掠れた声は

聞こえない言葉

胸元で嘯く

誰かの言葉は

何も映さないけど


朝焼けの温度は

弱くなる心の中を

溶かしていくから

届かない明日の話も

隠したい本音でさえ

今でも探しているんだ


流れていった

愛せない僕の事を

君は見ていられなくて

その裏で逃げ出した

僕の掌を掴んで

何も言わないで君は笑う


そうだろう?

そうだろう?

何も変われないんだ

君を真直ぐに見る事も

出来やしないんだ


僕が弱い事は

僕が一番分かってる

あえて言葉にしない事も

分かってる癖にさ

君は曖昧に笑って

僕の背中を押すから


また声に出せなくて

届かない言葉は

目の前に高く積み重なって


また君は笑うんだ

僕が何も言えない事も

見えないふりして


君を許そうか、

悲しみを空に投げて

明け渡す隣の空間に

一雫の涙を残して


並んだ影の色に

茜を少し溶かして

隠してしまいたい

本当の言葉でさえ

枯れた様に喉に詰まって


踏み締めた

砂利道の上で

君が笑っているなら

きっとその手をとって

もう一度笑えるだろうって

言い訳ばかりが

胸の中で霞み始めて


言いたくない言葉が

胸に積もり始めてさ

僕は君を殺してまで

得たいものなんて

何一つないよ。

どんな罪悪も

緩やかに終わりを迎えて


君を許そうか

きっとこれが最後だ


柔らかく吐き出す毒

滲みだした血の跡は

涙に隠してしまって


ぼやけたまま霞んだ視界は

置き忘れたままの熱と

君の掌を翳して


忘れてしまいたいのは

何時だって罪悪感を感じて

次の足を出す為に

踵を少しだけ浮かせて

進むつもりも無い癖に

また嘘を吐き出すんだ


針を突き刺しては

心は小さく脈打って

誤魔化してしまいたいよ

心臓は呼吸をくり返して

触れる事の出来ない景色を

遠くに見送るんだ


知らないでいてくれよ

気付かないでいてくれよ

何時だって此処は優しいと

泣き出しそうに顔を歪めて


熱が溶け出していく

思い出せない程の感傷で

二人ぼっちは手を重ねる

滲んだままの世界は

此処に残ったまま


例えるならそれは、

茨道のようで。


数多の痛みを携えて

緩やかに小指を握る

誰かの嘘の上に

約束を小さく重ねて

笑えない言葉の先で

理解を拒んだ


僕は見たくはなかったんだ

確かなものばかり、

君は見つめてしまうから

不確かな感情なんて

いっそ忘れてしまいたくて


君に見付からない様に

罪悪感を盾に心を庇って

優しい嘘の中は

何時だって息苦しいんだ


そうしてほら、僕は

切り取られた時間に一人。

もう戻れないのにさ、

立ち竦んでしまって

声に出せない弱さが

頬を静かに伝って

笑えなくしてしまったんだ


痛いね、それはとても。


突き刺さったままの棘が

熱を置き忘れてしまって

追いかける時間は

僕の横を通り過ぎていった


僕は一人、其処に残して

優しい時間も心も

僕を作る全てで在る様に。


それは眩しく、

届かないと分かってた

何時かの憧憬が

この瞳に焼き付いて


まるで夢の様だった。


そう言って目を伏せた

僕は変わらないよ、

見付からないよう

背中を向けて


影が弾けてさようなら、

忘れてしまったと嘘吐いて

もう一度笑えるのか?

レンズの向こう側

君の背中は遠くにあるけど


優しい時間は

何時までも続かなくて

痛みを伴う情景は

もう思い出せないんだ


憧れて、羨んで、妬んで。


それでもこの手を伸ばしたのは

その上にあるものに触れたくて

切望したものなんだ


気付いてくれよ、

その手から滑り落ちた

夢の形は歪に歪んで

手を振った時代は

戻れやしないから


忘れてしまう前に

最後に残したかった

何時かの憧憬は

優しい時間で在るよう

そう願っていたんだ