ブラックジャック
2017年京都で、高校生が用務員の男に「ブラックジャック」で殴られるという事件が発生。
「何巻で殴られたのか?」「ハードカバーか??」とネットでは侃々諤々になっていたが、
このケースの「ブラックジャック」は漫画ではない。
昔よく少年何とかの通販コーナーでよく見かけた護身具なのだ。
まあ見るからに恐ろしい外観だが、意外としょぼくて、あんまり痛くない。
手触りは結構ソフトっす。
ただ、色々な型があり、中には殺傷能力があるものもあり、2020年の渋谷区幡ヶ谷でのホームレス女性暴行殺人事件ではこのタイプが使われたそうだ。
これを持っていることだけで、年代、世代、歳がわかるよね(笑)。
え、あ、俺?
ええ、購入歴ありますよ、そりゃもう(笑)。
まあ、サスマタよりも小回りが利くというか、役に立つんか、サスマタ(笑)?
学校なんかには常設なんだろ?
さて件の用務員さん、高校生が俺を笑ったような気がしたことが動機何だって。
そのくらいで激高して護身具で殴りつけるのなら、燃えるお兄さんに「ベンジョ虫」「バカ職員」などと誹謗中傷を受けたなら、間違いなくお兄さんを八つ裂きにしようとするだろう。
通販で自分も昔購入したことがある「メリケンサック」も使うかもしれない。
返り討ちに遭うことは、見えているが。
気楽に、行こうぜ!おっさん。
青山真治監督、若くして亡くなって久しい。
とよた真帆さんといい夫婦だったと思うが。
才能もあったし、残念。
血だるま剣法/おのれらに告ぐ
かなりえぐいので封印やむなしという、いわくつきな作品とのこと。
現物を全部観たことはないので何とも言えないけど。
封印理由は、部落解放同盟からの抗議。
作品は回収されたという。
あらすじをざっくりと記すと、被差別部落出身の主人公が剣で身を立てて、部落制度廃止を直接将軍に上訴するという野望を持ち、日々修行に励む。
が、出自が他の弟子にばれ、いわれなき差別や侮蔑、嘲笑を受けるうちに発狂、差別をし、嘲り笑った連中に復讐を誓い、次々殺害するという、バイオレンスチックな作品。
物語の基本軸、メッセージの内容はすごく適切だったのに、その具現化の段階で無理があったのか。
作者の志と裏腹に、悲劇である。
問題視されたものの最大の要素は、作品の主軸の表現手法。
復讐劇の戦いの中で主人公は四肢を失うが、これは山上たつひこの名作「光る風」のようである。
そういう姿ゆえに、素早く動くために胸と腹の筋肉をうろこ状に改造することを思いつき、やがて蛇のようになるという。
また、二つに折った太刀を欠損した両腕に括り付けて、高所から落下して相手を仕留める。
化け物である。
こうやって復讐を果たしていくが、やがては討伐隊により殺処分。
ここまでやると明らかにやりすぎで、誤解されてもやむなしという感じがする。
しかし、目を背けたくなるが、背けてはいけない内容なのである。
解放同盟の抗議後、回収、封印となったそうだが、作者の平田弘史は解放同盟の抗議に回答するために、当時住んでいた天理市から電車で大阪ミナミまで出向いたという。
生活は極貧であり、電車代は隣の主婦に借りたとのことだった。
そもそも平田氏自身が幼少より極貧生活にあえいでいたといい、その背景もあり、社会に対しての怒りを常に持っており、作品を通して、矛盾、怒り、不満を世に問いたかったことは想像に難くない。
やはり、悲劇だ、としかいいようがない。
誰に悪意があるというものでも無かろうに。
平田氏は、こういう騒動と、結末に納得がいかなかったのか、後年、設定を大幅に変更してリメイク版「おのれらに次ぐ」を発表している。
しかし設定を変更した時点で、この作品の持つパワーは、10分の一以下になっている気がする。
最初の設定だからこそのこの作品だったのではとも思うが...。
表現は難しく、相当デリケートなものだ。