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ミツゴ評価 ☆☆☆☆

<書評>日本とヨーロッパの共通点

書評にはエッセイとしての一面がある
本書は 保守系知識人のエッセイである
つまりこの書評は「エッセイのエッセイ」である、はっきり言って書きにくい
何故ならエッセイは主観に由来するからだ、主観に善悪正誤なぞ存在しないので評価のしようもない

でも何か書く
昔「文化」と「文明」の違いについてある人は「文化には優劣はなく文明にはソレがある」と言っていた
例えば ケニアのマサイの文化がアメリカのソレより劣るという事はない
だがケニアの文明水準がアメリカより劣っていると はっきりと言える
仮に文明の本質が資本(コレは設備やインフラの意:例えば水道や道路網等はローマ文明のシンボルだ)と技術というなら ソレらの保有量がケニア<アメリカだからだ

優劣があるという事は 優れた文明が普及する事は充分ありえる
実際 我々は(西洋の影響を受けつつ)祖先からの文化を継承しているが、鉄道やインターネット等西洋文明の利器を甘受している

では 何故 優れた「近代文明(民主主義や資本主義等)」をヨーロッパ世界(アメリカを含む)と日本がいち早く味わえたのだろうか、さらに言えばヨーロッパと日本の共通の下地があったのだろうか、というのも本書の要素である

まず 歴史を見てみる
ヤスパースという歴史家は「基軸時代」という概念を提唱している
紀元前500年頃~紀元300年頃、現在の世界のベースが出来た時代だという
例えば地中海世界のキリスト教やギリシャ哲学、インドの仏教や、中国では儒教や諸氏百家と言われる
この時代にありヨーロッパと日本は周辺であり、近くの文明圏(ローマ帝国や中華帝国)のおこぼれにありついている状態であった
話が変わるのが中世である

7世紀、イスラムが台頭し 地中海世界を席巻、結果地中海世界とヨーロッパは断絶してしまう
同じ頃 建国以来、朝鮮半島(環日本海世界)に軍事的介入を続けて来た倭(日本)が白村江の戦いに敗れ、朝鮮半島から政治的影響力を喪失する形になった
ヨーロッパと日本は海洋から切り離され、自分達の大地を眺める形となった

今日では海洋文明とされる欧州と日本は 大陸文明とならざる得なくなった訳だ
同時にコレは海洋を通じた交易によるユーラシア基軸文明との断絶と自前の文明構築のきっかけともなった(勿論完全に断絶された訳でもなく、遣唐使やルーシによる交易はあった)
自前の文明、ソレは封建制である
中世(西暦1000年代)を経て 欧州と日本は地中海世界と中華世界からの独立がなったといえる

両者の共通点には中世世界最大の大国 モンゴル帝国の政治的影響下におかれなかった点もあるかもしれない
モンゴル下の地域では経済的な交流が活性化し、互いの文明へ影響を与えあった
例えば 中国の陶磁器に使われるコバルト染料はペルシャのモノであった
日本と欧州はこのダイナミックな交易網に入りそこねた訳である

さて近世に入る
中世が欧州と日本文明にとり揺籃期というなら 近世は発展期である
だが発展の方向が違った
欧州は新大陸征服を始め 外への発展を始めた
だが日本は 鎖国を通じて 内側への発展という道をとる
具体的には内需振興による経済発展だ
徳川吉宗が朝鮮人参の国産化に成功した様に 江戸時代の日本は国産化の時代であった
後に日本を代表する製品になる絹、実は戦国時代まで良質なソレは中国でしか作れず 日本は絹の輸入国であった
また焼き物等もそう
有名な茶壷(真壷という)は実は中国人が味噌や塩を入れていた雑記だったりする
久谷や伊万里が国産化出来るようになるのは江戸時代の話

本書は正直私にはまとめづらい

まぁ気軽によめばいいと思うよ 説明文にもはっきりと「歴史読み物」とあるし
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ミツゴ評価 ☆☆☆☆

<書評>全体的に軽目

故に気軽に読める
まず 触れておきたいのは我々は現在の常識で過去を裁いてはいけない、という事だ
ローマ帝国は奴隷と獣を殺し合わせる事を快楽とし、ほんの200年前までは西洋やイスラム世界でば異教徒を奴隷にする事は是とされて来た

そう過去の倫理感は現代のソレとは大きく違う、また現代に生きる我々も未来の人々から見れば不道徳と見做される可能性が高い

ここでは阿片について現代的な視点は片付けてほしい、当時の阿片に(比較的)寛容な価値観を頭に置かなければ 当時を理解出来ない

我々は阿片戦争について「悪辣なイギリス人が中国に麻薬を持ち込んだ、中国は麻薬締出の為の正義の戦争をした」と思っていないだろうか?
まず、最初に阿片を中国に持ち込んだのはイギリスではない
最初に着たのは唐王朝期だ、当時はケシの花を鑑賞用にしていた
薬物として使われるようになったのは諸説あるが元王朝の頃
実際に確定的な事が言えるのは清朝初め(17世紀頃)の話だ
当時 新大陸のタバコが普及しつつあった、ソレに粗悪な阿片を混ぜて呑む訳だ
つまりイギリスが阿片を売りまくる前には既に中国には阿片文化が存在したといえる
ではイギリスは何をしたか?
18世紀終わり頃、イギリスはインドでのビジネスを拡大しつつあった
インド、特にイギリスの勢力圏であったベルガル地方は豊かな土地であり 阿片生産が盛んであった
イギリスがした事は 阿片生産の近代化と中国への輸出だ、当時イギリスの対中貿易は慢性的な赤字であった

見方を変えれば、イギリスは最新の技術と豊かな土壌を駆使したベンガル産阿片で巨大な中国の阿片マーケットに参入した訳だ
ベンガル阿片は瞬く間に中国市場を席巻した
外国産阿片が中国を覆えば 当然中国は多額の貿易赤字を抱える事になる
また阿片による害も中国を蝕み、治安や規律の弛緩という形で清朝の支配基盤を脅かした

ついに清朝はベンガル阿片の締出にかかる
イギリスとしては面白くはない、結果戦争となり 敗れた(阿片戦争)

面白いのは、その講話条約(南京条約)だ
香港の割譲や賠償金は割と有名だろう
だがよく見れば、関税の自由化や港湾の解放 ビジネスの自由等 中国への自由貿易を迫る内容だ
要は阿片戦争とは通商紛争であった事なんだ
考えてみればわかりやすい
イギリスで阿片を作る人間は限られている
だが 産業革命を経たイギリスで工業に携わる人間は大勢いる
ならば巨大市場中国への売込を考えれば 後者の利益がまかり通るのは当たり前だ
阿片、とは自由貿易に供される1商品にすぎない

さて欧米諸国との貿易が盛んになると当然、上海のような中国の港湾都市が栄える(コレは現在と同じ)

では何故 上海等沿岸都市が栄えたか?
中国という巨大市場に世界の商品(阿片も含まれる)が流れ込む時は沿岸都市を通過し、中国の豊かな産品が世界へ輸出される時も沿岸都市を流れるからだ
モノが流れれば ヒトとカネも流れる、ソレが富になる
欧米列強が沿岸都市という「点」に租界をおきたがるのはわかる、領土(面)なんか収益の割に維持コストが高すぎて採算に合わない

故に 都市を流れる阿片は租界を司る欧米列強(と杜月ショウのような中国マフィア)の資金源となった(中国マフィアと列強の租界政府は勿論グル)
1918年当時の香港政庁の総収入の内 阿片専売収益は46.6%
仏領インドシナの場合は42.7%だ(コレはおそらくインドシナ→中国へ輸出した利益)
日本も例外ではない
1919年時に関東州(日露戦争で獲得した中国の港湾:現大連)の予算の半分 500万円は阿片のアガリであったという
また 満州国の財政についても阿片が非常に大きかった事は有名な話(里見甫等)

さて中国共産党の話
1930年代から中国共産党は延安なるド田舎に逃げ延びていた、この逃走劇を長征という
戦争にはカネがかかる だが延安には戦争に耐え得るだけの資源がない
ならどうするか、共産党自身が阿片を製造 販売をして資金稼ぎをしていたんだ!!
阿片は中国全土に普及していた つまり中国全土でカネになる訳だ

最後にコレだけ猖獗を極めた阿片が何故鳴りを潜めたか?
中国共産党が政権を握り、中国経済は農業重視へ舵を切る
また都市と流通を握っていた列強を締めだし 都市の富裕層を弾圧した結果、中国全土の流通システムが崩壊し (生ものである)阿片流通も崩壊してしまったわけだ

嗚呼 阿片とは国を表す鏡だな とおもた
しばしば 「内部留保で失業者雇え」「内部留保で国債買え」と聞く
過日週刊誌に「大企業の内部留保で復興の為の国債を買え」なんてあった

まぁその辺の話

まずは内部留保とは何ぞや
会社はモノを売る
その代金から従業員に給料払ったり、製品を購入したり、銀行に借りた金の金利を払ったりする

残ったモノが「利益」という
利益から「社長さんの給料(役員報酬)」「株主への配当」「税金」等をだす
逆にいえば 利益がなければ元来 社長さんの給料や配当は出すべきではないといえる(さらにいえば利益がでれば給料や配当が増えるので、社長サンや株主の経営努力が期待できる)

まぁ アレコレ引かれた後に残るモノ、会社「内部」に貯まる(留保)するモノが「内部留保」である
法律的には法定準備金等難しい話になるが 剰余利益の蓄積と見てもらえればよろしいかと

ではコレで国債を買えるのか
答え 買えない

例えばA君がいたとする
A君はアルバイトで30万円貯めた
銀行から70万円借りたら 合わせて100万円だ
この100万円で車を買って運送業を始めた
この場合 内部留保は30万円となる
だが 国債は買えない、何故なら全額 自動車という資産にバケたからだ

「内部留保で国債買え」とは要は 自動車を売り払い、借金返して 余りで国債買え というのに等しい

つまりだ「廃業しろ」という意味だ、会社にソレが出来るのか?

「失業者雇え」とはもっと難しい
何故失業が発生するかと言えば 企業にとり雇用がマイナスに働くからだ
この場合 内部留保が減れば純資産が減る

ところで上場していない株式の価格はどう決めるかご存知か
純資産(さらに言えば解散価値)により決まる
純資産が半減すれば減損会計により株価も強制的に半減になる

さて大企業は親子間に株の持ち合いをしている
誰かの純資産が半減したとしよう
当然その会社の株式の評価も半減だ
という事は 株式を持っている各企業の資産にダメージが来る訳だ
ダメージがくれば純資産は減る
今度は各企業の株式保有者が・・・となる

故に企業は純資産を守らなければならない
故に内部留保を取り崩せない

元来、内部留保云々は共産党の言い分だったと記憶している
要は企業は利益をすべて吐き出せ という意味だ
だが まるで企業が隠し財産があるように宣伝しだした、コレが問題だと思う
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ミツゴ評価 ☆☆☆+☆×0.5(☆3.5コ)

<書評>歴史の節目以外が見たかった

イスラエルである
そのイスラエルをイェルサレムを中心に見てみますた、という内容である

歴史が1つ舞台とするなら、思えばイェルサレムは何度もスポットライトを浴びた街である
思い付くだけでも、ダビデ王によるイェルサレム神殿建設から バビロン捕囚、イエスの昇天、2度のユダヤ戦争とイェルサレム神殿の破壊、ディアスポラ(イェルサレムからユダヤ人の追放)、ムハンマドの死去、そして十字軍の占領と虐殺・・・・

歴史上 これだけ脚光を浴びた都市はそうはあるまいて
だがまてよ?
舞台でも常に主役がスポットライトを浴びるわけでもないし 舞台は常に開いている訳でもない
では 光を浴びていないイェルサレムはどうだったのか、例えばイェルサレム神殿破壊後のアエリア・カピトリーナ(イェルサレム)は誰が住み どんな生活を送っていたのかが気になった
私が本書を手にとった理由は正しくソコにある

ユダヤ戦争(ユダヤ人がローマ帝国に対して起こした大規模な反乱)後に イェルサレムからユダヤ人は追放された、これはしばしばユダヤ人の流浪(ディアスポラ)の始まりとされる
何故 ローマはユダヤを追放したのか?ローマは被支配民に関しては極めて寛容な事、特に文化や宗教の尊重で知られている(逆に言えばそうしなければ広大な帝国を統治しきれない)
理由としては ローマの「ローマ皇帝の権威と納税さえすれば、文化を尊重する」という姿勢にあった
ユダヤの文化では「権威を認め納税する」事はローマ皇帝を神として崇め、ヤハウェ信仰を否定する事に等しかったからだ
ローマとしても納まりがつかなくなる、帝国であるが故 国内に多民族を抱えるローマは 1民族に反抗される事は他の民族にも反抗される可能性があるからだ
結果として 問題の根源であるユダヤ文化の破壊に乗り出した

ではその後のイェルサレムはどうなったのだろうか?
ローマが滅び、イェルサレムは東ローマ帝国の領土となった
イェルサレムはキリスト教の聖地として都市開発が進む

やがて アラビアよりイスラム教がおき、彼等の勢力はイェルサレムを制圧した
まぁこのころはイスラムとキリストはなんだかんだと調和しながら生活していた模様だ
だが 1096年に十字軍遠征が起きる
詳しいいきさつは省略するが、最終的にサラディン率いるイスラム勢力がイェルサレムを確保する
まぁその後は支配を変え 今に至る訳だ

歴史を見るとき 我々は節目節目を見たがる
だが 節目以外にも生活があり 営みがあるはずだ
イェルサレムは多くの節目がある都市だ
故に 舞台裏が見えなくなってしまった、私はそう思う
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ミツゴ評価 ☆☆☆☆

<書評>よく新書に出来たな・・・

まず 感想はコレ
はっきりいって扱うテーマはかなり広い
正直 やや難解に感じる部分も少しある
だが まずは、公開市場操作から企業統治まで、広大な領域をよくカバー出来たな、というのが印象にアリ
正直 私の様に「狭く深く」書評を書くタイプには書評は書きづらい

という訳で 金融政策に絞って見てみる
まず、中央銀行の仕事は何か?
それは経済の安定化を通じた経済の発展である

物価の安定化を例に見てみよう
経済は緩やかなインフレ傾向の方が失業が低下する傾向がある
コレはフィリップス曲線というんだが、実は失業とインフレの因果律はよくはわからない
一応はインフレによる実質賃金の目減り(貨幣錯覚)による労働コスト減があると言われる、つまり短期的には労働者は見かけの賃金に騙される

閑話休題、つまり政治家からすれば 失業減少は支持に繋がる訳だから 経済をインフレに運ぶインセンティブが確かに働く(インフレ・バイアス)

では何故中央銀行は物価変動を嫌がるのか?
それは70年代のスタグフレーションによる

つまり ニクソンショックによりコレまでの通貨の金(キン)による下支えがなくなり物価統制が困難になったからだ
物価が不安定になれば当然経済活動は行い難い、リスクプレミアムが発生するからだ

つまり 通貨が信用なるモノで成り立つからには信用を守らなければいけない訳だ

意外だったのは09年のリーマンショック時のFRBの有毒資産(不動産担保証券等リスキーな金融商品)の買い入れが量的緩和策ではなかった事
一応は信用不安に対する、流動性供給策と言われている
だが 真意は敢えてリスキーな資産を集中的に買い入れて リスクプレミアムの低下を諮る事だったりする(その後償還された債券でFRBは米国債を購入、現在、購入を打ち切るかどうかが焦点になっている)

とにかく、金融に興味のある方には1読をオススメする
特に 某blog信者には

もっといえば 彼等の問答の答えが本書には 書いてあったりする、彼等がそれを受け入れられる可はまた別問題なんだが
まぁ1冊読んでおけば取りあえず、一端の金融通気取りが出来るかな?という感じやね