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ミツゴ評価 ☆☆☆☆

<書評>南京大虐殺論争の一里塚

まず ここではなるべく南京事件そのものについては触れない
何故ならただでさえ難しい問題に加え、私自身が確定的な事を言える程の知識も自信もないからだ

まずは著者の立場
著者は犠牲者の数については2、3万人 多くて4万人という「中間派」という立場をとっている

実は 南京とは何か?という回答すら未だになっていない
例えば「長野で空襲があった」と書けば「長野県が空襲にあった」のか「長野市で空襲にあった」のかでは被害が大きく異なってくる
勿論 市<県だ、普通は
南京事件でも、被害を大きく見せたい人間は「南京地区」と小さく見せたい(orなかった派)は「南京市」「南京城市」を見る傾向がある
この程度の事すら共通認識が為されていない
この1例のみで いかに南京論争がグダグダで不毛なのかがよくわかる
故にまともな人間はなるべく近づきたくはない というのも頷ける話だ
アレは要は歴史学のテーマではなく外交や政治の手段となっている、もし論争に巻き込まれたりしたら その辺を意識しておいたほうが吉だ

さて本題
しばしば 南京事件について 日本軍の性格が問われる
つまり「日本人が残虐だから大量虐殺をした」「日本人が穏和だからそんなことするはずがない」というヤツだ
やっぱり不毛だ

秦は以下のように指摘する
日本軍は1920年代に大規模な軍縮をした(宇垣軍縮、山梨軍縮)
当然 兵員は少なくなる
その後 1937年の日中戦争で動員をかけるので当然兵員は急増する
結果 組織の中枢に比して兵隊が過大になる傾向が見られた、と
貴方の勤め先でもあるかもしれない、90年代に新卒採用をケチった会社が 00年代に持ち直して 大量の新卒を雇った
だが ベテランである30代が極端に少ないせいで組織が上手く動かない って話(コレがJR西日本の尼崎での事故の一因とも言われている)
当時の日本軍がまんまコレだ

例えば当時からして 「寒いので民家に火を着けました」という 放火魔まがいの兵隊がいたりするし、残念ながら民間人に対する暴行は多発していた
また、捕虜の虐殺も目立ってはいた
捕虜を喰わせるのもタダではないし、捕虜の管理コストもバカにならないからだ

ここでは「じゃ便衣兵はどーなの?」となる、解りやすくいえば服装をごまかし民間人の振りをしている兵隊だ
コレはハーグ陸戦法規に抵触し、戦闘員の資格を有せず 故に処刑されても仕方のない連中だ
当時の中国には そんな兵隊が大勢いた、なにしろ1枚皮を剥けば 軍閥の私兵か馬賊のような連中だ(中華民国とは国民党を中心とした寄り合い世帯だった)

だが まてよ
民間人の不利をしている兵隊をどうやって見抜くんだ?顔に「兵隊です」って書いてある訳でも無しに
秦は指摘する
丸刈りで 目つきの鋭く 靴を履いている連中だと
それだけで処刑対象になるわけだから、当然民間人が巻き込まれる事も有り得たと思う

はっきりいって 南京論争は不毛過ぎるし 1冊本を読んだ程度で何もわからない
だが もし貴方があの不毛な世界に首を突っ込みたいなら本書をとる事をオススメする
別に貴方がどんな立場に立つかは構わないし 私は興味がない
だが 本書を否定するにも 別陣営の主要な論拠を知る事に強い意味がある

願わくは なるべく定量的かつロジカルな議論が行われる事を・・・・・
興味があれば コチラhttp://mltr.ganriki.net/faq08d06.html#18967の一読をオススメする
http://www.bk1.jp/product/00940088

ミツゴ評価 ☆☆☆☆+☆×0.5(☆4.5コ)

<書評>未熟なる経済

本書はタイトル通り 昭和初期の金融危機を扱ったモノである

本書を読み 思うのは日本経済がいかに未熟であったかという事だ

経営者も未熟だ
第一次世界大戦の特需は各地に「成金」を大量に生み出した
「成金」の前職は様々だし 中小企業が急激に拡大した事例もあるだろう
要は 大企業を管理する知識も経験もない人間が好景気の波にのり 経済へ強いインパクトを与え得る立場であった

金融も未熟であった
当時は機関銀行、とかいうが 特定の企業に融資を集中させる銀行が多かった
そもそも銀行を始めたのが地方の富裕層であり 企業を興したのもまた地方の富裕層だ
つまり 同じ木の枝、だといえる
これがまずいのは、不景気になれば会社が潰れる コレは仕方ない事だ
だが問題は その企業に銀行が多額の融資をしているという事だ
要するに銀行が共倒れするケースが非常に多かった
例えば台湾銀行と鈴木商会なんかもそうだろう
故に現在では銀行が1企業に融資できる金額には制限がかかっている

政府も未熟だった
有名なのが片岡蔵相の失言問題なんだが ここでは「震災手形」をあげたい
1923年9月におきた関東大震災では多くの企業がマヒした
それらの企業は手形という形で別の会社からお金を借りていた、つまり別の会社は手形が現金化されず 連鎖倒産するリスクに晒されたわけだ
そこで日銀が上限を設けた上で 手形を買い取る訳だが、買ってくれる という事で震災とは関係のない 不渡り確率の高い手形を売り付ける連中が多発した
当然 不良な手形は現金化されないから、日銀が大損をこく訳だな

笑ってはいけない、今回の震災でも 政府系金融機関が10兆円規模での債券やCPの買入を始めている
非常に現在的なテーマでもあるんだ

さて 不景気になる、しかも銀行はバシバシ潰れる時代だ
人々はより安心な銀行、つまり大銀行へ貯金を移動する
地方の中小銀行と企業が資金繰りが麻痺する一方 都市銀行には融資先に困るような事態が発生しだした
都市銀行は海外に活路を求める、つまり対外投資をしたい訳だ
それは外貨(金、キン、ゴールド)を海外へ送る事 つまり金解禁を迫る形になる
で タイミングが悪く、円高と金の流出に繋がる訳だが

さて 都市銀行はお金が余った と書いた
何にお金を使ったのだろうか?
答え 有価証券の購入
まぁ日銀より国債を買いまくったわけだ

最後になるが 本書ははっきりいって私には難しい
よくわかっていない点も多々あるし、読みが甘いことも認めよう
だが 「賢者は歴史から学ぶ」というように 歴史は我々に様々な課題を投げ掛ける
ソレを学ぶことは良いことだ と私は思っている

が やっぱし むずかしい
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ミツゴ評価 ☆☆☆☆

<書評>本末転倒

一言でいえばそう
第1次世界大戦があった
この戦争は総力戦であっあ
総力戦とは勿論 その国の総力をあげた戦争だから 軍事力=国力≒生産力 となる
生産力を支えるのは経済(労働力、資本=インフラ、技術)と資源である
当時の日本は広大な植民地を持つ欧米列強に比べ 両方とも欠けていた、つまり総力戦になれば日本の劣勢は免れないとなる
そこで軍部は莫大な資源を持つ中国に目をつけた
ここに第一の本末転倒がある、外交の手段である軍事の為に外交政策を変化させた事だ

だが 中国は植民地主義が跋扈する世界においての最後のフロンティアでもある
言い換えれば 欧米列強の最後の獲物だ
そこに新参者の日本が手を付けた
当然欧米列強は腹を起てる
特に当時は 植民地支配による露骨な収奪→貿易と投資による利益 へと舵を切りつつあった
コレは第一次大戦による欧米側の支配力低下と民族自決運動により収奪の為のコスト(軍事費)が跳ね上がったからだ

閑話休題、とにかく 皆の獲物を日本が横取りしようとした、貿易で稼ごうというのに その貿易の足を引っ張る形だ
当然 欧米列強は日本と対立する
中国の権益を失いつつあったソ連もまた 隣国の不安定化により軍拡をせざる得なくなる
ここに 第2の本末転倒がある
欧米に対抗する(つまり保険)為の政策が欧米との軋轢を深めてしまう事だ

さらに矛盾が出てくる
近代戦とは総力戦であると同時に火力戦でもある
近代戦は莫大な物資を要求する
機関銃や速射砲は弾薬を湯水の如く消費するし(日露戦争1年分の弾薬が第一次大戦の戦闘では1週間とかからず消費された)、戦車や航空機は大量の燃料と部品を消耗する
つまり それらを輸送するのにも車輌や燃料がいるわけだ

つまり軍を近代化するにはお金がかかる
しかし第一次大戦後不景気に突入した日本にはお金がない
ならば 軍をリストラして火力を充実させるしかなくなる

だがここに組織の常であるリストラ反対、となる
要はポストが減るからだ
だけど近代戦は数さえあればいいなんて単純なモノではない、兵器が発達したせいで 質の高い兵器と兵隊は少数で質に劣る大軍に対抗できるようになったからだ

そこで 日本軍は最も安上がりな質的向上策、「精神力」を唱え始める
この1例を見ればわかるが、しばしば言われる「日本軍は近代戦を理解していない」というのは誤りで、「理解はしたが実現するだけの力がなかった」が正しかったりする

だが 冷静に考えれば危険な話だ
火力に勝る敵国軍に対抗するには 日本軍は精神力で勝っていなければならない
つまりは敵が日本軍より軟弱である必要がある
が、実際はどうだろうか?戦場において日本人だけが勇敢な訳ではない
結論、「敵は軟弱である、そうしないと困る、故に軟弱だ」という観念論、というより願望論に走る
この頃の軍人の日記や発言には「~と信じる」というのが目立つ(例:作戦さへうまく行けば、民主主義国民は真先に参るものと信ずる「石井秋穂大佐回顧録」より)

逆に言えば 作戦が上手くいっても民主主義国(アメリカやイギリス)が豊富な資源で挽回してきたらどうしようもありません、と言っているようなモノだ

安っぽい願望論は、楽観的観測に繋がる
関東軍特種演習(関特演) というモノがある、早い話 満州に展開する関東軍の対ソ軍事演習だ
戦争には当然相手がおり彼我の戦力が勝敗を左右する
当時の極東ソ連軍は30コ師団、うち戦闘可能なのが15コ師団とした
日本側から攻撃をしたとして 攻撃は防御の倍が望ましいとすれば日本軍は30コ師団が必要だ
だが質を見れば ソ連軍は寄せ集めだから戦力は 日本より25%ダウン、つまり日本は22コ師団があればいい と勝手に計算した
だが実際は日本軍は火力が脆弱で 1コ師団あたりの戦力は 日本<ソ連 だった
日ソ比は狙撃師団(歩兵)なら1:1.3 戦車部隊は 1:3.2に上った
結論として 極東ソ連軍15コ師団に対して日本軍は39コ師団が必要になる

勿論 既に中国と戦争し、対米戦の準備をしている日本に捻出出来る戦力ではない


日本軍には日本人の欠陥が集中 濃縮していると感じずにはいられなかった
そしてそんな組織が近代日本に強い影響を与えていたのも事実だ

最後にこの書評を読み、「サヨク臭いなぁ」と思った、アナタ!
著者の黒野耐氏は元陸上自衛官で将補(諸外国なら少将に相当)まで登り その後 防衛研究所にて戦史部主任研究官を奉職された バリバリの軍事専門家である
タモガミ論争の時、「彼(田母神)は軍の専門家だ、だから専門的見地から論文を書いた(だから悪くない)」という意見が見られた
彼の専門は対空ミサイル(パトリオット)の運用のはずだが いつから戦史研究家になったんだ?
黒野氏はホンモノの専門家ですので その点はご安心を
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ミツゴ評価 ☆☆☆☆

<書評>力の本質

地政学に関する小論文集である
テーマの性格上、かなり形而上学的であり なかなかとっつきにくい
でも 何か書いてみる

さてシー・パワー(Sea power)とはなにか?
まぁ"海に関する力"つまり海洋力だとはわかる
では"力"とはなにか

力とは影響力である
さらに言えば「相手を自らの望む方向へ動かす」力ともいえる
例えば経済力
富の本質は 相手に何かしてもらう事である
無人島ではドル紙幣も金塊も意味を為さないでしょ?
ソレらが意味を成すのは買い物をしたり 人間をコントロール出来るからだ、それ自体には意味はない(金塊なら"綺麗だな"ぐらいは思うかも知れない)

海洋力も海洋を通じて相手に影響を与える力だと言える
例えば 中国は現在潜水艦戦力にかなり力を入れている
コレは中国の周辺国へ「中国と敵対すれば、お前らの輸送船片っ端から沈めてやる、そしたら経済がガタガタになるだろ?嫌ならオレに従え」という影響力である
ソレに対する海上自衛隊の答えが「対潜水戦(ASW)に力を入れる、バカな真似をしても片っ端から駆り立ててやるから、下手な恫喝はやめれ」という影響力である

力とは相手への影響力である、と書いた
つまり 与えたい影響によって力の中味が変わってくるし、相手との関係により影響力は自然と変わってくる
つまり 国や時代によって影響力である力の中味は変わってくる訳だ

では見てみる
日本は近代以前はシーパワーに対して強い関心を見せていなかった
白村江の敗戦以来(朝鮮出兵等があっても)大陸への軍事的・経済的な進出の度合いが低かったし、元寇等の侵略も 国内での迎撃戦であった、海上で元艦隊を撃破するのでも 艦隊を結成し大陸へ進攻する訳でもなく
近代以降はその"海上での迎撃"という方面へ向かう
近代とは欧米諸国による地球の分割の時代であり 当然彼等は海からくる
ソレへの備えであり
やがて日本が「植民地を持つ側」に廻るようになっても 対立する米国との国力差がある以上は、攻めてくる米艦隊を迎撃する、という方向へ戦力は進む
意外と知られていないが日本の軍艦は乗り心地が悪い、コレは迎撃用の為だから長期航海の必要性が相対的に低かったためでもある(イギリスは逆、乗り心地が悪いと遠く離れた植民地で活動する前に兵員がへばってしまう)
やがて敗戦
戦後の日本海軍(海上自衛隊)の当初の任務は 戦時中日米海軍がバラまいた機雷の回収である
次はシーレーン防衛だ
しばらくするとソビエトが力をつけてきた為 アメリカが助けにくるまで3海峡(対馬、津軽、宗谷)を封鎖し ソ連太平洋艦隊の封じ込めが加わる
そして現在・・・・
なるほどソビエトは滅び 中国海軍もまだ成長中だ
だが現在は北朝鮮のミサイルを防衛したり 海賊やテロリストの退治に任務は多様化拡大化するばかり
さらに今回の震災で証明されたような、災害対策も重要になるだろう
グローバル化が進み 貿易が増えれば、シーレーンの価値があがる
逆に言えば(敵から見れば)シーレーンを潰す価値もあがるんだ
だから今はアジアでは潜水艦ブームが起きている 早い話が軍拡レースだ

だからシーレーン防衛の重要性は増すばかり・・・・・

アメリカではまた別の話がある
アメリカの敵はソ連艦隊、ではなくテロリストだ
でもテロリストは(海賊をのぞき)海にはいない
故に米海軍には"海からの攻撃"が求められる
トマホーク攻撃と空母艦載機の爆撃、海兵隊の遠征がそうだ

ここで述べるべきは、力は相対的な概念であり、力の性質は環境により様変わりするという事だ
逆に環境が変わる事を予測できれば力の形も予測でき、国際政治の理解に繋がると言えそうだ
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ミツゴ評価 ☆☆☆☆+☆×0.5(☆4.5コ)

<書評>1937年、日米開戦

1937年に日本は中国との事実上の戦争状態に突入した
日本は戦争に必要な物資(特に石油とくず鉄)をアメリカに依存していた
中国の肩を持つアメリカは日本へ戦争を止めさせるべく 経済的な戦争を開始した・・・・・

本書の始まりはコレ
まずは不満
アメリカが中国の肩を持つのはわかるが「何故肩を持つ」か 全く書かれていない
まるで「中国が侵略されて可愛そうだから」とすら読める、国際社会がそんなに甘い訳がない
答えをかくと アメリカが中国に投資や貿易という形で多大な権益を有していた
勝敗を問わず 戦争により中国が疲弊や混乱を起こせば、アメリカの権益が脅かされる 故にアメリカは日中戦争早期終結を求め 対日圧力を行使した、となる
だが 考えてみれば アメリカにとり在中権益は対日戦を覚悟する程大きいのだろうか? とも思う
その辺の分析がスッポリとないのが不満だ
起承転結の(起)がないようなモノだからね

さて、本題
日本はアメリカに戦争資源(≒戦略物資)を依存していると書いた
だが当たり前だが物資はタダではない、アメリカからモノを買うにはドルか金(キン、ゴールド)が必要だ
日本としては、輸出で稼ぐか 資産を取り崩すか 借金をする、という形になるだろう
ならばアメリカ側の戦略は ソレらと対日輸出の妨害だ
本書は アメリカ側の妨害を描いたモノである

「生糸を売って軍艦を買う」という言葉がある様に戦前の日本の主力輸出品は絹であった、なにしろ1920年代には輸出全体の38%を稼いでいた
さらに言えば生糸は綿製品や雑貨と違い付加価値率が高い、つまり原材料が国産な為 貿易黒字としてみれば45%になる
30年代になり代用品たる化繊が台頭すると 日本はソーシャルダンピングを通じた綿製品や雑貨の輸出を企む、やっている事は今の中国と大差がない
結果を書けば 綿製品は大恐慌による価格低迷(と原材料の綿の価格高止まり)、雑貨は低品質と高関税(工業製品は米国産業とバッティングする為)により 軟調であった

そんななか、日中戦争が勃発した
日本はアメリカから多額の輸入をしなければならない
当時の日本はアメリカに莫大な資産を有していた、いや ある程度は資産がある
だが 何故か帳尻が合わない、そう、公式ではない「秘匿資産」があった
コレは例えば39年の第二次大戦でイギリスから逃げ出した外貨であったり、輸出代金を現金で 輸入代金を信用供与で済ませた結果によるモノとかいろいろ言われる

その額は諸説あるが1億1060万ドル、1940年時のアメリカの対日石油輸出が51万ドルなんて言うから2年分以上だ

コレは「日本の資金力じゃ早晩金欠で戦略物資が買えなくなり、継戦能力を失う」という アメリカの賢いが愚かでもあるエリート達の見積を狂わせる事となる

さて 第二次世界大戦の話が出た
まずは 欧州の開戦(ドイツのポーランド侵攻:39年9月1日)から対米戦(41年12月7日)まで2年3ヶ月の間がある事を意識したい
この間、日本は弱体化した欧州列強の植民地に進出し(仏印進駐) 後に連合国と呼ばれる連中から反発を受けた
結果 アメリカは日本に対しての金融制裁をかした、例えば対米資産凍結等だ
コレはまずい、何故なら戦略物資も含めて貿易はリスキーな一面がある為、銀行等の(資金力をバックにした)信用をベースして行われるからだ(コレをメインにしていたのが度々本書にも出て来る横浜正金銀行だ、れっきとした国策企業であり資本には皇室財産も充てられている)
金融制裁はそうした銀行の資金力を封じる、結果 米企業は対日輸出を嫌がり 日本は資源を買えなくなる

この後も 例えばバーター取引等の話が出て来るが、トドメを指すような事件が起きる
1939年の第二次大戦によりイギリスとドイツは戦争状態に突入する
イギリスはアメリカから石油を買い付けるが アメリカで石油不足が起きた
アメリカはコレにより日本に対して石油は輸出出来ないという
だがまてよ?日本が買い付けていたのは(カリフォルニア等)西海岸の石油だ
一方 イギリスが買い付けたのは東海岸の石油だ
そしてアメリカには東西海岸を行き来する石油輸送インフラがない
つまりだ 別に石油を対日禁輸にしてもアメリカの石油事情は変わらないハズだ
だがアメリカはコレを口実に日本への石油禁輸をした

最後に戦争責任の話
戦争が国家同士(或いは異なる集団同士)による衝突という意味で交通事故に似ていると思う
交通事故において 片方が完全に無過失という事が滅多にないように 戦争責任も片方のみに起因するのは滅多にない
アメリカ側は日本が困窮する事を承知で経済戦争を仕掛けた
ソレが対中侵略に走る日本を(彼等の表現を借りれば)正気に戻す レベルならまだわかりやすい
だが はっきり言えばやり過ぎた
対日経済のコミットを減らした結果 日本国内の知米派、穏健派を衰退させたし 「アメリカが資源を売らないなら自力で獲得するしかない」という勢力を台頭させた
当初は「正気に戻す」為の行動が「経済力で屈服させる」に変わって来たのではないか?
孫子にあるが 敵をむやみに追い詰めては行けない、完全に包囲すれば、相手が暴発するリスクが高いからだ
仮に太平洋戦争においてアメリカ側から戦犯を1人出すとすれば 対日経済政策の実力者である財務次官のディーン・アチソンは免れないだろう