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ミツゴ評価 ☆☆☆☆+☆×0.5(☆4.5コ)
<書評>メインはアパレル、アフリカの抱える問題に突っ込む
しばしば『中国やインドが資源豊富なアフリカに進出し、大量の労働者を送り込んでいる』と聞く
だが、私は『わざわざ本土から連れてこなくても、現地に安い労働力はいくらでもいるのでは?』という疑問があった。
本書には、その答えがあった
実はアフリカの人件費は高い
例えば南アフリカの自動車工の賃金は月10~15万円、タイのソレが月2~3万円なので ざっと5倍だ
下手すれば東欧や韓国あたりより高いのではないか?とすら思う
まぁ、南アフリカはアフリカの先進国だからアレだが、ケニアあたりでもバングラディシュの3倍程だ
何故 人件費が高いかといえば アフリカに教育がないからだ
特に南アフリカはアパルトヘイトのせいで黒人層には教育のチャンスがなかった
教育がない→労働者にならない→労働力の不足→賃金高騰
となってしまう。
また、例えば10人家族のうち 働き手(教育を受けた人間)が1人しかいないと、その1人が10人分の生活費を稼がなければならない事情もある
コレが『賃金高と高失業、貧困』という矛盾を生み出す原動力となる。
逆に見れば、アジアの成長の原動力は、教育を受けた労働力が豊富にいた事と言える(韓国等の成長会計を見れば"労働の寄与"がかなり大きい)
つまり、アフリカは人件費が高い
さて アフリカは繊維産業に力を入れている、何処の国も工業化のスタートは軽工業だからやね
また アフリカ諸国は アメリカとEUから関税の優遇措置を受けられる立場でもある為、先進国向け輸出市場も大きい(ロメ協定、AGOA等)
はっきり言えば その繊維産業、モロ中国と競合している
そしてアフリカ諸国は賃金面で中国に太刀打ち出来ない、EU等の市場も 近年の対中輸入制限(セーフガード)の揺らぎで 中国製品の攻勢は強まるばかりだ
結果 アフリカの産業は中国に対して苦戦を強いられている
成長市場について"アジアの次はアフリカ"としばしば言われるが、豊富な生産ノウハウと輸出実績のあるアジア諸国に対してアフリカ諸国の強みは殆どない
逆の見方をすれば中国人から見れば アフリカ市場はボロい、といえる
資源関係で小銭があるし、なにしろ競合産業が弱い
さらに言えば、中国では売れなくなった製品の需要がある、という面もある
例えば 昔は中国でも発電機の需要がかなりあったが、電力インフラが整備されれば 需要は落ちる
ソレをまだインフラ未整備のアフリカへ売る訳だ
まぁ、中国商人達が中国製品を持ってアフリカへ進出する構図だ
現地政府も 必ずしも、安い外国製品流入を面白いと感じている訳でもない、当然規制という動きもある
だが、アフリカ内部にも外国製品の流通を飯の種にしている人もいるし、ソレが主要産業の国もある(タンザニアは周辺国への輸入拠点になっている)
そして 根本的にアフリカの消費者は安い外国製品を望んでいる
まとめになるが、アフリカ諸国の解決策は明白だ
教育の普及により、労働力を増加させる
賃金を引き下げ(しかも世帯所得は増加させる) 海外からの製造業誘致を受け入れる
そして 賃金が上昇しつつある アジア製品の後釜を狙う
なるほど、コレらは一朝一夕にはムリだろう
今日や明日に結果の出る性格でもない
だが 明後日は?となる
ましてアフリカは若年層が多い、小子化問題も少ない(≒従属人口が多い)
彼等が働き手になった時 アフリカ製造業が大きな成長を成す可能性は 決して低くはない



