![]()
「ねえ、マヤちゃん・・・まんマルは、どうして龍になったと思う?」
「たった一人で、退屈だったからよ」
なんの迷いもなく、少女は即答するのだった。
「そうね、きっと、宇宙だって、一人はつまらないんだよね。
・・・ねえ、あの男の子、本当はマヤちゃんと一緒に粘土したいんじゃない?
一緒にやろうよって、言ってみたら?」
「いいの別に」
「二人で作ったら、また別の宇宙ができるかもしれないよ」
「・・・ねえ、お姉ちゃん。よく覚えておいて。
ひっくり返っている子は、こっちから誘っても無駄なのよ」
少女は大人びた表情をする。
「それじゃあ、マヤちゃんは、誘われるのを待っているの?」
「ううん、ぜんぜん違う。ひっくり返っている子の仕組みはこう。
たとえば、自分がやりたいと思っていることを、誰かから誘われたら、絶対に断るの。
それは、100パーセントの確率なのよ。
もし、ひっくり返っている子が、だれかに誘われて、なにかしてたら、
それは、本当はやりたくないことなの」
「随分めんどくさい子ね。最短距離を進めないじゃない?」
「それだけじゃないわ。
ひっくり返っている子は、だれかがいいものをつくれば、破壊しようとするのよ。
だけど、本当にやりたいことを、自分からはやりたいとは絶対に言わない。
だからね、ひっくり返っている子が、本当に粘土をやりたいとしたら、誘っても無駄だし、向こうから誘ってくることも絶対にないの。
以上。これが仕組みよ」
「マヤちゃん、すごい分析力だね。それなら永遠にあの子と一緒に粘土できないじゃない」
とても幼稚園児の発言とは思えない人間分析力だった。少女は黙々と粘土をやりながら、人間の動きを観察し続けていたのだろう。
(続く)