Don't Worry, Be Happy! -20ページ目

Don't Worry, Be Happy!

この宇宙の神秘、地球の歴史ってどうなっているんだろう。

気が向いたときに、気になったことを書きとめています。

ブルーハート  グリーンハート  ブルーハート  グリーンハート

 

 

「ねえ、マヤちゃん、この続きはどうなるの?」

「宇宙の続きを聞きたい?」

「聞きたいなあ」

「ここから先は、条件によって、いろいろなことが起きるけれどね・・・」

 少女は意味深なことを言うと、すくっと立ち上がり、あたりを観察していた。

「・・・ねえ、あそこに、女子をいじめてる男子がいるでしょ?
あの子は、ひっくり返っている子。
好きな女子をいじめたり、綺麗なものを見ると破壊したり、反対のことをしたくなるの。
今から面白い実験をするから見てて・・・」

 少女は完成した粘土の壺をテーブルの真ん中に置いて振り返ると、

「わーい、できた、できた!」と両手を上げて大はしゃぎをしてみせる。

 子供達が集まってきて、「わーきれい」「カッコイイ」「これなあに?」とみんな同時に話している。すると人垣をかきわけ、一人の少年がつかつかとやってきて、完成した壺をゲンコツで叩き潰して立ち去ってゆく。 

 あたりは騒然となり、泣き叫ぶ子や、奇声を張り上げる子、先生に言いつけに行く子、大笑いをする子、少年を追いかける子・・・、荒れ狂う竜巻のような渦の中心で、少女は平然とした顔をして、グシャっと潰れた粘土のかけらを拾い集め、再びきれいなマルを形成しようとしている。


 

 

 

 

 

(続く)

 

 

宇宙の羅針盤<上>ー22を超えてゆけ 3ー より

ブルーハート  グリーンハート  ブルーハート  グリーンハート

 

 

 

「ほら、見てて。
テーブルの真ん中に、この龍を置くと、テーブルが半分に分けられるでしょ」

 少女は丸いテーブルの真ん中に、ひも状の粘土を置きながら話している。

「すごいねマヤちゃん。これは宇宙を分割する線なんだね」



少女はひも状の粘土の端をテーブルの真ん中に置くと、ぐるぐると渦巻きを描くように器用に巻きつけていく。

「龍はね、自分のシッポを追いかけているうちに、渦巻きになっちゃうのよ。
ほらね、まんマルが線になって、線が渦巻きになったの。
・・・ねえ、渦巻きの次はどうなると思う?」



「球体が線になって、線が平面になって、平面が・・・・どうなるのかなあ、マヤちゃん教えて」

「うん、いいよ。教えてあげる。渦巻きは空高く伸びていって、壺になるのよ」

 少女は渦巻きを高く伸ばして、壺を作りはじめた。

「わー、面白いね」

「ううん、ここまでは普通のお話。ここから先が、もっと面白いの」

 少女はいたずらっぽい目をする。



「早く続きが聞きたいな。教えて教えて」

「いいよ。あのね、渦巻きには二種類あるのよ。
時計と同じにまわる渦巻きと、時計と反対に回る渦巻き・・・
でもね、知ってる? 粘土で渦巻きを二つ、作らなくてもいいのよ」

 誰にも言えない秘密の話をするように、少女は小さな声でささやいた。



「どうしてなの?」

「だって、フライパンの上で、渦巻きのホットケーキを焼いて、裏返してみたら、渦巻きは反対まわりになるでしょ」

「ああ、そうか」

「ねえ、見てみて。壺の中の渦巻きと、外の渦巻きは反対にまわっているのよ」

 少女は壺の中の渦巻きの方向と、外からツボを見たときの渦巻きの方向を、指でなぞりながら得意そうに説明してゆく。

「本当だね」

「それとね、この壺は、上から見れば凹みみたいに見えるけど・・・
下から見れば出っ張りなの。
ね。ひっくり返っているだけで、もともと同じものなの。
オスとメスは裏返っているだけで、もともとは同じ。
宇宙はプラスとマイナスでできているんだって」

 少女は粘土の壺を持ち上げながら、いろいろな角度から見せてくれた。

 

(続く)

 

 

宇宙の羅針盤<上>ー22を超えてゆけ 3ー より

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「マヤちゃんは、どんな宇宙を作っているの?」

「わたしね、宇宙がどうやって生まれたか、宇宙誕生の物語を作っているの。
でもね、先生やみんなに宇宙の話を教えてあげても、だれもわからないみたいなのよ。
粘土は粘土だって・・・宇宙じゃないって」

「ねえ、マヤちゃん、どうして宇宙誕生の物語を作っているの?」

「うん。生まれてくる前にね、白いひげのおじいさんに教えてもらったの。
この物語を忘れちゃいけないよって、おじいさんは言ってたの。
だから、忘れないように粘土でつくっておくのよ。」

「そうかあ。白いおじいさんが教えてくれたんだね。ねえマヤちゃん、お姉ちゃんにも、宇宙の物語を聞かせてくれる?」

「いいよ」

 少女はあっさりとそう答えると、小さな手のひらを前後に動かしながら、粘土の塊をひも状に伸ばしてゆく。そのひもはどんどん長くなり、両手を広げたくらいの長さになった。

「これ、なーんだ?」と少女は尋ねるので「これは、ひもかな? それともヘビかな?」と、マヤは答えるのだった。

「ううん、これは龍なの。こっちが頭で、こっちがシッポ」

「ああそうかぁ。龍なんだね」



「でもね、本当はね、龍じゃないの。名前がないから、みんな龍と言ってるだけ」

「じゃあ、本当はなあに?」

「これはね、本当はね、宇宙を分割する線なの」

「宇宙を分割する線?」

 一瞬、ハッとして耳を疑った。


 

(続く)

 

 

宇宙の羅針盤<上>ー22を超えてゆけ 3ー より