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「・・・わたしは、わたし。わたしは、未来のあなた自身よ」
「そう・・・時計を巻き戻してここにきたわけね」
全く驚きもせず、さも当たり前のことのように少女は言う。
「マヤちゃんには、どうして、それがわかるの?」
「時計だって正面から見れば時計回りだけれど、裏から時計を見れば反対に回っているから。時間を巻き戻すのって、これと同じ原理を使うのでしょ?」
少女はどこまでも透明な声を発している。
「ねえ、マヤちゃん、お姉ちゃんも粘土を一緒にやってもいい?」
「いいよ」
こうして二人は、しばらく一緒に粘土で遊んでいた。教室にいる先生も、子供たちも、未来からやってきたマヤの姿が見えないようだった。しかし、粘土を破壊した少年だけが、未来のマヤのことをジッと見つめいている。逆回転の少年には、未来からきた人が見えるのだろうか?
時間を逆回転してここに来たのだから、逆回転の少年にはその姿が見えてもおかしくはないのかもしれない。もしかしたら、あの少年も未来の時空から・・・?
そんな疑問がよぎった瞬間に、少年は慌てて後ろを向くと、奇声を張り上げながら駆けて行ってしまった。
(続く)