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ミツゴ評価 ☆☆☆☆
<書評>軍事を語りたいなら必ず1度は読むべき本
1言でいえばそう
逆に「私は軍事に感心があります、で、クレフェルトって誰?」何て言うなら 軍ヲタ業界でつまはじきにされる可能性大
「一般理論」を知らずに経済を語るようなモノだ(支持する、しないは別にして)
さて本題
ヨーロッパは狭い、例えばロンドンからモスクワまで(つまり欧州世界の端から端)が直線距離で2500kmだそうだ
コレは札幌から那覇(2250km)と大差がない、要は距離として見れば欧州各国は日本でいえば隣県、は言い過ぎにしてもまぁ近場の観光地程度な訳だ
因みにロンドンからパリまではユーロスターで2時間、新幹線なら東京から新潟までと大差がない
ならば、と思う
例えば欧州に他を圧する大国が成立すれば近隣諸国を制圧してあっという間に統一帝国が建設可能なのではないか?と
距離的に近いなら大軍を派兵するにも楽だろう、と
その答えが本書にある
現代以前、軍隊は基本的に必要な物資を現地調達 まぁ略奪や徴発に頼っていた
日中戦争時の日本軍ですら中国人から物資を調達していたくらいだ
だが問題が出て来る
軍隊の規模が大きくなれば 当然必要な物資が増大する
戦争が長期化すれば一つの土地からの収奪に限界が来てしまう
ならば他所から物資を持ってきましょう、となる
特に城塞の発達と対抗する為の大砲の普及が拍車をかけた、大砲って目茶苦茶重いから 輸送に心を砕かなければならない
この輸送が問題だった
仮に1万人の兵隊が1週間活動するのに必要な食料は1日3回食べるとして21万食
1食500gとすれば、105tの物資が必要だ
昔なら当然 輸送手段は馬だが 馬1頭が運べるのはだいたい100Kg、つまり馬がのべ1050頭、輸送ロスを考えればのべ1200頭は欲しいとなる
当然、馬には管理者が必要だし、馬も管理者も食べる よって彼等の食料の輸送も考えなければならない(勿論輸送部隊の護衛もだ)
ここまで見ればわかるだろうが 1万人の軍隊を1週間動かすのにも莫大な物資と輸送部隊が必要だ
大軍を動かすならさらに大量の物資と輸送部隊が必要だ
つまり陸上輸送の困難さが大軍の機動的運用を阻害していた訳やね
結果、なるべく食料等は現地調達に頼るようになる
幸いにして18世紀はヨーロッパの発展期にあたり 人口増大と農業生産の増加が軍隊の調達能力へ貢献していた
さて時代が代わり19世紀
鉄道という画期的な発明がなされる、つまり輸送能力が跳ね上がる訳だ
だが 普仏戦争をみるとプロイセン軍は相変わらず食料を現地調達に頼っていた
鉄道はあった、後方から戦場へ大量の食料が送られる
だが、ソレだけではダメなんだな
戦場へ送られた物資は 積み降ろされ、倉庫へ入れられ、戦場まで輸送されなければならない
だがそれらがなっていなかった
人手不足で駅の積み降ろし業務はうまくいかず 倉庫は数が足りなかった
結果 荷物が野ざらしになり 腐ってしまった
プロイセン軍が戦えたのは一重に戦場がフランス東北部という世界有数の豊かな地域だったに他ならならない、要は豊かな土地から現地調達したわけだ
しかも調達手段が占領地に税金をかけ、市場で物資を購入した訳だ
さて20世紀 こちらは自動車(モータリゼーション)の時代だ
輸送の主役はトラックになる
だが トラックにはガソリンが必要だし、タイヤだって常に交換が必要だ
整備部品は言わずもがな
要は輸送の手間隙に関しては本質的な解決にはなっていなかったりする
しかも モータリゼーションは戦車を戦場の主役に押し上げた、コイツが凄まじい大飯喰らい、と来たもんだ
結果 やっぱり補給の質が機械化戦力の強弱に繋がり、戦局を左右した訳だな
"砂漠の狐"エルウィン・ロンメルが北アフリカで敗北したのもコレが原因
当時のリビアの港湾能力とドイツアフリカ軍団の輸送能力に対して軍を積極的に動かし過ぎた、つまり軍事的に無理をしていた訳だ
ロンメルってある意味でバリバリの営業マン的なんだよなぁ
仕事取ってくるのはいいけど、明らかに自社の供給能力をオーバーしているからアチコチに無理が出ちゃうタイプ
平の営業マンなら まぁ何とかなってはいたんだけど、成績が上がり 取締役にまで上がれば、当然権限や動く金額も大きくなる
そこでも平営業マン時代の口八丁手八丁の働きをされると 他のセクションが困っちゃうんだ
偉くなれば 様々なモノを見渡さなければならないけど その辺がスッポリ抜けちゃっている訳やね



