TRIANGLE -60ページ目
逃げる事は、したくなくて
「まるで夢みたいだ」
君がそう言うから
僕は、何も言えなかったんだ。
壊れていく君を見つけるたび
いっそ罵ってくれよ、なんて
言える筈もない言葉が
胸の中に満ちていくから
何も無い様な顔して
優しさに触れる君を見ると
訳もなく泣きたくなるんだ
もし、これが嘘だったなら。
そんな『もしも』を重ねて
一人勝手に虚しくなって
君が前を向くと
僕は俯いてしまうんだ
歩き出すには
少し弱くなりすぎた
君の背中が
少し悲しいな、
なんて。
やっぱり言えるわけなくて
泣きたい気持ちを押し殺して
その背中を叩く事くらい
許されるのかな
独りっきりの罪悪は
僕を殺そうとするけど。
君が、笑ってる。
そんな未来があるなら
それも良いなんて。
馬鹿みたいに単純で
短絡的な思考回路でも
君が「夢みたいだ」なんて笑うから
僕は何も言えず
君と笑う事しか出来なかったんだ。
忘れてしまえよ。
結局一人なら
揺れる水面に
手を離して
綺麗なものばかり
何時だって心苦しく
喉に詰まった様な
言葉は何一つ出てこないで
優しい歌は
何時か貴方を殺して
霞んでしまう事も
分かっていたのに
途切れた足音
夢を見た朝焼けの色
また夜を見送って
貴方を迎えれば
銀の色に映る
誰かの声は遠ざかって
忘れてしまうなら、
貴方を一人置いて
私は立ち止るんだ
白んだ夢と
暈けたままの夕暮れに
私は手を振る
季節は軋んで
忘れてしまうだろうね。
そう在 る事に
いつしか夢を見て
貴方を忘れてしまおうか。
手を離した
言葉を一つ
銀の水面に手向けて
つまらない、と
小さな筆をとって
綺麗なだけ。
それだけの夢を見て
偽物みたいな感情は
鈍く照り返した
アスファルトに転がって
「君だけに教えてあげる」
小さな小さな僕の夢
くすんで汚れた
僕の大切な夢
きっと笑える筈さ。
そう言い聞かせて
眩んだ世界は何時だって
遠巻きに僕を拾い上げて
その声はどこまで届く?
王冠は転がり落ちて
笑えなくなる日だって
遠くない筈なのに
暗がりが茜に溶けて
雨が僕らを立ち止らせても
きっと気付かないんだろうね、
そんなささやかな幸せも
気兼ねなく
君に渡せる日がくるかな?
なんてね。
日々を殺す様に
私は言葉を漏らす
吐き出した呼吸は
詰まり始めた鼓動
きっと、深く
命を絶っていく
このままさようなら。
きっと忘れてしまうから
感情一つ手折って
笑える様にするから
浮かせたままの手は
もう届かないけれど
また薄く笑みを浮かべて
笑える様にしてね、って
何も無い日々は答えないから
私は罅割れていく
思い出せない事を
小さく馬鹿にしてさ。
何もかも無かった事して
溶けてしまえば
きっと殺さずにすんだ日々が
私を埋めてしまう事も
なかったはずなのにね。
どうしてしまおうか、
また詰まった呼吸で
私は君を思い出すんだ
ほら、日々がまた曖昧に
私の 手を取っていく
泣いてもいいのかな、
そんな魔法みたいな言葉で。
まるで夢心地、
誤魔化すみたいに
真直ぐには見れなくて
暈しながら
君との距離を測って
何時だって越えていけるのに、
怖がってのは
どうしたって僕のほうで
そんな事は意味無くて
結局それだけを理由に
僕は君を手離すんだ
またそうして日々を重ねて
君の言葉の意味に気付いた時
僕は涙を流して
きっと届かないって思ってた
そんな逃げ道を塞いで
君は言葉を欲しがって
確かな確証なんて
何処にもないけれど
それでも僕にとって必要なのは
たった一つのそれだけなんだ
君は知ってたんだね、
だから僕の手をまた取って
走り出した君の背を
僕は何時も見ていたね
隣に立っていたはずの
君の横顔は
何時か見た泣き顔じゃなくて
笑みを浮かべて
僕の背中を叩く
ただそれだけの
小さな約束を結んで
君と僕だけの約束だ。
その手を離す事は
もうしないからさ、
訪れた絶望の淵でさえ
僕が迷わずにすむように
君は何時だってその背を見せて
無条件の信頼と愛情を
その両手に携えて
君と二人笑おうか
もう見失わないよ
それだけでいいんだ。
きっと、
きっと。

