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ミツゴ的評価 ☆☆☆☆+☆×0.5コ(☆4.5コ)
[書評]フレイザード的人格
マンガ「ダイの大冒険」にはフレイザードという敵役が出て来る
コイツは魔王に作られて1年足らずなんだけど 手柄に固執するんだ
人格に経験値がないから、手柄以外に自分の存在意義を見いだせないからだ
まさしく、創業家の跡取りとはコレである。
あまりに偉大な親、その親の財産(会社)を維持 発展させる事のみが 存在意義であるかのような存在である
だから時には無理をする、偉大な先代を乗り越える為に冒険をしたりする。
成功をすれば「中興の祖」
失敗すれば「唐風と売家の三代目」
なんて呼ばれる。
無茶をしやすいから、番頭格が廻りを固めて暴走しないようにもする
が、次は番頭格と後取社長が対立しやすくなる
親の方も大変である
子供と価値観が違うのは当たり前、当然対立する。
松下幸之助みたいに子宝に恵まれないから余所から養子を貰うと コイツがハズレであり、創業社一族VS経営陣 なんて構図を作ってしまったケースすらある。
そんな創業家ファミリーについていくつか気になった事を書いてみる
ケース1
武田家(武田薬品工業)
1980年の事だ、6代目社長は長男の武田彰郎に時期社長を譲ろうとした
が、彰郎氏はジョギング中急死、6代目社長もショックで倒れてしまう
彼を三男の国男氏が見舞うんだが、1言「なんでくだらんお前が生きとんのや。彰郎の代わりに、このアホが死んどってくれたらよかったんや」と
そう 7代目社長になる 国男氏はバカにされていたんだ。
が この人はバカではなかった
親の代からの役員を排除、会社全体の意識改革をする(当時の武田は、和の精神=馴れ合い、となっていた)
儲かっている事業(武田食品工業)ですら売却し、医薬品の研究開発費に廻す
そして蓄えた資金で とにかく会社を買収、買収 規模の拡大を計る
なぜ、ここまで急いだかといえば 日本の製薬業は利益や技術に比して 規模が小さい→欧米からみていいカモだからだ。
つまり体力を付け企業を大きくしないと「喰われる」恐怖が背景にある訳やね。
コチラは跡取りが有能だったケースだ。
ケース2
松本家(パイオニア)の場合
パイオニアという会社は元々松本望氏が立ち上げた会社で、60年代にカーオーディオで成功した会社だ。
だがレーザーディスクの規格統一戦で苦戦を強いられていた
ソレを救ったのが石塚庸三だった
まぁ彼はメキメキ成果を上げだ訳だが松本望と対立する
よくある話で、番頭が有能なら 創業者一族が霞んでしまう という話だ
会社が順調ならそれでもいい
だが 問題が発生する、テレビ事業だ
テレビこそ家電の王様と考える向きは多い
だがテレビは価格競争戦の最中にあり、莫大な設備投資を要求する
石塚はテレビからの撤退を進言
だが創業者はテレビにこだわった
結果は惨敗、会社存続すら怪しくなった。
人間の能力は割と人との関係で現れる
創業者一族では一族間 番頭格との間等複雑な人間関係による事が多い
パナソニックのように創業者と番頭の対立が経営リスクになった会社も少なくはない。
世襲企業は不況に強い、としばしば言われる
だが本書を読んだ感想はさに非ず
同じ血筋でも能力が受け継がれるとは限らないし、長期的スパンで考えられるとも限らない。
企業評価の1要素として人間関係が重要だと解らせてくれる1冊

