくると思います。
いま取り組んでいるプロジェクトについて自分の思っていること・考えていることを洗い出して、それを第三者の視点で客観的に検証していく。
そういうメタ認知的なメソッドの訓練にもなったような気がしています。
もともと慎重で心配性な性格の自分は、リスクマネジメント的に仕事を検証する際や、プロジェクトマネジメントを行う際にこういうメソッドが役に立ちました。
合う・合わないはある
他方で、やはり個人差で合う合わない、効果が出る出ないはあると思います。
先ず、かなり頭を使うので、急性期のうつ症状の人は避けた方がいいと言われます。
そういう時期は「何も考えない」というのが一番の薬のように思います。
急性期から回復して、ある程度日常生活を送れるようになってから取り組むべきだと思いますし、
また、私の場合は力点が少なかったですが、毎朝定時に起床するとか散歩するとか等の「行動」療法の部分を取り入れる方がいいと思います。
さらに、理屈っぽい自分にはフィットしたのですが、いろんなことを考えるということが苦手な人も多くおられると思います。
そもそも一回行うのに時間がかかりますし、その間に自問自答しながら思索を深めるので、そういう取組みが面倒臭くかんじられるかもしれません。
カウンセリングで行うとお喋りの延長線上として位置付けることも出来ると思うので、やはり専門家についてみることが最良だと思います。
セルフでもできるけど先ずはカウンセラーと
もともと「自動思考」というくらい、自分では無意識のうちにそういう方向で思考してしまうクセを直そうというものですから、そのクセを指摘してくれたり修正のヒントを与えてくれるカウンセラーと、ある程度の期間は、一緒に取り組むべきだと思います。
また、自分で思考を掘り下げていく場合にはリスクもあります。
望ましくない方向に思考が巡っていったり、自動思考がかえって固定化されてしまう場合も大いにあると思います。
カウンセリングは敷居が高いと思われる場合は、信頼できる友人や家族を相手に、自分の思考を開陳して、それにアドバイスしてもらうという方法もあると思います。
ただ、やはり専門的な教育や訓練を受けていないと、いくら友人として相手をしてあげてても、つい自分の考えを押し付けたり、傾聴できなかったりと、うまく行かない場合が多いんじゃないかと思います。
最近は、オンラインでカウンセリングしてくれるサービスが増えましたので、精神科を受診することが億劫な人はそういうサービスを利用することも一手だとも思います。
でも、やはり望ましいのは、先ずは精神科を受診して、認知療法を受けるに適した時期か、薬物の併用が必要な状況ではないか等々を、しっかりと診断してもらうことだと思います。
(私がかつて受診していたクリニックの診察室)


