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ミツゴ評価 ☆☆☆+☆×0.5(☆×3.5コ)
<書評>欲望の歴史
基本、全体的に軽目な印章
さて 金(ゴールド)である
金は何故価値があるのか?
それは持ち運びや保管に便利で 交易に便利だからである
小さなカケラ1つあれば 何でも手に入る、故に人々は金を手に入れる事に熱狂した
金は欲望を叶える事に使われる
当たり前かつ皮肉な話だが 国家が繁栄し、贅沢品の消費が増える程 金が流出し、悪性インフレに陥りやすくなる
インフレは通貨の価値を落とすため、通貨をつかう取引が減少する、パンが欲しければ自分で作れ!という訳だ
つまり、都市(中央)→農村(地方)へ経済の比重がうつり 最終的には中央政府の崩壊に繋がる
ローマや漢は故に滅んだ
当時の南インドからは多額のローマ金貨が流入していた、コレはローマが慢性的な金流出に悩まされた証でもあると同時に豊富な産品を抱えたアジア世界がヨーロッパを圧倒していた裏返しでもある
さて ヨーロッパでは金がない
だが中世社会が安定し、発展すれば当然 取引目的等で貴金属需要が増える
需要が増えれば 価格が上がり、金を獲得する情熱も高まる
これが後にヨーロッパ人のアメリカ大陸への進出につながる
口火をきったのはスペインだ
スペインは主に南アメリカを制圧し当地より莫大な金銀を持ち出した
だが、その後は?
スペインは全部使ってしまったんだ
1つには戦争
当時スペインとドイツ(神聖ローマ帝国)は同君連合(王様が同じ)であった
さらにヨーロッパにも世界各地にも莫大な領土を持っていた
領土があれば 防衛したりしなければいけないし 利害関係も生まれる
結果戦争が増える
また、ブラジルを征服したポルドガルを見てみる
当時ポルトガルはイギリスと自由貿易をしていた
リカードが比較優位の説明で使った「イギリスの織物とポルトガルの葡萄酒」のアレだ
だがリカードは肝心な点をぼかしていた
ポルトガル側が慢性的な貿易赤字を抱えていた事だ
1701~50年までのポルトガルの対英輸出は320.9万ポンド、一方輸入は873.7万ポンド つまり550万ポンドの赤字だ
この赤字の埋め合わせをしたのがブラジルの金やね
では その金を手にしたイギリスはどうしたか?
その金をインドや中国との取引に使った
意外かもしれないが 19世紀になるまでイギリスの対アジア取引は赤字続きで、逆に清朝等は莫大な黒字を背景に経済成長をしている
やがてイギリスで産業革命が起き、お金の流れは逆転するのだが
ここで私見を1つ
鉱山による富は中々定着しない
「悪銭身につかず」というが ローマからスペイン ポルトガル等 様々な国が失敗している
私が思うに 大量の金が流れるとインフレになる
つまりモノの値段が上がる訳だ
それは インフレにならない国の商品と比較すれば 当然価格が高くなるので、価格競争力の低下と貿易赤字を招きやすくなる
また 金鉱山へ投資が増えれば他産業への投資がへり、競争力低下に繋がる訳だ
コレは今日においてもまた有効な話だ
極端な話 日本の貿易黒字の背景にはデフレにより 日本製品の生産コストが下がった事が大きい
仮にインフレになり、かつ円高基調が維持されれば 日本の貿易黒字は減少するだろう
さて まとめだが 我々は様々な背景により黄金に見せられた
今日ですら 金価格は上昇している
人類の精神の奥底に金への渇望が刷り込まれているのかも知れない




