嘘を吐くのは簡単で

呼吸をする様に

するりと喉から溢れた

音の刃は

君を切り裂いていく


どうしようもないね、

答えじゃないんだ。

塞いだ耳の奥で

鳴り続けている

僕を呼ぶ声

聞こえないふりして


絡まったままのコードを

何度も踏みつけて

伸びきった前髪を

邪魔だと切り落として

真直ぐに見据えた

画面の黒に吐き捨てる

言葉の節々に

言い様もない苛立ちと

叶わない約束を叩きつけて


ごめんね。


叶わない願いは

ぐしゃぐしゃに丸めて

痛みを堪える様に

拒んだ感情を

見つけた君の姿を

追いかける僕の姿は

透けてしまって

届かないから


認知されない

首にかけたヘッドフォンから

零れ出した音の全ては

もう願う事も忘れた

時間の思い出


全部、嘘に変わってしまえ


きっと、なんて

優しい言葉が

呼吸を奪っていく

嘘すら吐けない

詰まらせたままの喉が

嫌に切なくて


別に、もう、いいんだ

語る事も願う事も諦めた

コードを千切って

逃げ出す僕の姿を

君が見る事は二語とないけど


君への、最後の、嘘になる様に。




「少年は『君』の全てを救いたかった」


あの繰り返した言葉

反響して落ちていく

不安ばかりが

目の前で揺れている

どうして僕ばかり、

返らない返事も

言えないままの言葉も

綺麗なまま胸に残して


握りしめたままの掌に

伝う赤の色彩に

どうしてか泣きそうになって

振り返れない

力の入らない足は

進む事も戻る事も出来ず

立ち竦む僕は

俯いた雨の中

静寂を孕んだ


離さないでいてよ、

そんな事も

言える筈なくて


繰り返したかった言葉は

反響すらせず落ちていく

不安だけが満ちては

足元から沈んでいく

どうして、僕が。


また、言えない。

まだ、言えない。

過ぎていくだけの

簡単な世界で

繰り返すのは

何時だって苦しい事だけ

君を置いていく

僕の姿だけが、



何も言わない

何も聞かない

何も知らない

何も見ない

それでいい。

それがいい。


詰め込んで

吐き出して

息を止めた。

声には出さない

瞳を伏せて

知らないふり、

気付かないふり。


君の言葉が

突き刺さっていく

痛みを覚えるには

あまりに十分で

隠さないまま

垂れ流しの憎悪

悲哀の剣を

両手に抱えて


突き殺すの?

それとも切り裂く?

楽になれるなら

逃げる事が出来るなら

それでもいいよ

両手を広げることだって

簡単なんだ


ほら、また。

消えて

逃げて

止めて

吐いて

泣いて

涙が、

溢れた。


許せないでしょう。

許さないでしょう。


ただ静かに

死んでいく脳裏の影に


意味のない言葉に溺れ

呼吸ばかりを詰め込んだ

その笑顔は

何の役にも立たない

君が違う様に

僕だって違うんだ


分からないのは

最初の一歩から

君の言葉が

淡く染め上げる

その心の隙間

もう何も見えない

暗闇ばかりが

埋めていく


それは無意味で

それは無価値で

それは無力な

僕の話。


君は居ないから

それでいいんだよ、なんて

結局は独り芝居で

いつものように

笑えない言葉で

切り刻んでいく

救えやしない。

分かってるけど、

分かってはいるけど。


そうしてだろうか

何一つ伝わらない

そんな事言いたいわけじゃない

言わせたいわけじゃない

何も言えない、

何も聞きたくない

何も知りたくなかった


どうしてこうなってしまったのか。

僕だって、君だって。


弾き出した答え

少年が立つ足場さえ

曖昧なもので

口を閉ざして

震える指先を握り締めた


誤魔化して、

そのコードで殺す

罪には罰を、

少年の存在はあまりに残酷で

軽薄な意味のない形

きっと誰も、

知らないだろう


この心は

作り物のガラクタで

ぎしり、と軋み

ズレが痛みを伴う

微かな隙間は

気付いてほしくて


「明日が来れば

きっと忘れてしまう。

夜も朝も

此処には存在しないのに、」


白いだけの部屋で

配線に塗れた少年は

小さく瞬きを繰り返す

罪には、罰を。

望まない全ての判断を

奥底に仕舞った筈の

切望と羨望で、


夢の終わりを指差す

誰かの手を取りたくて

与えられた命は

奪うだけの簡単な存在で

そんなものなら

少年は、




「少年は、ただ生きてほしいだけなのに」