Don't Worry, Be Happy! -18ページ目

Don't Worry, Be Happy!

この宇宙の神秘、地球の歴史ってどうなっているんだろう。

気が向いたときに、気になったことを書きとめています。

ブルーハート  グリーンハート  ブルーハート  グリーンハート

 


少女のやわらかい髪をなでながら未来のマヤはこう言うのだった。

「ねえ、マヤちゃん、いいこと教えてあげようか。
大人になると、粘土がかたくなるように、心も、体も、頭も感性も、みんなかたくなってしまうの。子供のうちは、やわらかい粘土みたいに、どんな形にも自由になれるんだよ。だからマヤちゃんも、やわらかい、ふわふわの粘土のうちに、いろいろなことをやってみようよ」



「へえー、人間って、粘土みたいなんだね」

 少女は顔をあげて、好奇心に満ちた瞳でこう尋ねるのだった。

「・・・ねえ、未来はどんな世界になっているの?」

「そうね・・・マヤちゃんみたいに、宇宙のお話を覚えている子供たちが、もっともっと、たくさんいるのよ」

「そうなんだぁ。未来も捨てたものじゃないのね。
じゃあ、もう少しここにいてみてもいいかな・・・未来のお姉ちゃんのためにもね」

 少女は大人びた言葉を発しながら、粘土を半分にちぎり、小さな手を差し出している。

「・・・え? マヤちゃんの、大事な大事な粘土をくれるの?」

「そう、未来のわたしに粘土をあげるの。
粘土がね、どんどん小さくなってちゃうのは、未来の人に分けてあげるからなの」

「・・・」

「今のわたしは未来に行かれないけれど、粘土は未来に行かれるかもしれないでしょ。
これは実験」

「OK、実験してみよう。実験の結果は、21世紀にね」



 粘土を受け取り、立ち去ろうとすると、少女は慌てて呼び止めて、最後にこう言うのだった。

「・・・ねえ待って! まんマルが、どうして龍になったか、わかったよ!
まんマルはね、宇宙を半分、未来に分けてあげたの・・・」

 少女の瞳は全くぶれることなく、遥か未来の一点をまっすぐに見つめていた。



 次元の扉からキラキラと微細な音が聴こえている。
 ・・・未来でまた会いましょう。
 ・・・きっとだよ。
 少女に別れを告げて、再びもとの座標軸へと戻っていく。

 

 

 

 

ブルーハート  グリーンハート  ブルーハート  グリーンハート

 

(引用おわり)

 

 

宇宙の羅針盤<上>ー22を超えてゆけ 3ー より

ブルーハート  グリーンハート  ブルーハート  グリーンハート

 


「・・・ねえ、お願い、私を未来に連れて行って」

 少女はマヤの服をつかみ、真剣な表情で見上げている。

「ごめんね、マヤちゃん。それは無理なの。できないのよ。でも、どうして未来に行きたいの?」

「・・・だって」

 少女は下を向いたまま、しばらく黙り込んでいた。そして、目にいっぱい涙をためながらマヤのことを見つめると、心の底から振り絞るような声を出す。

「見てよ。なんでわたしが、こんな子供たちと一緒に、幼稚園児をやらなくちゃいけないの?
先生も大人たちも、みんな子供じみてる。ここはわたしの居場所じゃない。
ねえ、お願い。未来に連れて行ってくれないなら、生まれた星に連れて帰ってよ。
この星で子供を生きるのは、苦痛でしかないんだから・・・」

 マヤは思わず、少女を抱きしめていた。

「マヤちゃん、ありがとう。あなたが、この星で生き抜いてくれたから、未来のわたしは存在しているのよ。マヤちゃんは、未来のわたしのなかで、生きている。ずっと一緒に・・・。わたしはどんなことがあっても、あなたの未来だから大丈夫・・・」

 窓辺には穏やかな陽射しが差し込んでいた。その光は薄いヴェールなようになって闇を包み込み、見るものすべてがキラキラと輝きを放っていた。

 

 

 

 

(続く)

 

 

宇宙の羅針盤<上>ー22を超えてゆけ 3ー より

ブルーハート  グリーンハート  ブルーハート  グリーンハート

 

 

「そうかもね。
ひっくり返っている子は、私より先に粘土をはじめるしか方法はないかもね。
だから、なんでも一番にやりたがるのよ。
でもね、これは粘土だけの問題じゃない。

お姉ちゃん、いいこと教えてあげる。
ひっくり返っている子は、大切な人を苦しめてしまうという本当の意味はね・・・
一番好きな子とは遊べなくても、好きでもなんでもない子から誘われると平気で遊ぶの。
それが人類愛だと思っているみたい。だって自分が一番苦しんでいるんだから。

そんなことをしていても、心が満たされることは永遠にないでしょうね。
早く目を醒まして、ひっくり返っていることに、自分で気づくしか方法はないのよ」

 少女は聖母のような微笑みを浮かべ、一人の少年のことを見ている。確かにひっくり返っている子のまわりには、不自然なくらい女の子がたくさん群がっていた。誰にでも優しいという仮面の下には、傷つきやすく繊細な心があり、一番好きなこととは遊べない哀しみが見え隠れしているようだった。



 やがて、教室のチャイムが鳴り、子供たちはケタタマシイ声を張り上げている。先生は走り回る子供たちを捕まえようとしている。子供たちはおもちゃを片付けたり、ものを投げたり、片づけたすきからひっくり返す。「みんな急いで教室に戻りなさい。早く!」と先生は言っておきながら、転んだ子供に向かって「走るから転ぶのよ」と叱りつけている。この指示系統には、明らかに矛盾点があり、ここは無法地帯かと思うほど、そうそう示唆のボルテージが最高潮に達している。

 そんなさなか、少女は粘土をきれいなまんマルにまとめて、無表情のまま帰り支度をしているが、ふと気がついたように手を止めた。

 

 

 

 

 

(続く)

 

 

宇宙の羅針盤<上>ー22を超えてゆけ 3ー より