前回のまえがきを
見逃している方のために
簡単な自己紹介を。
海外生活17年目。
(前回15年を過ぎようとしてる
と書きましたが、ちゃんと計算したら
すっかり過ぎていました、、、汗)
脳内から引き出せる言語は
日本語、英語、ドイツ語、デンマーク語
ちなみに
埋まったまま出てこないのは
スペイン語です。



今日は英語のお話しですね。
英語は嫌いでした。
中1の時に
be動詞と一般動詞が
分からなくて
パニックになってから
嫌いでした。
でも、
大学は英文科。
夢は映画の字幕翻訳者。
もっというと
大学院も英語必須の専攻でした。
それでも
英語は苦手でした。
英文科に進んだのは
苦手なものを克服したかったから
だと思いこんでいました。
でも今になって気づいたんです。
本当は英語が好きだったんです。
小さい頃に母が買った
子ども向けの英語のカセットを
何回も何回も再生して
妹と聞いた時のことを
いまだに思い出せるのです。
好きじゃなかったら
翻訳者になりたいなんて
思いませんよね。
じゃあ、
何が嫌いだったのか
それは学校英語だったのです。
点数になって
競ったり
合格か不合格の材料にされる
英語ではなくて
わたしの好きな英語は
何も分からなくても
子どものころに
何度も聞いたテープから
心に描いた
カラフルな世界だったのです。



話しはドイツに飛びます。
2003年のこと。
ドイツの大学院で
研究を続けられることになりました。
そこでは
論文は英語で書くわけなんですが
生活のために
ドイツ語を勉強し始めたら
、、、
私の脳内は
見事にぐちゃぐちゃに!
もともと苦手意識があった英語ですから
これ以上恥をかきたくないと
思ったのでしょうか
ただ単にサボりたかったからでしょうか
私の脳はなんと
英語を封印してしまったのです。
その後10年ほど
ドイツ語圏に住んだのですが
英語を話そうと思うと
ドイツ語と混ざったり
まったく出てきてくれず
英語人生史上
これまでにない闇時代。
英語の翻訳の仕事はできても
なにしろ喋れない。
大学院の研究は
教授が合わなくて
やめてしまったし
英語に対する後ろめたさは
募るばかり。
すっかりあきらめていました。



そして
2014年、デンマークに
引っ越すことになりました。
人生って
何が起こるか分かりませんね。
デンマーク語が話せない
私にとって
命綱が英語になったのです。
さらに
デンマーク人は英語が上手。
英語ができれば
基本的な生活は満足に
送れます。
人間の脳って
生活がかかると
必死になるんですね
あれだけ
口から出てこなかった英語が
ちゃんと出てきたのです。
誰かに分かってもらえること
誰かと分かり合えることが
心から嬉しくて
英語に感謝しました。
私が耳にする英語は実にさまざま
北欧人の英語
ドイツ人の英語
イタリア人の英語
中国人の英語
フィリピン人の英語
クセの強い英語ばかりで
英語圏のネイティブの英語を聞く方が
稀なくらいです。
私も含め非英語圏の人は
決して素晴らしい英語を話す
わけではないけど
コミュニケーションのツールとして
英語は新しい命をもらっているのです。



ここに来て
原点に戻ってこれたかな
という気がします。
子どものころに
初めて抱いた
英語への憧れに
とても近い形を
今、手にすることが
できています。
「若い時の方が脳がやわらかいから
たくさん吸収できる」
というのは嘘なんじゃないかと思います。
たくさん吸収したように
思うのは
勉強する時間がたくさんあったから。
そして、子どもなりに
生活がかかっていたから。
そんな気がします。
大人になったら
純粋に好きという気持ちを芯にして
時間を工面したり
(使わずにはいられない)環境を作ったり
自分にあった学習方法を
続ければ
英語に限らず他の言語も
ちゃんと話せるようになるはずです。
楽しく勉強できるのは
大人の特権です。



すっかり長くなりましたが、
言語はナマモノ
使わないと廃れていきます
それは母国語でも
同じです。
なまけたがる脳に
「好きなことをしてるのだから
幸せだな〜」
ぐらいのことを言い聞かせて
4言語チャンポン生活を
楽しみたいと思います。
次回は
いつまでたっても伸びない
ドイツ語力について。
by sen
from Denmark