「高額時給制アシュトレト」感想(そのいち) | 未来に向かって ~旅立ちの朝~

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演劇企画 heart more need

「高額時給制アシュトレト」



作演細川さんの「体質」にも負けず、

良い天気の中で公演が終了しました!(笑)



早速感想を、と思いつつ、

正直、僕の手(頭w)に負える作品では全然ないのですけど、

周りの人の感想だと、すごい人だらけ!って思えちゃうのですけど、

でもでもなんかこう書かずにはいられなくって(^^;

僭越ながら、書かせて頂きますはい。

それぐらい、もう、すごすぎた作品でした。


細川さん作品らしく、観終わった後のこの…

心に濃~~~~い「靄」、が掛かった状態w

感想の整理が難しくて読みにくさMAXかもしれませんが、

どうかご容赦を!




●ざっくりあらすじ


まずは公式のあらすじを

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

シングルマザー 葦原幸子(さちこ)は、娘の親権、養育権を取り戻すために、収入のよい仕事を探していた。


とある高額アルバイトの広告に惹かれて面接を受けるが、特殊な研修を受けることになる。

「一週間後にもう一度いらしてください。それだけで結構です。いらしてくだされば、相応の時給をお渡しします」

意味不明…数日後、幸子は突然、見知らぬ男に襲われる。が、必死に抵抗し、男に手傷を負わせる。


一方、大学生 高宮幸子(ゆきこ)は、友人の借金返済を助けるために高額アルバイトを探していた。


たまたま見つけた「とある高額報酬の仕事」…それは、ふたりを日常から死と暴力のるつぼへといざなう。幸子と幸子は思わぬ才能を開花させ、自分の知らなかった自分を見つけることになるが…

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


そして自力の


↓↓↓


様々お金に困った者たちがふと目にする、

「高額時給制」

と書かれた怪しいバイトのビラ。

そのバイトは参加した者同士が刺客となって殺し合うものだった。


金のために始めたバイト。しかし・・・

途中でやめることもできるわけがなく、

舞台を降りるには刺客に殺される以外になく、

刺客を殺しては、高額時給を受け取ることを繰り返す。

そうしているうちに、

表向きは一般人として過ごしていながら、

人を殺すことに心を麻痺させていくのだった・・・




ってところでめずらしくホントにあらすじのまま終了w

この作品は文字化すると全然伝わらない!!

行間で読ませるものが多すぎる?

完全にまるまる文章化して伝わるかトライしてみたいと思ったけど、

複雑すぎて何年かかるか分かんないから諦めモードw



とりあえず付け加え。このバイトの狙い。


戦いの女神を作る呪詛…らしい。

近代日本で危険思想とされ徹底弾圧された宗教団体(的なもの)、

その残党が今なお潜伏していて、

市井に溶け込んだ形で戦いの準備を進めてる的なものですはい。


まあ背景はともかくとして、これに参加しちゃうと、

人が「堕ちて」行く様を見られてしまう訳ですね。

「大金」と「殺し合い相手」がこう…次々来て、

否応なしに続けるしかなくて、

そうして行くうちに心が本当に麻痺してしまうような。

そんな感じです。



さてそれでは感想に。



●初日を終えて最初に

まず思ったのは「怖い」という一言で、

全てを表現できる気がしたってところ。

様々な意味の怖さの表現がこの作品には詰まってるなって。


・心を失って行く怖さ

・人が堕ちる、心を失う、その仕組み自体の怖さ

・こんなくっそ怖いことが「ごく日常の」ことでしかない雰囲気の

 怖さを表に見せないけれど本当の危険さを持つ者の怖さ

・シンプルに「その筋の人」の怖さ

・小悪魔臭ぷんぷんの賢い女性の怖さww

などなどぱっと挙げてもいろいろ。


だから初見感想は

ただただ「怖い」で表せると思う作品

でした。

最近ついった止めてるから書いてないけど、

これ、ホントはすっごい書きたかったんすよねw



この戦わせるシステムはいわゆる「蠱毒」というのはすぐ感じました。

古代中国かなんかでの、ひとつの入れ物にいろいろな毒虫系を入れ、

共食いさせた結果、最後に残ったやつがすごい毒を持つ…みたいの。

改めて調べたら、最後に残ったやつは神霊になるのだそうな。

そしてタイトルにもなっているアシュトレトもまた神。

公演前に調べたときは豊穣多産の神となっていたので、

最初は一瞬ピンと来なかったのですが…

佐和さんによって語られますが、戦いの女神なのだそうで。

そして、

「女神を作っている」

「人を呪詛にする呪い」

つまり、勝ち残った最後の女性が「女神」であり、

それはある意味での殺人マシーンと化した一般人であり、

それこそが呪詛であると…そんなものを作っていると…


初日終わった直後は、真実が何かはまだわからず、

佐和さん、五味、碓井、彼らのバックというか所属?

それがなんなのかなど、気になる点は多々あり、

気持ちはそこにやや引っ張られていました。


ただ佐和さんの上記の言葉がきっと本当なのでは?と感じはして、

そしてさらに、じっくり自分で振り返ってみる中でやっぱり、

バックがどうとか考えるよりもずっと

『人間が堕ちて行く様という怖さ』をしみじみ感じるような?

しかもその堕ち方がまた強い自己主張をしているわけでないような?

ごくごく自然なもので、日常のすぐ隣にひっそり佇んでいるような?

流れに乗ってしまえば誰しもスルっと簡単に行けてしまいそうな…

なんですかね、ありふれた日常と隣り合わせという描かれ方に見えて、

だからこそとてもとても怖く思えるようになりました。


本来の目的もぽやっと忘れ、

ただ当たり前の日常のように、

殺すことと金を受け取ることを繰り返す。

抜け出したい、でも抜けられない。

疲れてもう終わりにしたいと思ってはいても、

ある種ただの惰性になっている?とも思えるのに、

生きるために自然に身体が動いて戦ってしまうかのよう…


ここまできてしまってはもう戻れないという恐ろしさ。

一体どこで踏みとどまることができたのだろうか…

そこを考えてしまうのです。

一度入った時点でもう殺される以外に道はないのだろうけども…。


吉岡くんは、金目当てではなかったからこそ、

最初の扉を開けきることができなかったのかもしれないね。

まあ…彼と同じように最初の時点で躓くものは、

実際もっと多くいるのでしょうけれども…。




●怖さだけでなく…

なんか笑っちゃうところも多々。

本当に不思議というか巧いというかすごい。

この静寂と張り詰めた空気であふれた作品で、

なぜ客席がワッと湧きあがることさえある不思議。

それだけでなく笑って良いのか良くないのかの狭間で、

必死に笑いを堪えてプルプルさせられてみたり、

思わずにやにやが止まらなくなってみたり。

実に巧みに絶妙に、狙って面白くしているところも、

自然に笑えるようになってしまったところも、

あったのではないかと思っています。



事務所?での佐和さんと五味のやりとり。

これは割と分かりやすいと思うけど、でも絶妙な怖さを醸し出す中、

がっつり笑えるのはやはりすごい。


それからさちこを狙ってミスる吉岡。

比較的最初の方にあるかなりの緊迫だと思うけど、

反撃されて痛がる吉岡と、むしろごめんなさいみたいなさちこ、

ここでなぜか分からないけど可笑しくなるし、

なんなら自分が観た二度目の機会では客席から結構な笑い声。

なぜ、、なぜこれが笑えてしまう?という自問自答。


吉岡殺害シーンは、殺すまでのおふざけがやはり。

ただここはもう笑いだけで語れるものではないですね、

シーンとしての起伏がすごい。


ゆきことの面接だったか、

AV男優w五味の詰問に対して、

窘め…る?かどうかで心が揺れてるのか手が揺れる佐和さんとか、

吉岡をぼっこぼこにする縣の声の大きさを窘めて、

それでもまだ全然声が大きいことに何か言いたげな五味の左手とか、

これもまた細かく挙げて行ったらキリがなさすぎるレベルですね。


あ、、五味は塩崎さんが怖すぎて、怖すぎて怖すぎて、

あまりに怖すぎてもう笑うしかできない、、の心境にもなりましたw



そしてやはり

緊迫しきったはずの場面のなかでのM82星雲!w

あのおもしろさは、あれ単体じゃ生まれないだろうなあ。

佐和さんのどこまでも日常の中に存在している感。

完全に「非日常」の存在なのにどこまでも「日常」、

もはやこれは超非日常とでも言えば良いのだろうか…

ぐるっと回って日常に戻ってくるw

そんな常に肩の力が抜けている様をずっと見せられてきたから、

あの尋問シーンがどこまでも自然なやり取りで、

緊迫のはずなのにそれを見せずに笑いさえ…

というものになってるのでしょうね。

もちろん僕の大嫌いな

「展開からいって不自然な言葉」

などでは全くない。


「今のうち言っといた方が良いですよ」

みたいに碓井がひそひそ声でささやきかけると

『どうなるのー』

とやはりひそひそ声で返すのとかね、何あの面白さ!

とんでもない会話なのにそう思えずに、思わず笑う!

こんな巧いやり取りどこから生まれるんだ本当に。


そこからのM82星雲もね、その時点で笑えるのに、

やめたい気持ちを正直に話す佐和さんと

それを、おもしろーい!と「無理やり」続けさせる碓井とか、

お願いですから真剣にやってください、

と頼みたくなるレベルの面白さ!

なぜあの場であんなふまじめなやり取りができるのかというね。

むぅ…これもまたひとつの「怖さ」じゃないかとさえ思えてきた。

誰の怖さか…脚本家なのか役者なのか、分からんけどもw

おっとついこのシーン書きすぎたw



で、最後にね、いろいろ笑ってしまうにしても、

こちらの心境がものすごく複雑に絡み合ってたせいか、

観ていて笑いたくなるポイントが毎回全然違ったりもしました。

いやはや、すごいお芝居です、本当に。





初回から存分に長くなってしまった(^^;

そして自分が一番書きたいのがどこなのかも、

いまひとつまだ分からないw

初日を終えてってテーマで書いてみたけど、

複数回観て印象変わったところは個々の話の中に潜んでた感じだし、

テーマ付けミスった感ありありです(^^;


とりあえず全体的なことは書けたと思うので、

次回からは個々の事象とかに関して書いて行けると良い…かな?

でもそれ、片っ端から書いてったら、えらい長さになるな…